フジテレビで火曜日に放送中の「素敵な選TAXI」は、「選択肢」と掛けていたのだと気づいた。
テレビの刑事物は、「実際にはこんなことはないよなあ」という展開がよくある。
実際そうで、本当の警察は、「こんなに優秀ではない」。
以前もここに書いたことがあるので恐縮だが、ウチのオフクロはいまから15年以上前、近所で起こった傷害事件の容疑者を捕まえたことがある。
その日の夜、近くのアパートに住んでいた男性が、ケンカの果てにお母さんを包丁で刺してしまった。
表が騒がしいのでオフクロが出ると、その男性が包丁を持ったままボーッと立っている。オフクロは駆け寄ると、「何やってんの!」と、男性から包丁を取り上げた。その場面を私も見ている。
そこに初老の警官がやってきた。近所の住民の連絡を受けたのだ。しかし容疑者はそこに静かにしており、すでに「凶器」もこちらで確保している。
オフクロが経緯を話すと、「奥さん、あんたが(容疑者から凶器を)取ったの?」と、警官は目を丸くした。まあ、それはそうだろう。親を刺した凶悪犯?に一主婦が素手で立ち向かい?、凶器を取り上げたうえ、容疑者を確保してしまったのだから。
近所の人からもいろいろ証言を聞いた警官は帰り際、オフクロに「奥さん、今回のこと(容疑者から凶器を取り上げたこと)はどうかひとつ…」と言って、口の前に人差し指を立てた。内密に、という意味だった。
そしてこの容疑者は、この警官が捕まえたことになったようだ。
まあ、気持ちは分かる。主婦が容疑者を捕まえたんじゃ、まるでテレビドラマで、警察の立場がない。第一それでは、警官の手柄、すなわち「得点」がなくなってしまう。
ところが面白いのはここからである。これは翌朝の新聞にも載ったそこそこの事件だったので、犯人確保に協力した市民に、感謝状は出さなければならない。しかし「主役」のオフクロは表舞台から消えているので、上げようにも上げられない。
困った警察は、通報した近所のオバサンに感謝状を渡したのだった。
しかし、それじゃあんまりだ、という声が近所から出て、後日ウチのオフクロにも、感謝状が出たようだった。
ときどき新聞などで、芸能人や一般市民が容疑者逮捕に協力したとかで、表彰されたという記事を見る。しかしこれ、警察の本音としては、やりたくないんじゃなかろうか。
騒ぎが大きくなって、隠し切れなくなったから、やむを得ず表彰した、というところが本音ではないかと思うのだ。
また別の話。数年前、ウチの近所でひったくり事件があった。80歳を超えたおばあさんが、アジア系外国人にバッグをひったくられたのだ。ちょうどこのころ、同種の犯罪が多発していた。
おばあさんは途中まで追い掛けたが、追いつくはずもなく、助けを聞いた複数の第三者が、外国人を追い掛けた。
その騒ぎが大きくなり、私も表に出ると、アジア人が物陰に隠れたところだった。
ちょうど近所の人が集まったので、私たちは彼らを取り囲み、確保した。そこに警官が来たので、警察に事情を話すため、近所のおじさんが代表して、警察署に向かった。
ところが面白いのはここからである。容疑者は犯行を否認した。バッグは道で拾ったと主張したらしい。まあ、そう言うだろう。
だけどそんなもの言い逃れにすぎない、とふつうは思う。ところが警察はこれを真に受けたのか、被害者のおばあさんにいろいろ詰問したらしい。
――あなたは本当に犯人を追い掛けたの?
――80歳なのに走れたの?
――本当に犯人はあのアジア人だった?
――途中で見失ったんじゃない?
挙句の果ては、おばあさんの狂言じゃないか、とまで言い出したらしい。事情を話しに行ったおじさんも、最初から容疑者を見ていたわけではないから、容疑者同一説を立証はできない。結局おじさんは、午前2時まで拘束されたらしい。
しかもしかも、そのアジア人は翌朝、容疑不十分で釈放されてしまったというから、驚いた。
私は警察の及び腰に、ほとほと呆れた。警察は、市民の手柄を認めたがらないんじゃないか? これじゃあ日本に誤認逮捕が少ないわけだと思った。
ちなみにその半月後、隣りの区で、アジア人によるひったくり事件が発生した。犯人はこの男だったのではないかと、私はいまも思っている。
同じく数年前、近所で殺人事件が起こった。ある日の早朝に、サラリーマンが首を切られて殺害されたのだ。
しかしこんな警察だから、犯人なんて捕まえられるわけがない。ウチにも警察が聞き込みに来たが、情報を提供できるわけがない。
事件は結局、お宮入りになった。まあ、そうであろう。
…と長々と書いてきたのは、先日ウチのオヤジがクルマを運転中、一時停止違反で反則キップを切られたからだ。
その日は仕事で私も同乗していたのだが、幹線道路から一本左に入るとき、一時停止の表示があるのをうっかりし、ノンストップで侵入してしまった。
「あれ…いまの…」
とオヤジは気付いたがもう遅い。と、そこに前方から、警官が現れた。何というグッドタイミング。いやタイミングの悪さか。
すぐ前に停まっていた宅配便のトラックが出て行ったので、私たちはそこにクルマを停めると、型どおりごちゃごちゃやって、反則金7,000円のキップを切られた。
これは推測だが、前のトラックも、一時停止不履行でやられたようだ。
どうもここは、「一時停止不履行」の多発地帯なのではないか? でないと、警官がタイミングよく現れるなんておかしい。
で、ここから半分八つ当たりなのだが、ここがそういう場所なら、違反者を取り締まるのではなく、もっと一時停止を目立たせるような工夫をしろ、と思うのだ。
そうまでして警察は、違反者を捕まえて、手柄を立てたいのか? お前ら、もっとほかにやることがあるんじゃないのか??
日本の警察はつくづく●能だ、と私は再認識したのであった。
テレビの刑事物は、「実際にはこんなことはないよなあ」という展開がよくある。
実際そうで、本当の警察は、「こんなに優秀ではない」。
以前もここに書いたことがあるので恐縮だが、ウチのオフクロはいまから15年以上前、近所で起こった傷害事件の容疑者を捕まえたことがある。
その日の夜、近くのアパートに住んでいた男性が、ケンカの果てにお母さんを包丁で刺してしまった。
表が騒がしいのでオフクロが出ると、その男性が包丁を持ったままボーッと立っている。オフクロは駆け寄ると、「何やってんの!」と、男性から包丁を取り上げた。その場面を私も見ている。
そこに初老の警官がやってきた。近所の住民の連絡を受けたのだ。しかし容疑者はそこに静かにしており、すでに「凶器」もこちらで確保している。
オフクロが経緯を話すと、「奥さん、あんたが(容疑者から凶器を)取ったの?」と、警官は目を丸くした。まあ、それはそうだろう。親を刺した凶悪犯?に一主婦が素手で立ち向かい?、凶器を取り上げたうえ、容疑者を確保してしまったのだから。
近所の人からもいろいろ証言を聞いた警官は帰り際、オフクロに「奥さん、今回のこと(容疑者から凶器を取り上げたこと)はどうかひとつ…」と言って、口の前に人差し指を立てた。内密に、という意味だった。
そしてこの容疑者は、この警官が捕まえたことになったようだ。
まあ、気持ちは分かる。主婦が容疑者を捕まえたんじゃ、まるでテレビドラマで、警察の立場がない。第一それでは、警官の手柄、すなわち「得点」がなくなってしまう。
ところが面白いのはここからである。これは翌朝の新聞にも載ったそこそこの事件だったので、犯人確保に協力した市民に、感謝状は出さなければならない。しかし「主役」のオフクロは表舞台から消えているので、上げようにも上げられない。
困った警察は、通報した近所のオバサンに感謝状を渡したのだった。
しかし、それじゃあんまりだ、という声が近所から出て、後日ウチのオフクロにも、感謝状が出たようだった。
ときどき新聞などで、芸能人や一般市民が容疑者逮捕に協力したとかで、表彰されたという記事を見る。しかしこれ、警察の本音としては、やりたくないんじゃなかろうか。
騒ぎが大きくなって、隠し切れなくなったから、やむを得ず表彰した、というところが本音ではないかと思うのだ。
また別の話。数年前、ウチの近所でひったくり事件があった。80歳を超えたおばあさんが、アジア系外国人にバッグをひったくられたのだ。ちょうどこのころ、同種の犯罪が多発していた。
おばあさんは途中まで追い掛けたが、追いつくはずもなく、助けを聞いた複数の第三者が、外国人を追い掛けた。
その騒ぎが大きくなり、私も表に出ると、アジア人が物陰に隠れたところだった。
ちょうど近所の人が集まったので、私たちは彼らを取り囲み、確保した。そこに警官が来たので、警察に事情を話すため、近所のおじさんが代表して、警察署に向かった。
ところが面白いのはここからである。容疑者は犯行を否認した。バッグは道で拾ったと主張したらしい。まあ、そう言うだろう。
だけどそんなもの言い逃れにすぎない、とふつうは思う。ところが警察はこれを真に受けたのか、被害者のおばあさんにいろいろ詰問したらしい。
――あなたは本当に犯人を追い掛けたの?
――80歳なのに走れたの?
――本当に犯人はあのアジア人だった?
――途中で見失ったんじゃない?
挙句の果ては、おばあさんの狂言じゃないか、とまで言い出したらしい。事情を話しに行ったおじさんも、最初から容疑者を見ていたわけではないから、容疑者同一説を立証はできない。結局おじさんは、午前2時まで拘束されたらしい。
しかもしかも、そのアジア人は翌朝、容疑不十分で釈放されてしまったというから、驚いた。
私は警察の及び腰に、ほとほと呆れた。警察は、市民の手柄を認めたがらないんじゃないか? これじゃあ日本に誤認逮捕が少ないわけだと思った。
ちなみにその半月後、隣りの区で、アジア人によるひったくり事件が発生した。犯人はこの男だったのではないかと、私はいまも思っている。
同じく数年前、近所で殺人事件が起こった。ある日の早朝に、サラリーマンが首を切られて殺害されたのだ。
しかしこんな警察だから、犯人なんて捕まえられるわけがない。ウチにも警察が聞き込みに来たが、情報を提供できるわけがない。
事件は結局、お宮入りになった。まあ、そうであろう。
…と長々と書いてきたのは、先日ウチのオヤジがクルマを運転中、一時停止違反で反則キップを切られたからだ。
その日は仕事で私も同乗していたのだが、幹線道路から一本左に入るとき、一時停止の表示があるのをうっかりし、ノンストップで侵入してしまった。
「あれ…いまの…」
とオヤジは気付いたがもう遅い。と、そこに前方から、警官が現れた。何というグッドタイミング。いやタイミングの悪さか。
すぐ前に停まっていた宅配便のトラックが出て行ったので、私たちはそこにクルマを停めると、型どおりごちゃごちゃやって、反則金7,000円のキップを切られた。
これは推測だが、前のトラックも、一時停止不履行でやられたようだ。
どうもここは、「一時停止不履行」の多発地帯なのではないか? でないと、警官がタイミングよく現れるなんておかしい。
で、ここから半分八つ当たりなのだが、ここがそういう場所なら、違反者を取り締まるのではなく、もっと一時停止を目立たせるような工夫をしろ、と思うのだ。
そうまでして警察は、違反者を捕まえて、手柄を立てたいのか? お前ら、もっとほかにやることがあるんじゃないのか??
日本の警察はつくづく●能だ、と私は再認識したのであった。