日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

政策を考える為には、現場を見てほしい

2020-02-28 15:24:44 | 徒然

突然安倍さんが発表した、「3月2日から春休みまでの一斉臨時休校」の指示要請。
日経新聞:首相「今が重要な時期」休校要請 パート収入減に対応

余りにも突然の発表で、現場となる学校ではその対応の混乱が続いている。
日経新聞:突然の休校「対応しきれない」学校・学童保育が混乱

安倍さんは「これ以上新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための策」と、言っているようだ。
確かに、「新型コロナウイルス」の感染は拡大の一途をたどり、2,3週間の対応によって「パンデミック状態」を押さえられるのか?という、正念場とも言われている。
そう考えると、安倍さんの判断は「英断」のようにも思える。
だが、本当に「英断」なのか?というと、「???」という気もするのだ。

このような「臨時休校」指示に対して、「反対」を表明する自治体も出てきた。
朝日新聞:休校要請「地方を蹂躙」「総理は責任負わぬ」湖南市長

滋賀県の湖南市長が言うように、小中学校の休校などの指示を出すのはその自治体の首長だ。
その意味では、安倍さんの発言は「責任を負わない指示」であり、「新型コロナウイルス対策」のポーズのようにも取れる。
「ここ2,3週間が(感染拡大を封じ込める)勝負」だとしても、不用意な発言と捉えられても仕方ないだろう。
何より、この時期の学校は年度末ということで様々な行事が目白押しだ。
それらの行事をすべて取りやめれば、「新型コロナウイルス」が収束するとは思えない。

それだけではない、このような「臨時休校」を実施することで、生活に影響が出てしまう人が数多くいるのだ。
例えば、学校の「非常勤講師」と呼ばれる、先生たちだ。
かつては「産休の先生の代わりに教壇に立つ先生」というイメージしかなかったが、今では「正規採用の先生と同じ、通年で教壇に立つ先生」も多いと聞く。
そのような先生方にとっては、今回の「臨時一斉休校」は「1ヵ月の休業=無収入」ということを意味している。
そのような「非正規の先生」の存在を、安倍さんは知っているのだろうか?

そして現在「保育所」に子供を預けて働いている方々にとっても、困る問題だろう。
というのも、3月は人事異動などのシーズンであり、企業の決算の月でもある。
例年でも一番忙しい時期に、子どもを保育所に預けられないという状況になってしまうと、様々な問題が起きることは明らかだろう。
今でも「保育所」に子供を預けることができない、という状況なのだ。
今よりももっと厳しい「保育環境」に陥ってしまうことは、想像することができるはずだ。

しかし、そのような生活者の姿を安倍さんをはじめとする政治家の皆さんは、想像ができないのではないだろうか?
おそらく「子育て」そのものの経験が無いとか、お金で解決する方法があったのだろう。
そのため「保育所の臨時休所」による、社会的(経済的・人的)損失が分からないのだろう。

むしろ、日々の生活で移動距離がある働く人たちの「病気になったら休める」という環境整備を企業にするほうが、効果的なのではないだろうか?
特に都市部では、満員の通勤電車の利用を止める(あるいは減らす)ことで、感染拡大の抑制策となる可能性がある。
自宅待機中を無償の休みとするのではなく、希望者には「e-ラーニング」による教育機会を与えるなど、社員のスキルアップ期間として奨励し、無償ではなく企業には税的優遇策や補助金などを出すなど「将来的社会投資」ということにもつながるのではないだろうか?

政治家と呼ばれる人たちだからこそ、「自分の生活者の一人として、地に足がついた発想と政策」を持ってもらいたいものだ。