米国のバイデン大統領が、来年開催予定の冬季オリンピック北京大会へ、政府関係者を派遣しない、と発表をした。
当然、中国側は反発をしているのだが、米国に続いてイギリスやカナダなども、同様の発表をしている。
オリンピックへは選手派遣はするが、政府関係者は派遣しない、「外交ボイコット」ということらしい。
この報道を聞いた時、「オリンピックそのものをボイコットしない」という策は、なかなか考えたものだな~、という気がした。
米国が「外交ボイコット」をする前に、一つの事件があったことはご存じんの通りだ。
中国共産党の幹部が、女性テニスプレーヤーとの性的虐待を暴露され、暴露した女性テニスプレーヤーが失踪した、という事件だ。
この事件発覚後、WTAが「香港を含む中国で開催されるテニスの大会を中止する」と発表をしている。
中国側の反発、高圧的な態度や仕返しなどは、想像できるコトだったと思うのだが、それでも毅然として「大会中止」を発表したことは、IOCのバッハ会長がにこやかに中国政府関係者と握手をしている姿に対しても、抗議をしているようだ。
Tennis Classic:WTA創設者のキング氏、中国での大会中止決断に「立ち上がってくれたことをうれしく思う」
ただ、この「外交ボイコット」だけではなく、中国そのものが今岐路に立っているのでは?という気がしている。
その一つが、「恒大集団」の問題だ。
一時、何とかしたものの、「経営難」という状態でということには、かわりない。
今日、米国の格付け会社が、格下げを発表している。
日経新聞:中国恒大「一部デフォルト」フィッチが格下げ
中国側は、「恒大という一企業が経営難に陥っているだけ」と言うと思うのだが、米国の投資家は、そのようなことばを鵜呑みにするとは思えない。
中国経済そのものを客観的に判断できる材料を、中国政府が出していないという懸念は、随分前からあった(ような気がしている)。
「新疆ウイグル自治区(+チベット問題)」という、人権にかかわる問題が表面化し、欧米の企業そのものが、国際的な人権団体から「新疆ウイグル産の綿花使用」について、企業姿勢が問われる事も起きている。
国の政治的問題だけではなく、企業の経済活動にまで影響を及ぼすような状況になって来れば、格付け会社はもちろん、投資家も「チャイナリスク」ということを考えるはずだ。
そこへ「本当の中国経済の実態なのでは?」と感じさせる問題となっているのが、恒大集団の債務不履行という気がしている。
建前として華やかな外交やスポーツイベントの開催とは裏腹に、中国国内では人権問題だけではなく、経済不安を抱えているのでは?ということなのだ。
「外交ボイコット」によって、中国政府が行うであろう対抗措置の一つが「輸出入の制限」だとしても、既に「外交ボイコット」を表明している国々は、早々に対抗策をした上での「外交ボイコットの発表」であり、WTAの考えに賛成表明をする選手たちは、中国大会に出場しなくても十分問題が無い賞金を獲得しており、むしろこのような著名な選手たちのイメージアップにも繋がる、ということになる。
そのように考えると、大きな岐路に立たされているのは、中国政府と中国経済という気がしている。
日本政府と日本企業の判断に、注目したい。