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文化の産業化

2021-12-30 20:15:04 | ビジネス

岸辺露伴は動かない」というNHKのドラマが、話題になっているらしい。
「らしい」というのは、拙ブログに来てくださる方ならお分かりの通り、我が家にはテレビが無いため番組そのものを見ていないからだ。
原作は、「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・荒木飛呂彦さんだ。
どうやら荒木さん独特の世界観を持ったドラマの様なのだが、このドラマの撮影は葉山にある加地邸が使われているという。
葉山にある加地邸と言っても、分からない方の方が多いと思う。
実は私も知らなかった。
知った理由は、この「加地邸」をリノベーションした方のTwitterを偶然見たからだ。
国指定登録有形文化財:葉山加地邸

邸宅の外装の写真を見て、「フランク・ロイドライトが設計したような邸宅だな~」、というのが第一印象だった。
それもそのはず、この「加地邸」を設計したのは、ロイドライトの愛弟子・遠藤新によるものだった。
「プレーリースタイル」と呼ばれる、屋根を低くし水平にし、大地に溶け込むような設計は、旧帝国ホテルを彷彿とさせる。

しかしこれ程の建築物であっても、時代の流れには逆らえず、朽ち果てるのを待つばかりだったようだ。
そのような建築物が、リノベーションされ宿泊施設として活用されるようになるまでには、様々なコトがあったようだが、昨今の「空き家問題」の中には、このような文化的価値の高い建築も数多く含まれている。
最近話題になったのは、大佛治郎の邸宅が売りに出されていたコトだ。
週刊現代:鎌倉でひっそりと売り出された、文豪の邸宅…築90年の「驚きの値段」

大佛次郎の邸宅は、国の有形文化財に指定されていないとは言え、広い敷地に趣のある邸宅というのは、地域の文化遺産として残しておきたい、というモノだと思う。
しかし、その維持費などを捻出することができずに、取り壊されるというケースも多いのでは?と、考えている。
一度壊したものを復元する、という作業は膨大な時間とお金を要する。
壊す前に、何らかの方法を考え残していく、ということもまた重要なのでは?という気がしている。

とすれば、加地邸の様に宿泊施設にしたり、飲食店などへの貸し出し、ということも考える必要があるのではないだろうか?
このような問題は、何も都市部に限ったことではなく、むしろ地方の方が「国の有形文化財」に指定されたため、取り壊すこともできず、ただただ老朽化→朽ち果てていくのを待つだけ、という建築物があるのではないだろうか?
建築物に限ったことではないのだが、「コロナ禍」の中、音楽や演劇などの文化的な活動が制限されていく中で、「文化を産業化」する必要があるのでは?という気がしている。

「文化の産業化」というと、「文化を金儲けの手段にするのか?」と怒られる方もいらっしゃるのは重々承知だが、「文化」そのものを維持するということは、とてもお金がかかることであり、また脆弱なモノでもあると、「コロナ禍」で感じたことでもあった。
加地邸のような場所で、コンサートを開催する。
大佛次郎邸で美術展や朗読会のようなものをお茶会と共に楽しむ等、文化財という資源と文化を組み合わせ、産業化の第一歩を踏み出すことで、両方にメリットがあるような方法を考える時期に来ているのではないだろうか?