日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「嵐」というビジネスモデル

2019-01-29 19:37:19 | アラカルト

20数年ぶりに酷い風邪をひいてしまった。
ここ1週間余りは、ひたすら寝床で休むしか方法が無かった。
まだまだ本調子とは言い難い状態ではあるが、考え事ができる程度には回復してきた。

日曜日の午後、突然人気アイドルグループの「嵐」が、2020年12月末をもって活動を休止する、と発表した。
メンバーたちの間では、昨年6月ごろから活動休止の意思がまとまっていたようだ。
半年後の発表となったのは、仕事の調整などのタイミングの為だったのだろう。

「嵐」が所属している事務所は、ご存じの通りジャニーズ事務所だ。
そして事務所の先輩となるアイドルグループの一つに、SMAPがいた。
SMAPと嵐とを比較しても意味はないが、SMAPという「男子アイドルグループ」のビジネスモデルの成功が、嵐というアイドルグループに引き継がれた、といっても過言ではないと思う。
それは、グループとして売り出すだけではなく、メンバー一人ひとりを単体(という表現が良いか悪いかは別にして)として、ドラマなどの主役に抜擢させ一人のアイドルとしての人気も勝ち取る、という方法で主な活動をしてきたからだ。
特に、松潤こと松本潤さんはドラマ「花より男子(別名「花男」)」の主役・道明寺司を演じ、人気を決定づけたという印象がある。
そしてこのドラマの主題歌は、嵐が歌っていた。

ただSMAPと大きく違うのは、メンバーの活躍をする場所がテレビドラマやバラエティーという、アイドルと親和性の高い番組だけではなく、櫻井翔さんはニュース番組のキャスター、二宮和也さんは映画「硫黄島からの手紙」のような武骨な作品などへの出演を果たしている(その点については、V6の岡田准一さんも同じだろう)という点だろう。
そして、同じジャニーズ事務所のグループの中でも、メンバー全員が「アイドルと親和性が高い」とは言い難い分野で、成功をしているのか?と聞かれると、難しいのでは?という気がしている。
もちろん、V6の井ノ原快彦の司会進行役の安定感は「あさイチ」を降板されたとき、残念がる声が多かったことは、記憶に新しいところだし、TOKIOにしても、グループとして魅力的で、グループの魅力とは別にメンバー一人ひとりが個の魅力を持っている、といえるだろう。
ただ、そのメンバー一人ひとりの活動の範囲、という点では嵐ほどの幅広さは感じられないように思うのだ。

「嵐」としての活動は休止するにしても、メンバー全員が活動を休止するわけではないはずだ。
むしろSMAP解散後の稲垣吾郎さんや、草彅剛さん、香取慎吾さんたちのように、それぞれが得意とする分野で違った活動を始めるかもしれない。
おそらく、それくらいのポテンシャルを持っているメンバーなのでは?という気がしている。
だからこそ、このような「アイドルと親和性が高いとは言い難い分野でのビジネスモデル」が成り立っていたと思うのだ。

SMAPに始まり、V6やTOKIO、嵐と続いたビジネスモデルが、今後も続くのか?といえば、それは一概に言えないだろう、というのが率直な感想だ。
何故なら、メンバー一人ひとりに「その人らしさ」という、個性が求められ、本人たちもその自覚を持っていなくては、できないと思うからだ。
「嵐」の活動休止が、ジャニーズにとっての終わりの始まりとなるかもしれない。