Yahoo!のトピックスにも取り上げられていた、「中国都市部で見つかったEV車の墓場」という内容の記事。
Bloomberg:まるでEVの墓場、中国都市部に大量の廃棄車両ー急成長の負の遺産
確かに記事に掲載されている写真を見る限り、大量に廃棄された車が放置されている。
この大量に放置されている車全てが、EV車なのか?ということは一見するだけではわからない。
ただ、世界のEV車市場をけん引してきたのは、確かに中国だったということには、間違いないところだ。
何故なら、「世界に先駆け、国内で販売される車を全てEV車にする」と、発表をしたからだ。
その後、欧州などでもEV車の開発が一気に進んだことは言うまでもない。
このような状況下の中、日本は「エコカーとしてのハイブリッド車」の市場が既に出来上がりつつあったこともあり、各自動車メーカーがEV車へ全面的切り替えをすることができなかった。
日産が、本格的にEV車を製造・販売するようになり、その車種が増え始めたのはここ2,3年のことだろう。
トヨタにしてもマツダやホンダなどは、EV車の研究・開発と並行するようなカタチで、ハイブリッド車を製造・販売しているというのが、現状なのではないだろうか?
このような状況の中で、Bloombergが「中国のEV車の墓場」という見出しの記事を出した、ということになる。
それだけではない。
先日WallStreetJournalが「EVバブルの崩壊が始まった」という記事を掲載している。
(都合上、記事を引用したDiamondon-lineを紹介)
Diamond on-line:【社説】EVバブルの崩壊が始まった
記事の趣旨としては、中国のEVバブルを模倣しようとしている、米・バイデン政権を批判する、という内容のようだが、翻って日本ではどうなのだろうか?
そもそも中国がEV車に力を入れていたのは、環境問題を踏まえた訳ではなかった、と言われている。
むしろ、国際市場の中心であったガソリン車やハイブリッド車、特に環境負荷の軽減が謳われているハイブリッド車などの研究・技術開発が追いつかない為、比較的簡単に組み上げることができるEV車で国際市場を獲りたかった、と言われている。
その結果として起きたのが、「EVバブル」であり、「EV車の墓場」ということになるのだろう。
この中国の状況を見て、日本はどうすべきなのか?ということを、考える必要があると思う。
何故なら、それが国際市場における「スタンダードを獲る」という切っ掛けとなるのでは?と、考えられるからだ。
そもそもEV車の普及の目的の一つが、「環境負荷の少ない車」だったはずだ。
とすれば、EV車を充電させる充電器や充電ステーションで供給する電力そのものも「環境負荷の少ないシステム」でなくては、意味がない。
同様に廃車するときも「環境負荷の少ない方法」である必要がある。
それは車をつくる過程から、考えられるべき問題でもあるし、廃車に至るまでの販売ルートや廃車工場まで、「ゆりかごから墓場まで」というトータル的な考えが必要、ということになる。
そのような「トータル的な考え」が不十分であり、「EV車をつくる」ということに対するフィロソフィー(哲学)が無かった、ということなのではないだろうか?
そして、日本が国際市場で「スタンダードを獲る」ということを考えた時、技術や研究だけではなく、このような「トータル的哲学」を持つことが重要な気がするのだ。