22日の対局で、熊坂学五段は森内俊之竜王に勝利し、今年度の成績を10勝4敗とした。これで熊坂五段は、フリークラス脱出にまた一歩近づいたのである。
そこできょうは、順位戦復帰の条件を、いつも以上に詳しく書いてみよう。
まず、熊坂五段の成績の内訳を記す。ここが基準点である。
・今年度成績 ○●●○●○●○○○○○○?○ 10勝4敗(未放映のテレビ対局を除く)
・昨年度からの成績 2013年度……○●●●●○○○ 2014年度○●●○●○●○○○○○○○ 良いところ取りで13勝4敗
次に、今年度の残り対局予定を記す。
第64回NHK杯将棋トーナメント本戦2回戦 畠山鎮七段(10月20日対局済、11月23日放映予定)
第56期王位戦予選3回戦 佐藤慎一四段
第8回朝日将棋オープン戦一次予選決勝 塚田泰明九段or戸辺誠六段
第63期王座戦一次予選2回戦 千葉幸生六段
第28期竜王ランキング戦6組(and昇級者決定戦)
第65期王将戦一次予選
第41期棋王戦予選
第65回NHK杯将棋トーナメント予選(第64回の成績次第では免除の可能性あり)
次に、順位戦復帰規定を今一度確認しておこう。
1.年度に「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、勝率6割以上。
2.良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上。
3.年度対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。
4.全棋士参加棋戦優勝もしくはタイトル戦挑戦。
これをさらに詳しく記すと、
1.は、熊坂五段の参加棋戦は「竜王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦、NHK杯、朝日杯、銀河戦の合計9」なので、17勝を挙げなければならない。なお今年度の熊坂五段は、王将戦やNHK杯を2期ぶん指すことになるが、それは1棋戦として数えるので問題ない。
「17勝で勝率6割以上」は、負け数が「11」となる。すなわち今年度の残りを7勝7敗で乗り切ればよい。これを今後の勝敗に当てはめてみよう。
<一例>
第64回NHK杯 ●
第56期王位戦 ○●
第8回朝日杯 ○●
第63期王座戦 ○●
第28期竜王戦6組ランキング戦 ●
第41期棋王戦 ○●
第65期王将戦 ○
第65回NHK杯 ○●
第28期竜王戦昇級者決定戦 ○
(2014年度終了)
………………………………
(2015年度)
第65期王将戦 ●
第28期竜王戦昇級者決定戦 ●
熊坂五段の年度内負け数は最大「9」だが、後ろの2敗を2015年度に持ってこられれば、1の条件はこんな具合でクリアできる。
注意したいのは、これは「年度内」の成績なので、規定をクリアしても、残る対局で負けてしまっては元も子もない。対局数を少なくして、勝率6割台をキープすることが重要なのである。
2.は現在、良いところ取りで「13勝4敗」なので、「20勝10敗」「21勝11敗」が条件。よって、この後の13局を「7勝6敗」、あるいは15局を「8勝7敗」で乗り切ればよい。また、前年度の終わり8局が4勝4敗なので、この後の8局を「6勝2敗」で乗り切ってもよい。
3.は、「(参加棋戦9+1)×3=30」局以上となる。すなわち今年度中にあと16局指せばよい。
<一例>
第64回NHK杯 ●
第56期王位戦 ○●
第8回朝日杯 ○●
第63期王座戦 ○●
第28期竜王戦6組ランキング戦 ●
第41期棋王戦 ○●
第65期王将戦 ○●
第65回NHK杯 ○●
第28期竜王戦昇級者決定戦 ○●
(2014年度終了)
ここでは1と違って、ひたすら対局数が増えればよい。対局数と勝ち星の価値が、条件によって変わってくるのが恐ろしいところだ。
上の例なら、今後の対局で最大9敗しても、合計30局にはなる。ただし、そうまくはいかない。
竜王戦昇級者決定戦の対局は、いつも4月以降にズレこむ。6組は女流棋士やアマチュアが参加しているが、彼女らが勝ち進むと、敗者戦のトーナメント表が組めなくなってしまうからだ。手合課だって年度末になれば、熊坂五段の都合のいい日程を組んでくれるだろうが、手合いが付けられない場合はどうしようもない。
そこで最悪のケースは、今後の15局を熊坂五段が「7勝8敗」で乗り切り、竜王戦昇級者決定戦の対局を残して、「17勝12敗」で今年度を終えてしまった場合だ。
これだと1の「年度17勝11敗」をクリアできず、2の「良いところ取り20勝10敗」もクリアできず、3の「年度30対局」もクリアできない。
残っている対局は対局できるから、2015年度も竜王戦昇級者決定戦は対局できる。問題はこれらの対局を、「良いところ取りで、30局以上の成績が6割5分以上」に反映できるかどうかということである。すなわち現規定では、フリークラス丸10年経過で、引退が優先されてしまう公算が高いからだ。
もし引退優先なら、これは第29期竜王戦の出場権を懸けた戦いのみ。
反映可能なら、昇級者決定戦で3連勝すれば、「良いところ取り23勝12敗で勝率.657」となり、順位戦に復帰できる。もしそうなったら、3連勝目は、順位戦復帰か引退かの、ウン●を漏らしそうな鬼勝負となる。
4.は、いまのところNHK杯で優勝するしかないが、これは現実的ではない。
<まとめ>
熊坂五段が順位戦に復帰するには
A 今年度をあと「7勝7敗で終了」し、「今年度17勝11敗」をクリアする。
B 今後の8局を「6勝2敗」とし、「良いところ取り20勝10敗」をクリアする。
C 今後の13局を「7勝6敗」とし、「良いところ取り20勝10敗」をクリアする。
D 今後の15局を「8勝7敗」とし、「良いところ取り21勝11敗」をクリアする。
E 今年度をあと「8勝8敗で終了」し、「年度30対局」をクリアする。
F 第64回NHK杯であと5連勝する。
基本的な考えは、年度末までに7勝が最低条件である。可能性としては、Cが最も達成しやすいと思う。
棋戦はトーナメント形式なので、初戦で負けると、ほかの棋戦で2勝、3勝を稼がなければならなくなり、苦しい。とにかく熊坂五段は、これから各棋戦で緒戦を勝利し、つねに勝ち越しの状態でいるべきである。
…本音を書けば、こういう皮算用は、植山悦行七段や大野八一雄七段が現役のときにやりたかった。
そこできょうは、順位戦復帰の条件を、いつも以上に詳しく書いてみよう。
まず、熊坂五段の成績の内訳を記す。ここが基準点である。
・今年度成績 ○●●○●○●○○○○○○?○ 10勝4敗(未放映のテレビ対局を除く)
・昨年度からの成績 2013年度……○●●●●○○○ 2014年度○●●○●○●○○○○○○○ 良いところ取りで13勝4敗
次に、今年度の残り対局予定を記す。
第64回NHK杯将棋トーナメント本戦2回戦 畠山鎮七段(10月20日対局済、11月23日放映予定)
第56期王位戦予選3回戦 佐藤慎一四段
第8回朝日将棋オープン戦一次予選決勝 塚田泰明九段or戸辺誠六段
第63期王座戦一次予選2回戦 千葉幸生六段
第28期竜王ランキング戦6組(and昇級者決定戦)
第65期王将戦一次予選
第41期棋王戦予選
第65回NHK杯将棋トーナメント予選(第64回の成績次第では免除の可能性あり)
次に、順位戦復帰規定を今一度確認しておこう。
1.年度に「参加棋戦数+8」勝以上の成績を挙げ、勝率6割以上。
2.良い所取りで、30局以上の勝率が6割5分以上。
3.年度対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上。
4.全棋士参加棋戦優勝もしくはタイトル戦挑戦。
これをさらに詳しく記すと、
1.は、熊坂五段の参加棋戦は「竜王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦、NHK杯、朝日杯、銀河戦の合計9」なので、17勝を挙げなければならない。なお今年度の熊坂五段は、王将戦やNHK杯を2期ぶん指すことになるが、それは1棋戦として数えるので問題ない。
「17勝で勝率6割以上」は、負け数が「11」となる。すなわち今年度の残りを7勝7敗で乗り切ればよい。これを今後の勝敗に当てはめてみよう。
<一例>
第64回NHK杯 ●
第56期王位戦 ○●
第8回朝日杯 ○●
第63期王座戦 ○●
第28期竜王戦6組ランキング戦 ●
第41期棋王戦 ○●
第65期王将戦 ○
第65回NHK杯 ○●
第28期竜王戦昇級者決定戦 ○
(2014年度終了)
………………………………
(2015年度)
第65期王将戦 ●
第28期竜王戦昇級者決定戦 ●
熊坂五段の年度内負け数は最大「9」だが、後ろの2敗を2015年度に持ってこられれば、1の条件はこんな具合でクリアできる。
注意したいのは、これは「年度内」の成績なので、規定をクリアしても、残る対局で負けてしまっては元も子もない。対局数を少なくして、勝率6割台をキープすることが重要なのである。
2.は現在、良いところ取りで「13勝4敗」なので、「20勝10敗」「21勝11敗」が条件。よって、この後の13局を「7勝6敗」、あるいは15局を「8勝7敗」で乗り切ればよい。また、前年度の終わり8局が4勝4敗なので、この後の8局を「6勝2敗」で乗り切ってもよい。
3.は、「(参加棋戦9+1)×3=30」局以上となる。すなわち今年度中にあと16局指せばよい。
<一例>
第64回NHK杯 ●
第56期王位戦 ○●
第8回朝日杯 ○●
第63期王座戦 ○●
第28期竜王戦6組ランキング戦 ●
第41期棋王戦 ○●
第65期王将戦 ○●
第65回NHK杯 ○●
第28期竜王戦昇級者決定戦 ○●
(2014年度終了)
ここでは1と違って、ひたすら対局数が増えればよい。対局数と勝ち星の価値が、条件によって変わってくるのが恐ろしいところだ。
上の例なら、今後の対局で最大9敗しても、合計30局にはなる。ただし、そうまくはいかない。
竜王戦昇級者決定戦の対局は、いつも4月以降にズレこむ。6組は女流棋士やアマチュアが参加しているが、彼女らが勝ち進むと、敗者戦のトーナメント表が組めなくなってしまうからだ。手合課だって年度末になれば、熊坂五段の都合のいい日程を組んでくれるだろうが、手合いが付けられない場合はどうしようもない。
そこで最悪のケースは、今後の15局を熊坂五段が「7勝8敗」で乗り切り、竜王戦昇級者決定戦の対局を残して、「17勝12敗」で今年度を終えてしまった場合だ。
これだと1の「年度17勝11敗」をクリアできず、2の「良いところ取り20勝10敗」もクリアできず、3の「年度30対局」もクリアできない。
残っている対局は対局できるから、2015年度も竜王戦昇級者決定戦は対局できる。問題はこれらの対局を、「良いところ取りで、30局以上の成績が6割5分以上」に反映できるかどうかということである。すなわち現規定では、フリークラス丸10年経過で、引退が優先されてしまう公算が高いからだ。
もし引退優先なら、これは第29期竜王戦の出場権を懸けた戦いのみ。
反映可能なら、昇級者決定戦で3連勝すれば、「良いところ取り23勝12敗で勝率.657」となり、順位戦に復帰できる。もしそうなったら、3連勝目は、順位戦復帰か引退かの、ウン●を漏らしそうな鬼勝負となる。
4.は、いまのところNHK杯で優勝するしかないが、これは現実的ではない。
<まとめ>
熊坂五段が順位戦に復帰するには
A 今年度をあと「7勝7敗で終了」し、「今年度17勝11敗」をクリアする。
B 今後の8局を「6勝2敗」とし、「良いところ取り20勝10敗」をクリアする。
C 今後の13局を「7勝6敗」とし、「良いところ取り20勝10敗」をクリアする。
D 今後の15局を「8勝7敗」とし、「良いところ取り21勝11敗」をクリアする。
E 今年度をあと「8勝8敗で終了」し、「年度30対局」をクリアする。
F 第64回NHK杯であと5連勝する。
基本的な考えは、年度末までに7勝が最低条件である。可能性としては、Cが最も達成しやすいと思う。
棋戦はトーナメント形式なので、初戦で負けると、ほかの棋戦で2勝、3勝を稼がなければならなくなり、苦しい。とにかく熊坂五段は、これから各棋戦で緒戦を勝利し、つねに勝ち越しの状態でいるべきである。
…本音を書けば、こういう皮算用は、植山悦行七段や大野八一雄七段が現役のときにやりたかった。