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「歴史観」は、時代とともに変化する

2024-06-14 20:08:53 | CMウォッチ

昨日、「歴史観は、時代とともに変化する」、と実感したニュースがあった。
ご存じの方も多いと思う、Mrs.GreenAppleの新譜『コロンブス』のMV及び、同曲を起用したコカ・コーラのCM取りやめだ。
現在のこの『コロンブス』のMVもコカ・コーラのCMも見ることができないので、実際の内容を見て確認をすることはできない。
ただ、報道された内容を読む限り「楽しい」と思える内容ではなかったようだ。
ダイヤモンド・オンライン: 「ミセス、なぜ炎上?」日本人だけわからないコロンブスのヤバすぎる問題とは?

このMVが問題になった理由をまとめると
1.登場人物の歴史的評価の変化
2.登場人物たちの関係性
等が挙げられると思う。

1.の「登場人物の歴史的評価の変化」だが、私が中高校生だった頃と真逆の評価を受けている。
その顕著な人物が、楽曲タイトルにもなっている『コロンブス』だ。
大航海時代、スペインよりも遅れていた英国にとって、北米大陸を発見したコロンブスは、確かに英雄だろう。
しかし大航海時代という時代を、発見した側ではなく発見された側から見ると、その人物像は全く違うものになる。
そもそも「大航海時代」とは、どのようなコトを目的とし、英国やスペインといった欧州の国々が海外に進出したのか?という背景を、理解する必要がある。

現在では、どのようなカリキュラムになっているのか不明だが、以前は、必須である「世界史」をあたかも選択科目のように扱い、「日本史」を中心に教える高校があり、問題となったことがある。
考えてみれば、「社会科=暗記科目」と言われる時代であれば、覚えることが多く内容も多岐にわたる世界史よりも、日本史を選ぶのは当然かもしれない。
暗記が苦手だった私は、年号を覚えるよりも「何がきっかけで時代が動いたのか?その結果社会がどのように変化し、現在に影響を与えているのか?」という感覚で、理解しようとしていたことが、今となっては案外、役立つ教養の一つとなっている気がする。

上述したように「暗記」するだけであれば、自分が学んだ教科書の断片の印象で、物事をとらえることに終始するだろう。
だからこそ、時代の移り変わりによってその人物評価が変化したことにも、気づかなかったのでは?と、感じている。

例えば人物ではないが、1960年代からエジプトと英国の間では「収集遺跡品の返還」で、もめ続けている。
エジプト側の主張は、「大英博物館に収蔵されている、ピラミッドの遺跡品は英国がエジプトから強奪したモノである」という内容だ。
もちろん、エジプト側の主張は認められず、現在でも「大英博物館」には、ピラミッドから出土した遺跡品の数々は展示され続けている。
征服した側(=英国側)は、自国の冒険者が発見した歴史的価値の高いモノ、という考え方だろうし、征服された側(=エジプト側)にとっては、外国から来た強奪者が持ち去った自国の歴史、という見方になる、ということになる。

「歴史は強者の主観」によってつくられる、という側面がある。
しかし、様々なモノ・コトが進化し「強者の主観(=強者に都合の良い物語)」は、通用しなくなってきている。
もし、CMでこのような「強者の主観」を打ち出すことがあれば、既に社会的に容認できない問題となっている、ということだろう。

Mrs.GreenAppleの『コロンブス』そのものが、旧態然的思考から生み出されたものだとすれば、とても残念な気がするし、まだ若い30代がこのような感覚を持っていたとすれば、日本の「歴史教育」の在り方も考え直す必要があるのかもしれない。



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