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「原爆」と二つのアメリカ映画

2023-08-08 20:20:19 | 徒然

先週あたりからだろうか?アメリカ映画「バービー」の日本公開を前に、SNS上で炎上していると話題になっていた。
気になって、映画の公式サイトから予告動画を見たのだが、予告ではSNS上で炎上するような部分は、あえて?出されていなかった(ようだ)。
そもそも、「世界中の少女たちを虜にしている」と、言われているバービー人形だが、唯一(と言ってよいと思う)日本だけが、同じ着せ替え人形でもバービーよりも、リカちゃんの方が一般的で人気も高い。

本題から外れるのだが、バービー人形が米国人が考えるハイティーンの理想(体形)像であり、その理想像が日本では大人っぽくて少女たちからは受け入れられないだろう、ということで登場したのが「リカちゃん」だった、という経緯がある。
確かに、バービー人形の体形は、ウエストがキュッと締まり胸とお尻は豊かだ。
米国人であっても、おそらくこのような体形の持ち主は、相当節制をし体形維持に努力をしている一握りのセレブだけだろう。
だからこそ、少女たちにとって「憧れ」のような存在が、バービーということになる。
一方、「リカちゃん」は家族構成などは、セレブであっても小学校高学年~中学1年生くらいの少女、という設定になっている。
だからこそ、リカちゃんは日本の女の子たちにとって、身近な存在となりえたのだ。
その設定の違いを理解し、「バービー」という映画を見てみる必要があると思うのだ。

問題となっているのは、「原爆」を彷彿とさせるような場面がある、という点だった。
この話題を知った時、米国の博物館「スミソニアン」で「エノラゲイ(広島に原爆を落とした米国の爆撃機)」の展示騒動を思い出したのだ。
格情報:広島に原爆を投下したB29爆撃機「エノラゲイ」展示と抗議行動 

「エノラゲイ」の展示の問題は、2003年の話なので、今から20年ほど前のことになる。
この時、米国側は相当強引な感じで、日本の「抗議行動」を退けるようなカタチで展示を決めている(と、記憶している)。
その頃と、米国市民の間では「原爆」に対して、大きな認識変化がなかった、ということだろう。

そしてもう一つ、「バービー」とほぼ同時期に米国で封切られた映画が、「オッペンハイマー」だ。
オッペンハイマーと聞いて、「原爆の父」と結び付けられる日本人が、どれほどいるのだろう?
そもそも、米国が秘密裏に行っていた「原爆開発=マンハッタン計画」について、高校時代学んだ人達がどれほどいるのか?
そして「マンハッタン計画」に参加した科学者たちについて、どれほど学ぶ機会があったのか?という、疑問はある。
幸いなことに、若き物理学者として「マンハッタン計画」に参加した、故リチャード・ファインマンは自伝「ご冗談でしょう、ファインマンさん」で、科学者としての目線で「マンハッタン計画」について書いている。
そして、自分たちが開発に携わった「原爆」によってもたらされた悲劇についても、率直に書かれている。
ファインマンの自伝を読む限り、自分たちの研究によって善良な市民の命が数多く失われた、ということに対する苦悩を感じることができる。
それは「マンハッタン計画」の責任者であった、オッペンハイマー自身も同じだろう。
驚くべきことに、この「マンハッタン計画」を後押ししたのが、天才科学者・アインシュタインであった、ということも、当時の世界情勢を含め考えなくてはならない点が数多くあると思っている。

個人的に、映画「バービー」の原爆を彷彿とさせるシーンや、同じく映画「オッペンハイマー」について思うことは無い。
ただ、そこにある米国の文化や歴史的背景、原爆開発に携わった科学者たちのその後を知り、「平和への努力」について、考えていきたいと思っている。