大庭美樹女流初段との指導対局の前に、特典により、ツーショットで記念撮影。私は写真に映るのが嫌いなのだが、断るわけにはいかない。
私は3人掛けの机の右端に座り、対局開始となった。
初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△3三角▲3六飛△8四飛▲2六飛△2二銀
▲8七歩△5二玉▲5八玉△1四歩▲3八金△7二銀▲4八銀△2三銀▲3六歩△8六歩▲同歩△同飛▲3五歩△8八飛成▲同銀△5五角打(第1図)
私は初手▲2六歩。大庭女流初段は右玉を得意としているが4手目に△8四歩とし、横歩取りの将棋になった。意外な展開である。
上手は△1四歩から△2三銀。上手の△2三銀型はもはや常識となりつつあるようだ。
隣のエリアでは、鹿野圭生女流二段が指導対局を行っている。どちらも3名満員となっていた。
▲3六歩に上手は△8六歩と合わせてくる。2月21日の植山悦行七段との将棋でもこうなったが、これはセット手順らしい。
△8六同飛に▲3五歩も当然。ここで大庭女流初段が△8八飛成ときたのでまたもビックリした。
△5五角打にはどう指すべきか。
第1図以下の指し手。▲8三歩△8八角成▲同金△同角成▲8二歩成△8九馬▲7二と△6九銀▲4九玉△6七馬▲3九玉△2五歩(第2図)
局面は風雲急を告げているが、私は不謹慎ながら、例の詰将棋を腿に置いて指していた。大庭女流初段がほかの将棋に移っている時に、局面を盗み見するためだ。しかしこれ、指導を受ける側としては最悪の姿勢で、読者には勧められない。絶対にやめるべきである。
私は▲8三歩と打った。ここ▲7七桂も考えたが、△1九角成とされ、次に△1五角~△2九馬があり、下手とてももたない。さりげない△1四歩がよく効いている。
△8八角成からの二枚換えは痛いが、下手も▲8二歩成~▲7二とと銀を取って、まだまだ戦えると思っていた。
上手は△6九銀~△6七馬。この追撃もキツいが、こちらは▲8七飛の楽しみができた。
大庭女流初段は△2五歩と打ち、飛車のご機嫌を聞く。
第2図以下の指し手。▲6一と△2六歩▲6二飛△4一玉▲2二角△4九飛(途中図)
▲2八玉△2七金▲同金△同歩成(投了図)
まで、58手で大庭女流初段の勝ち。
私は無視して▲6一とと金を取った。これは詰めろではないっぽいが、もちろん理由もあって、次の上手の△2六歩も詰めろではないと思ったのだ。
私は▲2二角と上手玉の退路を断つ。これで上手玉は受けなし、勝ったと思った。
ところが大庭女流初段に△4九飛(途中図)と打たれ飛び上がった。
バカな、△4九金の一手と思い込み、それは▲2八玉で下手勝ちとフンでいたのだ。
本譜は▲2八玉に△2七金と打たれて、あとは容易な詰みである。▲2七同金△同歩成まで、投了した。
感想戦。△5五角打に私の▲8三歩がまずく、ここは▲7七桂だったらしい。また歩を打つなら▲8二だったという。
第2図での▲6一とが決定的な敗着で、上手玉が詰めろでない。この局面を大庭女流初段は「知っている」ふうだった。さすがにプロの研究量はすごい。
だが第2図で▲2五同飛も△3六桂が厳しく、下手敗勢。遡っていくと、第1図での▲8三歩が敗着だったようだ。
整理すると本局、教わったのは、第1図で▲7七桂と▲8二歩、ということだけだった。
それで思ったのだが、指導対局で横歩取りは良し悪しだ。勝負になればいいが、吹っ飛ばされると、あまりにも勉強になるところが少ない。
まったく冴えなかったが、皮肉なことに、これで詰将棋解図に専念できる。
ステージは、蛸島彰子女流五段―渡部愛女流初段戦である。解説は中座真七段、聞き手は中倉宏美女流二段が務めていた。久しぶりに見る宏美女流二段はいつも通りの平安顔である。今年こそ優勝してもらいたいが、どうなるか。
将棋はもちろん蛸島女流五段の振り飛車だった。蛸島女流五段が飛車で桂を食いちぎり、敵陣に迫った。小駒だけの攻めだが、意外に手が続きそうだ。
▲5三銀、と畳みかける。「ガジガジ流ですね」と中座七段。これは蛸島女流五段のほうを持ちたくなってきた。
会場の左手では、島井咲緒里女流二段が戦況を見守っている。島井女流二段はこのあと、宏美女流二段と準決勝2を戦う。
私は詰将棋の2問目が解けた。収束が若干怪しかったが、最終型が想像できたので、微修正した。このあぶりだしは漢数字。よくこういう詰将棋を創れるものだと思う。
席上対局は蛸島女流五段が優勢になっていたはずだが、ちょっと目を離したスキに、おかしなことになっていた。
何でこんなことになってしまったのか。現局面から数手戻してみる。
ここで蛸島女流五段はどう指したか。
(つづく)
私は3人掛けの机の右端に座り、対局開始となった。
初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△3三角▲3六飛△8四飛▲2六飛△2二銀
▲8七歩△5二玉▲5八玉△1四歩▲3八金△7二銀▲4八銀△2三銀▲3六歩△8六歩▲同歩△同飛▲3五歩△8八飛成▲同銀△5五角打(第1図)
私は初手▲2六歩。大庭女流初段は右玉を得意としているが4手目に△8四歩とし、横歩取りの将棋になった。意外な展開である。
上手は△1四歩から△2三銀。上手の△2三銀型はもはや常識となりつつあるようだ。
隣のエリアでは、鹿野圭生女流二段が指導対局を行っている。どちらも3名満員となっていた。
▲3六歩に上手は△8六歩と合わせてくる。2月21日の植山悦行七段との将棋でもこうなったが、これはセット手順らしい。
△8六同飛に▲3五歩も当然。ここで大庭女流初段が△8八飛成ときたのでまたもビックリした。
△5五角打にはどう指すべきか。
第1図以下の指し手。▲8三歩△8八角成▲同金△同角成▲8二歩成△8九馬▲7二と△6九銀▲4九玉△6七馬▲3九玉△2五歩(第2図)
局面は風雲急を告げているが、私は不謹慎ながら、例の詰将棋を腿に置いて指していた。大庭女流初段がほかの将棋に移っている時に、局面を盗み見するためだ。しかしこれ、指導を受ける側としては最悪の姿勢で、読者には勧められない。絶対にやめるべきである。
私は▲8三歩と打った。ここ▲7七桂も考えたが、△1九角成とされ、次に△1五角~△2九馬があり、下手とてももたない。さりげない△1四歩がよく効いている。
△8八角成からの二枚換えは痛いが、下手も▲8二歩成~▲7二とと銀を取って、まだまだ戦えると思っていた。
上手は△6九銀~△6七馬。この追撃もキツいが、こちらは▲8七飛の楽しみができた。
大庭女流初段は△2五歩と打ち、飛車のご機嫌を聞く。
第2図以下の指し手。▲6一と△2六歩▲6二飛△4一玉▲2二角△4九飛(途中図)
▲2八玉△2七金▲同金△同歩成(投了図)
まで、58手で大庭女流初段の勝ち。
私は無視して▲6一とと金を取った。これは詰めろではないっぽいが、もちろん理由もあって、次の上手の△2六歩も詰めろではないと思ったのだ。
私は▲2二角と上手玉の退路を断つ。これで上手玉は受けなし、勝ったと思った。
ところが大庭女流初段に△4九飛(途中図)と打たれ飛び上がった。
バカな、△4九金の一手と思い込み、それは▲2八玉で下手勝ちとフンでいたのだ。
本譜は▲2八玉に△2七金と打たれて、あとは容易な詰みである。▲2七同金△同歩成まで、投了した。
感想戦。△5五角打に私の▲8三歩がまずく、ここは▲7七桂だったらしい。また歩を打つなら▲8二だったという。
第2図での▲6一とが決定的な敗着で、上手玉が詰めろでない。この局面を大庭女流初段は「知っている」ふうだった。さすがにプロの研究量はすごい。
だが第2図で▲2五同飛も△3六桂が厳しく、下手敗勢。遡っていくと、第1図での▲8三歩が敗着だったようだ。
整理すると本局、教わったのは、第1図で▲7七桂と▲8二歩、ということだけだった。
それで思ったのだが、指導対局で横歩取りは良し悪しだ。勝負になればいいが、吹っ飛ばされると、あまりにも勉強になるところが少ない。
まったく冴えなかったが、皮肉なことに、これで詰将棋解図に専念できる。
ステージは、蛸島彰子女流五段―渡部愛女流初段戦である。解説は中座真七段、聞き手は中倉宏美女流二段が務めていた。久しぶりに見る宏美女流二段はいつも通りの平安顔である。今年こそ優勝してもらいたいが、どうなるか。
将棋はもちろん蛸島女流五段の振り飛車だった。蛸島女流五段が飛車で桂を食いちぎり、敵陣に迫った。小駒だけの攻めだが、意外に手が続きそうだ。
▲5三銀、と畳みかける。「ガジガジ流ですね」と中座七段。これは蛸島女流五段のほうを持ちたくなってきた。
会場の左手では、島井咲緒里女流二段が戦況を見守っている。島井女流二段はこのあと、宏美女流二段と準決勝2を戦う。
私は詰将棋の2問目が解けた。収束が若干怪しかったが、最終型が想像できたので、微修正した。このあぶりだしは漢数字。よくこういう詰将棋を創れるものだと思う。
席上対局は蛸島女流五段が優勢になっていたはずだが、ちょっと目を離したスキに、おかしなことになっていた。
何でこんなことになってしまったのか。現局面から数手戻してみる。
ここで蛸島女流五段はどう指したか。
(つづく)