一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第4期マイナビ女子オープン・一斉予選対局⑥・予選決勝(中編)

2010-07-24 12:43:30 | 観戦記
その左、室内の右奥でひっそりと行われている中村真梨花女流二段-安食総子女流初段戦も、何本かの懸賞札が立っている。安食女流初段は現在「NHK将棋講座」で、講師である阿久津主税七段の聞き手を務めている。テレビのレギュラーを持っている女流棋士は人気が高い。
17時00分。高群佐知子女流三段-山田朱未女流二段戦は、高群女流三段が秒読みに入っている。成駒を2枚作られ、苦しい。敗勢といってもよい。
17時02分。松尾香織女流初段-熊倉紫野女流初段戦。関係者と思しきカメラマン氏が、松尾女流初段のほぼ上方から盤面を撮っている。いくら関係者とはいえ、対局者に近づきすぎだろう。スタッフの腕章をつけているからといって、何をしてもいいというわけではない。
そういえばこの日、年配の一般客が大声で話しながら対局場を出て行ったことがあった。バカ野郎、と言うしかない。こういう手合いは観戦する資格がない。
竹部さゆり女流三段-長谷川優貴アマ戦は、意外にも長谷川アマが優勢に見える。しかし勝つまでには、ここからが大変なのだ。
17時15分。中倉宏美女流二段-大庭美樹女流初段戦。LPSA金曜サロンの会員氏によると、大庭女流初段が銀得で大優勢とのことだった。お顔を拝見しにいくと、中倉女流二段は頭痛…であるはずもないが、眉根を寄せて、ひどい顔をしている。マニアにはたまらない表情である。
鈴木環那女流初段-藤田綾女流初段戦。現在「NHK杯将棋トーナメント」の棋譜読み上げを担当している藤田女流初段は、もちろん魅力的だが、もし1回戦で渡部愛アマが勝ち、鈴木-渡部戦が実現していたら、より話題を呼んだだろう。鈴木女流初段は相変わらず「絵画のポーズ」だ。素晴らしい。
17時18分。高群-山田戦は、山田女流二段の勝ち。2期連続の本戦入りは見事だ。
17時22分。室谷由紀女流2級-小野ゆかりアマ戦を、渡部アマが観戦している。女子高生3人がそろい踏みである。夢のような光景である。局面は小野アマが優勢を保っているが、室谷女流2級も竜を作って反撃している。
17時24分。入口左手前で指されていた里見香奈女流名人・倉敷藤花-長沢千和子女流四段戦が終わったらしい。これは里見女流二冠の勝ちであろう。長沢女流四段の豪快な捌きを見たかったが、不発だったようだ。
竹部-長谷川戦。小柄な長谷川アマの駒台が、ナナメになっている。もう駒台の位置に構っていられないということか。長谷川アマが優勢だが、竹部女流三段の粘りもすごいのだ。しかしすごい人だかりだ。出場アマ13名中、予選決勝を戦っているのは、彼女と小野アマのみ。関心が集まるのも当然だろう。
鈴木女流初段は、変わらぬ「絵画ポーズ」である。「NHK将棋講座」は4月号から大リニューアルを敢行したが、5月号の鈴木女流初段の表紙は、最高だった。いまならまだ、バックナンバーを買うことができる。
松尾-熊倉戦。ひざに置いた松尾女流初段のハンカチが半分ずり落ちている。こういう事態になるのなら、最初から長めのスカートを着用すべきだった。
17時28分。中井広恵女流六段-北尾まどか女流初段戦。苦戦を強いられている北尾女流初段、着手するとチェスクロックのボタンを押す仕種をした。LPSA・1dayトーナメントのときの習性が出たか。
17時33分。中村-安食戦は、安食女流初段がよく戦っている。安食女流初段はここ数年パッとしなかったが、アマ強豪の男性と結婚してから、成績が上向いたと思う。旦那様に毎日鍛えてもらっているのだろうか。
17時39分。松尾-熊倉戦。熊倉女流初段が成駒を作っている。これは優勢であろう。
清水市代女流王将-井道千尋女流初段戦は、井道女流初段がよく頑張っている。
17時42分。中倉-大庭戦。中倉女流二段の表情が、心なしか穏やかになっている。これは少し巻き返したか。
17時46分。竹部-長谷川戦のふたりがいつの間にかいなくなっていた。長谷川アマが勝ったようだ。これは殊勲の金星といえよう。私は勝者予想を外し、ちょっと複雑であった。
本田小百合女流二段-早水千紗女流二段戦は、本田女流二段が優勢に見える。
17時48分。中井-北尾戦。中井女流六段が着実に優位を拡げ、北尾女流初段、いよいよ苦しい。
松尾-熊倉戦はどうか。これはもう、終わりそうだ。17時49分08秒、松尾女流初段が投了した。懸賞金の5万円は熊倉女流初段の手に。松尾女流初段、臨時収入でマッカランを買うことはできなかった。
17時51分、本田-早水戦が終了した。どちらが勝ったのか、まったく分からない。盤面をよく見ると、本田玉に王手がかかっている。これは早水女流二段の勝ちであろう。早水女流二段の将棋には、ナイフで切りこむ鋭い攻めのイメージがある。本局はうまく切りこんだ、というところか。
感想戦が終わり、上位者の本田女流二段が駒箱に駒をしまう。しまい終えて、両者が一礼すると、本田女流二段が空(くう)を見て「フーッ」と息を吐いた。
「私の夏も終わった…」
というところだろう。本田女流二段にはこれからも女流名人位戦A級リーグや倉敷藤花戦が控えている。気落ちせず、ほかの棋戦でベストを尽くしてほしい。
そして私の勝敗予想は、早くも「2敗目」となった。これは私のほうも、脱落したか。
18時になった。中井-北尾戦はまだ続いている。北尾女流初段が形勢を挽回したようだ。中井女流六段はこの将棋に勝てば、女流公式戦タイの17連勝。そう簡単に記録は作れない、ということだ。
村田智穂女流初段-山口恵梨子女流初段戦。村田女流初段が右手の人差し指をトントン叩き、読みのリズムを取っている。そのすぐあと、将棋が終わった。村田女流初段の勝ちのようだ。…と思ったが、山口女流初段もとびきりの笑顔を作っている。山口女流初段が勝ったのか? と錯覚したほどだった。やっぱり、村田女流初段の勝ち。女子大生・山口女流初段は、残念だった。
対角線で指されている将棋に向かう。ところでこの対局場、昨年は部屋の中央に約3m四方の展望台?が設置されていたが、今年はない。
清水-井道戦の感想戦が始まっている。これは清水女流王将の貫禄勝ちであろう。
18時05分。本戦入りが確定しているLPSA所属同士の対局、中倉-大庭戦。劣勢だった中倉女流二段だが、かなり大庭陣にも迫っている。中倉女流二段、背後の秒読みに追われ、59.数秒で慌て気味に着手したが、まわりの駒を飛ばしてしまった。これは60秒以内での着手かどうか微妙である。しかし中倉女流二段が焦りながら駒を戻し、将棋はそのまま進んだ。
これがもし、相手が女流棋士会の所属だったら、中倉女流二段の時間切れを主張したかもしれない。なにしろ本局の先の先には、優勝賞金500万円が待っているのだ。トラブルを未然に防ぐため、秒読みの将棋でも、選手は余裕を持って着手したい。
里見女流二冠が観戦にきた。しかし当然ながら、もう高校の制服姿ではない。ちょっとさびしい。
中井-北尾戦は、ちょっと長引いている。これは将棋がもつれてきたか。
室谷-小野戦。室谷女流2級の手つきに自信があふれている。これは勝ちを読み切ったか。小野玉が詰まされ、小野アマが投了した。18時06分52秒。中盤で小野アマの端攻めが決まったときは大差だったはずだが、徐々に形勢がつまり、最後にひっくり返った。勝者予想は室谷女流2級にしたとはいえ、この敗戦は小野アマ、痛かったろう。しかしプロ相手に、見事な戦いだった。来期もこの棋戦での活躍を期待する。
対局場奥の鈴木-藤田戦が終わっていた。鈴木女流初段を鑑賞しつつも将棋をチラ見したが、鈴木女流初段が指しやすそうだったから、そのまま押し切ったのだろう。
ついに鈴木女流初段、1回戦と合わせて、15本の懸賞金をゲットである。これはさすがに、大金の範疇に入るだろう。
中井-北尾戦も終了したようだ。北尾女流初段が追い上げたように見えたが、中井女流六段が踏ん張ったというところか。これで中井女流六段は女流公式戦17連勝。群雄割拠の現女流棋界の中で、この記録は特筆すべきものである。
金曜サロンのW氏が、見慣れぬタンブラー(入りの箱)を持ってきた。LPSAが新発売したグッズらしい。当然有料だから、買った(買わされた)のだろうが、私にも買うよう、指令が出たらしい。こっちはもうカネがないが、いまなら船戸陽子女流二段と中倉彰子女流初段が、サインを入れてくれるらしい。
チッ…。LPSAも、誰の名前を出せば私がグッズを買うか、よく心得ている。対局場ではまだ将棋が指されているが、ちょっと表へ出る。
先ほどの懸賞金受付コーナーが、LPSAミネルヴァのコーナーに替わっており、船戸女流二段と中倉女流初段が応対していた。おふたりとも1回戦で負けて悄然としているはずだが、精一杯の笑顔を作っている。
「ハイシャだ…」
と小声で憎まれ口を叩いておく。
ノータイムでタンブラーを買い、対局場に戻る。中倉-大庭戦。大庭女流初段が☖6九に駒を打った。中倉女流二段☗8九玉。これは中倉玉が詰むのか? と思ったら、ここで大庭女流初段が投了した。ときに18時17分。チャレンジマッチからの勝ち上がり、中倉女流二段は薄氷の勝利だった。ここまで7局も指したわけで、これは嬉しい本戦入りだろう。
これで残るは、中村-安食戦を残すのみとなった。局面は安食女流初段が非勢に見えるが、敵陣に駒を打つ。まだ負けてはいない。18時23分。決着はまだ先のようである。
(つづく)
コメント (4)
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