僕はびわ湖のカイツブリ

滋賀県の風景・野鳥・蝶・花などの自然をメインに何でもありです。
“男のためのガーデニング”改め

三重県の摩崖仏2~伊賀市 『中ノ瀬摩崖仏』~

2020-04-17 06:20:50 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 三重県は広域には“中部圏”と区分されていますが、地方区分では和歌山県・奈良県・京都府・滋賀県と隣接する近畿地方に含まれる県になります。
“石の文化”を辿っていくと、奈良~京都~滋賀~三重(伊賀)へとつながっているような“石の文化の道”があります。
具体的にいえば、平城京から南山城を通って大津・栗東・湖南・甲賀の各地域を経由して、甲賀と隣り合わせの伊賀へと到達したような石の文化の道。

三重県は「神の国」との印象がありますが、実際は古くから仏教文化の栄えた地だといい、伊賀市には多くの摩崖仏や石仏が数多く残されているようです。
全く土地勘がなく、情報もわずかしかない状態で、伊賀市を巡って到着したのは「中ノ瀬摩崖仏」の神々しい姿でした。



摩崖仏の付近には駐車場がないため、国道163号線の道路脇の邪魔にならないスペースに車を停めて歩きましたが、駆け抜ける猛スピードの車の多さにはかなり怖い思いをした。
かつては摩崖仏の前を流れる服部川の対岸の山に伊勢神社へと続く伊賀街道(伊勢参宮街道)が通い、伊勢神宮へ参拝される方の往来があったといいます。



「阿弥陀三尊摩崖仏」の中尊(像高276cm)は、鎌倉期に彫られたものではないかといわれており、伊勢別所(新大仏寺)の創建にたずさわった宋人系石工の子孫の手によって造立されたといわれます。
左右の脇侍は線刻像ではっきり読み取れず、少し様相が違うのは中尊が彫られた後の室町期に彫られたものだからだという。



雰囲気としては大津市の冨川摩崖仏を思い起こすような摩崖仏であるが、半肉彫りの中尊からは穏やかな表情が伺える。
岸壁には阿弥陀三尊の他に「地蔵菩薩立像」「不動明王立像」が彫られているが、脇侍同様に見えにくい状態になっている。





特に印象に残るのは、頭の後方に拡がる放射光と大きな目鼻立ちの尊顔であり、大きな岩の最上部の目立つところに彫られている。
鮮明に読み取れる梵字種子(1枚目の写真)は「アク」の字に見える。アクなら不空成就如来となるが正確なところは分からない。



毎度のことですが、摩崖仏を拝観する時に周辺を見て回ると、摩崖仏でないものまでが摩崖仏に見えてきます。
こういう勘違いや見誤りというのはこういう場所では、なぜか面白く感じます。



国道を挟んで中ノ瀬摩崖仏の前を流れる川は服部川。
今は伊賀街道の道筋は見えませんが、かつて山の方に通っていたという伊賀街道を旅する人々が、川を隔てた岸壁に見える中ノ瀬摩崖仏に手を合わせておられたのでしょう。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三重県の摩崖仏1~津市 『石... | トップ | 三重県の摩崖仏3~伊賀市 『... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山」カテゴリの最新記事