一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

女流棋士発足40周年記念パーティー・2

2014-07-04 00:18:49 | 将棋イベント
今回のパーティーで、私の目的はそれほどない。ただ、パーフェクト室谷由紀女流初段にお目にかかり、「ミス日本コンテスト」への出場を直訴できればと思っていた。
私のすぐ近くに、真田彩子女流二段が見えた。きょうもお馴染みの和服である。知己なら私も話しかけるところだが、初対面ではそこまで強く出られない。いや真田女流二段だけではない。私は女流棋士会の女流棋士に、ほとんど知り合いがいない。北尾まどか女流二段は別にして、私を認識できる女流棋士は、2~3人いるかどうか。今回の私は、完全によそ者であった。
私はジュースを取りに、バーカウンターに向かう。振り返ると、室谷女流初段の姿があった。
「あっ…」
と硬直する間に、彼女が私の横を通り過ぎていく。まったく、何という美しさであろうか。あれほどの美貌を、将棋界だけで留めておくのはもったいない。彼女は絶対に、何かのミスコンテストに出るべきだ。
私は千載一遇のチャンスを逃した気もしたが、まだ先は長いと思い直した。
パーティーのもうひとつの楽しみは、食事である。今回も宴会場の中央に、豪華な料理が配膳されていた。小皿に適当に盛り、食べる。画一的な味ではあるが、やはり美味い。
場内を改めて見渡す。パッと見、6~700人は有料入場者がいそうだ。この数を集めるのに、女流棋士がどれだけ「営業」したことか。
俳優のつるの剛士(敬称略)の姿が見えた。意外に背が高く、スラッとしている。俳優はスタイル管理も仕事のうちである。きょうはペア将棋その他で、いろいろ出番がある。
私は再び料理を取りに行く。振り返ると、またも室谷女流初段の姿があった。
「ああっ!!」
と内心で叫び硬直していると、やはり彼女は去ってしまった。
きょうは「囲碁将棋チャンネル」のカメラが入っている。彼らが室谷女流初段に取材を入れるのは目に見えている。さらにほかの客だって、そろそろ彼女に近づいていくだろう。とすればこちらも、そんなに猶予はないのだ。しかし、どう切り出せばいいのだろう。いきなり「ミス日本コンテストに出てください」では、変質者と疑われる可能性だってある。
やはり知己でないのが痛く、意外にハードルは高いのだった。
またも和田あき女流3級の姿が見える。後方にいる女流棋士は誰だろう。
ステージでは、俳優の渡辺徹(敬称略)とつるの剛士に対して、「将棋親善大使」の授与式が始まった。
渡辺徹は伝説の刑事ドラマ「太陽にほえろ!」で、竹本淳二ことラガー刑事として活躍した。初登場は昭和56年9月25日。ボス(石原裕次郎)が休場中の登場だった。事件が解決し、七曲署捜査一係の刑事部屋で、彼が学生時代にラグビーをやっていたことを告げると、傍らに座っていたスコッチ刑事(沖雅也)が「お前、ラガーか」と返し、ここに「ラガー刑事」の誕生となったのである(なおスコッチ刑事も、翌週から病気休場となった)。
私たち世代は、ウルトラマンシリーズと仮面ライダーシリーズ、それに「太陽にほえろ!」に登場した俳優は、いまでも役名で呼ぶ慣習がある。よって渡辺徹は、いまでも私には「ラガー刑事」なのである。
そのラガー刑事のコメント。
「囲碁界には美人が多いので、そちらに転向しかけましたが、いまでは将棋を続けてよかったと思っております…」
何だかシャレになってない気がするのだが、まあいい。私の右に、囲碁の万波奈穂三段の姿が見えたが、彼女はラガー刑事のコメントを聞いて、どう思っただろうか。
もう一人つるの剛士は、1997年に「ウルトラマンダイナ」のアスカ・シン隊員(ウルトラマンダイナ)として、1年間活躍した。いわゆる平成ウルトラマン3部作の2作目であるが、当時私はビデオを録ってまで観る熱意がなかったので、つるの剛士の活躍は目にしていない。よってつるの剛士は、いまもつるの剛士なのである。
「きょうはお金を払ってでもこのイベントに参加したかったので、お金をもらってこんな席に出られるなんて…」
と、よろこびもひとしおである。彼の将棋好きはいまや芸能界一。これは本当の本音だったろう。
羽生善治名人、森内俊之竜王らを交えての記念撮影は、おふたりにもいい記念になったのではないだろうか。
13時05分からは、本パーティーの目玉である、ペア将棋である。対局者はつるの剛士・藤井猛九段ペアと、甲斐智美女流二冠・香川愛生女流王将ペア。解説は渡辺明二冠、聞き手はラガー刑事である。
戦前のインタビューが始まるが、つるの剛士は、女流棋士との七番勝負の本を上梓したという。以前も同趣旨の本を出しているから、これが第2弾となる。まったく、棋士と対局してギャラをもらい、それをまとめて印税まで貰えるとは、世の中あべこべである。
渡辺二冠「藤井さんがひとりなら藤井さんが勝つでしょうが、そこにつるのさんが入ることによってどうなるか…」
プロ側は初手から20秒、つるの剛士の持ち時間は聞き漏らしたが、途中で作戦タイムを1回行使できるとのことだった。
つるの・藤井ペアの先手で対局開始。ふたりは四間飛車ののち、角を換えた。控室で、かなり熱心に作戦を練ったようだ。
ところでつるの剛士の棋力はいかほどのものだろう。当人は「三段」を名乗っているが、将棋番組や大盤解説の聞き手ぶりを見ると、とてもそこまではいっていない気がするからだ。それで私はかつて、植山悦行七段に、本当の棋力を聞いたことがある。そのとき植山七段の答えが振るっていた。
「つるのさんは三段でも四段でもいいんです」
つるの剛士は将棋界の私的広告マンとして、将棋の普及に大きく貢献している。そんなつるの剛士が三段や四段を名乗るのだったらそれでよし、外野は黙って頷いておくがよい…と植山七段は言いたかったのだ、と私は理解した。
気が付くと、私の前に井道千尋女流初段がいた。まったく、360度目をやれば、どこかに女流棋士がいる感じだ。
ちょっと前のほうへ移動すると、安食総子女流初段が目に入った。これは本当にタイミングである。私は自然な形で、彼女に声を掛ける。
「安食先生、以前将棋ペンクラブの交流会でお世話になった者です」
実際安食女流初段には数年前、指導対局を受けたことがある。しかしさすがに私のことは忘れているだろうと思っていた。
ところが…。
「大沢さん?」
何と、安食女流初段は私の名前を呼んだのである。私は思わず叫ぶ。
「おおお! 憶えておられました? う、うれしいなア!」
にっこりほほ笑むあじあじがかわいらしい。私は一遍に彼女のファンになってしまった。
女流棋士がファンを掴む近道、それは将棋ファンひとり一人の名前を憶えることだと思った。
(つづく)
コメント (4)
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