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「統計学」で重要なことは何だろう?

2021-12-12 20:54:53 | マーケティング

朝日新聞のWEBサイトを見ていたら、「大人の学び」として「統計学」が注目されている、という趣旨の記事があった。
朝日新聞:いま熱い、大人が学ぶ「統計塾」データ分析は「ビジネスに必須」

マーケティングでは「市場調査」は、必須だ。
必須なのに、なぜかそのデータを読むということに関しては、余り注目されてこなかったような気がしている。
「市場調査」よりも、その「調査データ」から何を読み解くのか?ということの方が、重要であるにも関わらず「調査」で満足してしまっている事の方が多いような気がする時がある。

拙ブログで、過去何度か書いてきているのだが「数字は嘘をつく」ことがある。
正しく言うと「数字が嘘をついているのではなく、調査の目的が明確ではない調査データは、あてにならない」ということが多い。
しかも複数の数字が重なったデータを、あたかも「正しいデータ」として公表された時、多くの人は「正しい」と認識してしまう。
それが問題な訳ではない。
公表した側の意図を理解した上で、そのデータを見なくては公表した側の「思う壺」、ということなのだ。

記事で示されている「肺がんと喫煙」というデータ。
以前から「喫煙と肺がんの関連性」は、多々指摘されてきた。
しかし、この図から読み取れるのは「肺がんと喫煙の関係性は認められない」という、印象を与える。
とはいうものの「喫煙と肺がんの関連性」は、指摘されてきているし、実際科学的根拠もある。
とすれば、「このデータは、どのように見れば良いのだろう?」ということになる。

例えば、人間ドッグで早期の肺がんが見つかる人が増えれば、「肺がん患者は増える」ということになる。
その中でも特に「喫煙者が肺がん検査を受ける人達が増えている」ということになれば、「喫煙者の全体の数は減ってはいるが、早期の肺がんが見つかる人が多い」と読み取る事ができる。
他にも「喫煙歴がない肺がん患者」というデータと組み合わせると、「喫煙と肺がん」という関連性以外の要素が加わると、それまでとは違う「肺がん患者のデータ」が加わっている、ということになる。

「統計」で重要なことの一つが、複数のデータが組み合わさってつくられた調査結果であれば、調査内容そのものを把握する、ということが必要になってくる。
何より「その調査は、何を目的として実施されたのか?」という、調査目的を把握せずに「数字だけを見る」と、「数字が嘘をついている」ということになってしまうのだ。

数学的な「統計分析」となると、学生時代「数学が苦手だったから」と、尻込みする方も多くいるはずだ。
ビジネスで使う「統計」とは、その数字そのものではなく、「その数字の意味することは何か?」ということを理解するところから始まる。
今時、電卓片手に「統計数字」を出すよりも、コンピューターに数字を打ち込んで、平均値や解析をしてもらう方が早くて、正確だろう(入力ミスさえなければだが)。

そのために何が必要なのか?と言えば、その調査は一体何を目的としてされたモノなのか?ということ。
調査対象や調査項目など、データの背景となっている事柄を知り・理解することだ。
と同時に、瞬間的な数字ではなく「推移していく数字」に注目することで、同じ理由で調査された内容であれば、様々な情報を読み解く側にヒントを与えてくれるはずだ。