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「東日本大震災」から10年。「もう」なのか「まだ」なのか

2021-03-11 18:40:14 | 徒然

「東日本大震災」が発生してから、今日で10年という月日が流れた。
この間、日本でも様々なコトがあった。
その一つが、本来であれば昨年開催されるはずだった「2020東京オリンピック」だ。

「2020東京オリンピック」誘致の際、当時の安倍首相は「(福島第一原子力発電所)事故は、(政府の)コントロール下にある」と言った。
この時の発言を、福島だけではなく多くの日本国民は「嘘だろう!」と、思ったはずだ。
その後「2020東京オリンピック」の誘致が決まった時、政府からは「(東日本大震災からの)復興オリンピック」という、サブネーミングまで付け、「日本全体でこのオリンピックを成功させよう!」という、気運をつくりあげた。

結果、本来であれば復興事業として使われるはずの重機などは、「2020東京オリンピック」整備の為に使われ、復興事業に遅れが出てしまった。
「2020東京オリンピック」開催が決まった時、土木関係の仕事をしている知人は「何が『復興オリンピック』。オリンピック開催の為に、復興事業として使うべき重機は、すべて東京に行ってしまうわ」と、呆れた口調で話していた。
その通りとなったし、ご存じの通り「東京電力福島第一原子力発電所(以下「原発事故」とする)」は、10年経っても「コントロール下にある」とは、言い難い状況にある。

そのような状況の中で模様された「東日本大震災追悼式」だった。
そして菅総理は「復興は最終段階に来ている」という趣旨の話をした。
この言葉に、違和感を感じたのは被災地の人たちだけではなく、国民の多くが感じたのではないだろうか?
次ぎに天皇陛下のお言葉があり、「震災はまだまだ続いている」という趣旨の話をされた。
政府は「最終段階」だといい、天皇陛下は「まだまだ続いている」と、全く逆のことを話されたのだ。

この大きな食い違いは、どこにあるのだろう?
菅総理にとって「東日本大震災」は、既に過去に起きた震災である、という認識なのではないだろうか?
それだけではなく、被災地に大きな防潮堤が完成しつつあったり、街の整備が整いつつある、と感じているのではないだろうか?

それに対して、天皇陛下が言われた「続いている」という言葉には、被災者の心の傷は癒えていないし、「原発事故」も全く収束の工程が見えていない、ということを言われたのではないだろうか?

菅総理は当事者意識を持たず、「建物が建ち、電車の路線が通常通りに運行できる=復興の最終段階」という、目に見えているモノだけにフォーカスをし、一方天皇陛下は、当事者の気持ちを思いやり、震災後の最難関であり、政府が言及したくない「原発事故」に対する住民の心配をされたのだ。
おそらく政府にとって「東日本大震災」は発生から「もう10年」という考えなのだろう。
そして天皇陛下と被災地の方がは「まだ10年」という気持ちなのだろう。

国語の問題で「思いやり」の対義語についての出題をされることがある。
「思いやり」の対義語は「無関心」もしくは「無慈悲」だ。
今の政府の気持ちは「(被災地だけではなく国民に対して)無関心・無慈悲」である、ということが言葉として表れた「東日本大震災追悼式」ような気がしている。



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