ステージ上の解説が、渡辺明二冠から加藤桃子女王に変わった。さらに矢内理絵子女流五段にバトンタッチ。ラガー刑事(渡辺徹)は得たりとばかり、ご主人に関しての情報を引き出そうとする。しかし厳しい取り調べに、司会の島田良夫アナウンサーが「まあまあ…」とたしなめる。ラガー刑事、もう一歩だったのに残念だ。
解説は森下卓九段に変わる。解説ひとつとっても、きょうは豪勢だ。
室谷由紀女流初段がポラロイドカメラを持って動いている。室谷女流初段に「ミス日本」の話をしたいなら、彼女との写真を求めてその際に言えばいいのだが、私は(女流)棋士とのツーショット写真が嫌いなのだ。…というか、自分が写真に写ることが嫌いなのである。
よって私がマイナビ女子オープンの一斉予選対局で懸賞金を懸けた際も、特典の「ツーショット写真」を行使しなかった。タダでさえそうなのだから、1,000円を出してまで写真を撮るなど、論外であった。
「囲碁将棋チャンネル」のカメラは、竹俣紅女流2級を捉えている。きょうも艶やかな着物姿である。そのストレートな髪形といい、過去からやってきた大和撫子のようだ。あとはもう少し公式戦で勝てば全国区なのだが、ナニ、すぐに勝ち星を稼ぐだろう。
対局者のつるの剛士が、作戦タイムを取った。形勢はいい勝負に見える。ステージの手前は、多くの観客が集まっている。こうした席での将棋はBGMみたいなもので、パーティーの豪華な演出の役割を果たせばそれでいいと思う。だから内容に関心はないが、そこはやはり将棋ファンの集まりで、大盤に目が行ってしまう人も多いのだ。
料理はなくなりかけるとすぐに補充され、テーブルにはいつも温かい料理が並んでいる。客を不快にさせないという配慮がありがたい。
そこへ「大沢さん!」と声を掛けられた。この場で私を呼ぶ女性は珍しい。何と、谷川治惠女流五段だった。「宇治さんもいます」
谷川女流五段ははじける笑顔だった。
「ブログ読んでます。あっ、でもそんなに髪…薄くないですね」
谷川女流五段は、いきなりジャブをかましてくる。
「グッ…いやでも、てっぺんがこう、禿げてましてね」
「ああ、(私が)下から見てるから(禿げていると分からない)…」
「グッ…え、ええ、この前も旅先で風呂上がりに髪を乾かしていたら、このあたりがすっかり禿げていて、愕然としましたよ」
会っていきなりハゲの話とはアレだが、冷静に考えると、谷川女流五段とは初対面である。ブログが介在するとそうは思えないという、よくある例だ。
ちょっと気分もよくなって、私は昨年10月にブログを休止した際の、キーパーソンをバラす。
しかしよく聞き取れなかったらしく、私が言い直したら、なぜか「やうち」と言い間違えてしまった。
それを訂正する間もなく、田丸昇九段が来て、谷川女流五段に知人を紹介した。
これを潮に私は宇治女流三段に話を向けたが、谷川女流五段に誤解を解かなければ、と焦った。
宇治女流三段には数年前、マイナビ女子オープンの組み合わせ抽選会のとき、私の整理券番号を引いてもらったことがある。それで私は、中村桃子女流1級の色紙を引くことができたのだ。よって、宇治女流三段は隠れた恩人なのである。
ただ後日談を書けば、あのときは中倉彰子女流初段、室谷女流3級も含めた三択で、私は中村女流1級を「当たり」と見ていた。ところが中村女流1級は数年後に結婚、室谷女流3級はあれよあれよという間に全国区になり、私は中村女流1級の色紙が次善手であることを悟ったのだった。
それはともかく、宇治女流三段に改めて御礼を述べ、女流棋界草創期の思い出話などを拝聴した。
ペア将棋は、甲斐智美女流二冠・香川愛生女流王将の勝ちとなった。まあ、そうであろう。
将棋ペンクラブ会員・林氏と会った。林氏は関西在住で、このイベントのために上京したらしい。
「5年に一度の大イベントやから…」
それはそうだが、遠方からの参加はなかなかできないことである。例えば東京へ新幹線で往復するだけで、今回の参加費を軽く越えてしまう。彼に比べれば、私の将棋に対する情熱など、ないに等しい。
斎田晴子女流五段の姿が見える。斎田女流五段はふだんから物静かだが、ハタから見て、体調が戻ってきているのが分かる。斎田女流五段は私と同年生まれ。まだ老けこむ歳ではなく、巻き返しを期待したいところである。
14時ちょうど、予定プログラムを30分遅れて、リレートークが始まった。まずは安食総子女流初段の聞き手で、青野照市九段が登場した。続いて田丸九段。あじあじの進行は落ち着いていてよかった。
ここで聞き手が岩根忍女流二段に変わる。スクリーンを見たらたいへんな美人が映っているのでギョッとしたら、それが彼女だった。子持ちとは思えぬみずみずしさは、女流棋士会の奇跡といっていいだろう。トークは深浦康市九段、先崎学九段、戸辺誠六段だった。
続けて聞き手が中村桃子女流初段に変わる。まったく、次から次へと美人女流棋士が登場する、そのすべてが既婚というのがアレだが、眼福である。
トーク者は観戦記者の蝶谷初男氏。蝶谷氏はかつて将棋ペンクラブの幹事をしていた。むかし私が「将棋ペン倶楽部」への投稿を考えていたとき、「ぜひ投稿ください」とハガキをくれたのが蝶谷氏だった。もしあのハガキがなかったら、私は同誌に投稿していなかった。
それを思うと、蝶谷には感謝の念を禁じ得ないのである。
ちょっと前方に移動してみると、室谷女流初段にテレビカメラのライトが当たっていた。やはり…。まったく、給料をもらって室谷女流初段に接触できるとはうらやましい。
私のすぐ前に、矢内女流五段の姿があった。矢内女流五段には昨年4月、大久保の居酒屋で指導対局を受けた。そのときは矢内女流五段が本当に綺麗で、やうたん、オトコがいるんじゃないか? と邪推したら、彼女はその数か月後、本当に結婚してしまった。恋するオンナはやっぱり綺麗なのだった。
私は意を決して一歩進むが、鼻先にOsa氏が現れ、彼女と談笑を始めてしまった。
私はすごすごと引き返す。ステージでは田中寅彦九段のトークが始まっていた。
さらに山田久美女流三段の聞き手、弦巻勝氏(カメラマン)のトークとなる。
トリは清水市代女流六段のトークである。
以上9人、ほとんど話は聞いてなかったが、女流棋士40年の歴史を感じる、味わい深いトークショーだった。
(つづく)
解説は森下卓九段に変わる。解説ひとつとっても、きょうは豪勢だ。
室谷由紀女流初段がポラロイドカメラを持って動いている。室谷女流初段に「ミス日本」の話をしたいなら、彼女との写真を求めてその際に言えばいいのだが、私は(女流)棋士とのツーショット写真が嫌いなのだ。…というか、自分が写真に写ることが嫌いなのである。
よって私がマイナビ女子オープンの一斉予選対局で懸賞金を懸けた際も、特典の「ツーショット写真」を行使しなかった。タダでさえそうなのだから、1,000円を出してまで写真を撮るなど、論外であった。
「囲碁将棋チャンネル」のカメラは、竹俣紅女流2級を捉えている。きょうも艶やかな着物姿である。そのストレートな髪形といい、過去からやってきた大和撫子のようだ。あとはもう少し公式戦で勝てば全国区なのだが、ナニ、すぐに勝ち星を稼ぐだろう。
対局者のつるの剛士が、作戦タイムを取った。形勢はいい勝負に見える。ステージの手前は、多くの観客が集まっている。こうした席での将棋はBGMみたいなもので、パーティーの豪華な演出の役割を果たせばそれでいいと思う。だから内容に関心はないが、そこはやはり将棋ファンの集まりで、大盤に目が行ってしまう人も多いのだ。
料理はなくなりかけるとすぐに補充され、テーブルにはいつも温かい料理が並んでいる。客を不快にさせないという配慮がありがたい。
そこへ「大沢さん!」と声を掛けられた。この場で私を呼ぶ女性は珍しい。何と、谷川治惠女流五段だった。「宇治さんもいます」
谷川女流五段ははじける笑顔だった。
「ブログ読んでます。あっ、でもそんなに髪…薄くないですね」
谷川女流五段は、いきなりジャブをかましてくる。
「グッ…いやでも、てっぺんがこう、禿げてましてね」
「ああ、(私が)下から見てるから(禿げていると分からない)…」
「グッ…え、ええ、この前も旅先で風呂上がりに髪を乾かしていたら、このあたりがすっかり禿げていて、愕然としましたよ」
会っていきなりハゲの話とはアレだが、冷静に考えると、谷川女流五段とは初対面である。ブログが介在するとそうは思えないという、よくある例だ。
ちょっと気分もよくなって、私は昨年10月にブログを休止した際の、キーパーソンをバラす。
しかしよく聞き取れなかったらしく、私が言い直したら、なぜか「やうち」と言い間違えてしまった。
それを訂正する間もなく、田丸昇九段が来て、谷川女流五段に知人を紹介した。
これを潮に私は宇治女流三段に話を向けたが、谷川女流五段に誤解を解かなければ、と焦った。
宇治女流三段には数年前、マイナビ女子オープンの組み合わせ抽選会のとき、私の整理券番号を引いてもらったことがある。それで私は、中村桃子女流1級の色紙を引くことができたのだ。よって、宇治女流三段は隠れた恩人なのである。
ただ後日談を書けば、あのときは中倉彰子女流初段、室谷女流3級も含めた三択で、私は中村女流1級を「当たり」と見ていた。ところが中村女流1級は数年後に結婚、室谷女流3級はあれよあれよという間に全国区になり、私は中村女流1級の色紙が次善手であることを悟ったのだった。
それはともかく、宇治女流三段に改めて御礼を述べ、女流棋界草創期の思い出話などを拝聴した。
ペア将棋は、甲斐智美女流二冠・香川愛生女流王将の勝ちとなった。まあ、そうであろう。
将棋ペンクラブ会員・林氏と会った。林氏は関西在住で、このイベントのために上京したらしい。
「5年に一度の大イベントやから…」
それはそうだが、遠方からの参加はなかなかできないことである。例えば東京へ新幹線で往復するだけで、今回の参加費を軽く越えてしまう。彼に比べれば、私の将棋に対する情熱など、ないに等しい。
斎田晴子女流五段の姿が見える。斎田女流五段はふだんから物静かだが、ハタから見て、体調が戻ってきているのが分かる。斎田女流五段は私と同年生まれ。まだ老けこむ歳ではなく、巻き返しを期待したいところである。
14時ちょうど、予定プログラムを30分遅れて、リレートークが始まった。まずは安食総子女流初段の聞き手で、青野照市九段が登場した。続いて田丸九段。あじあじの進行は落ち着いていてよかった。
ここで聞き手が岩根忍女流二段に変わる。スクリーンを見たらたいへんな美人が映っているのでギョッとしたら、それが彼女だった。子持ちとは思えぬみずみずしさは、女流棋士会の奇跡といっていいだろう。トークは深浦康市九段、先崎学九段、戸辺誠六段だった。
続けて聞き手が中村桃子女流初段に変わる。まったく、次から次へと美人女流棋士が登場する、そのすべてが既婚というのがアレだが、眼福である。
トーク者は観戦記者の蝶谷初男氏。蝶谷氏はかつて将棋ペンクラブの幹事をしていた。むかし私が「将棋ペン倶楽部」への投稿を考えていたとき、「ぜひ投稿ください」とハガキをくれたのが蝶谷氏だった。もしあのハガキがなかったら、私は同誌に投稿していなかった。
それを思うと、蝶谷には感謝の念を禁じ得ないのである。
ちょっと前方に移動してみると、室谷女流初段にテレビカメラのライトが当たっていた。やはり…。まったく、給料をもらって室谷女流初段に接触できるとはうらやましい。
私のすぐ前に、矢内女流五段の姿があった。矢内女流五段には昨年4月、大久保の居酒屋で指導対局を受けた。そのときは矢内女流五段が本当に綺麗で、やうたん、オトコがいるんじゃないか? と邪推したら、彼女はその数か月後、本当に結婚してしまった。恋するオンナはやっぱり綺麗なのだった。
私は意を決して一歩進むが、鼻先にOsa氏が現れ、彼女と談笑を始めてしまった。
私はすごすごと引き返す。ステージでは田中寅彦九段のトークが始まっていた。
さらに山田久美女流三段の聞き手、弦巻勝氏(カメラマン)のトークとなる。
トリは清水市代女流六段のトークである。
以上9人、ほとんど話は聞いてなかったが、女流棋士40年の歴史を感じる、味わい深いトークショーだった。
(つづく)