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恒大集団の実質的破綻は、中国経済の終わりの始まりなのか?

2023-08-18 20:10:14 | ビジネス

今朝、ビジネス関連のニュースでトップ扱いとなったのは、中国の不動産会社・恒大集団の実質的破綻のニュースだろう。
Bloomberg:中国恒大集団、NYで連邦破産15条の適用申請ー米国内資産保全 

恒大集団の破産手続きそのものは、米国内における資産保全の為のモノであって、中国本土とは関係がない、ということになる。
しかし、米国内での資金繰りが上手くいっていない、ということは中国本土での資金繰りも同様の可能性がある、と考えるのが自然だろう。
まして、中国の企業の多くは中国政府との関係が深い(と、考えるのが当然かと思われる)。

恒大集団が、破産に追い込まれるようになった要因の一つは、金利が上がったことで売れ残っている不動産が経営の重荷になった、ということも考えられる。
ただ、記事にあるのだがこの恒大集団は香港とケイマン諸島でも再申請を行っている。
ご存じの通りケイマン諸島は、「タクスへブン」と呼ばれる場所だ。
本社事務所をケイマン諸島に置くことで、「納税義務を逃れている」という可能性もある、ということだ。

そのような「懐が潤う」ことをしていながら、破綻申請をせざる得ないという状況。
その額も、日本円にして約48兆円という、これまでの企業は反額とは比べモノにならないほどの額だ。
Reuters:中国恒大集団、米で破産法申請

この春シリコンバレーの銀行が倒産したが、この時の倒産額を遥かにしのぐ額なのではないだろうか?
そして、シリコンバレーの銀行の倒産理由の一つが、スタートアップ企業向けの融資を行っていた、という点も大きな違いだろう。
ご存じの通りスタートアップ企業というのは、これから事業化していく為の資金を必要としている企業のことだ。
そこに、金利が上昇したことで融資先企業からの資金回収が上手くいかなかった、と言われている。
今回の恒大集団とは、破綻理由が全く違うのだ。

そして不動産絡みの破綻というと、思い出すのは「リーマンショック」かもしれない。
この時は「債務支払いが難しい」と思われる人に、不動産購入の資金を融資し、回収ができず破綻ということになった。
と言っても、この時の「債権化」の仕組みが複雑すぎて、何が何だか?という印象を持っている。
すなわち、「リーマンショック」の破綻と今回の恒大集団の破綻は、違う要因と考えるべきだろう。

恒大集団の場合は、もっと単純な「過剰投資」による、債権回収ができなかった、という印象があるからだ。
その意味では、日本のバブル経済の崩壊時と、似ているのかもしれない。
中国国内では建築途中のマンションなどが建築業者が倒産をし、建築途中の建物が野ざらしになっている、とも言われている。
さすがに、北京では見ることが無いかもしれないが、地方に行けばそのような建築途中で野ざらしになっている建物を見ることができる、と言われるようになっている。
とすると、今回の恒大集団の米国での破綻申請は、中国経済の終わりの始まりかもしれないのだ。