今年に入って、著名なマンガ家が相次いで亡くなっている。
まず、ちば拓が2月27日に亡くなった。享年56歳。
代表作は1982年から週刊少年ジャンプに連載された「キックオフ」で、高校のサッカー部が舞台でありながら、主人公の永井太陽と川村由美がお互い見つめあって「永井くん」「由美ちゃん」とつぶやくシーンが毎週のようにあり、それだけが印象に残っている。
3月10日は聖日出夫が逝去。享年69歳。氏の代表作は「なぜか笑介」で、若手サラリーマンの奮闘記が我が人生と重なって、毎週興味深く読んでいた。
ちなみに私は中学生の時、同人マンガを描いていたが、級友から、私のキャラが聖日出夫の画風に似ていると言われたことがある。
氏のマンガでは、週刊少年サンデーに連載されていた「試験あらし」が好きだった。さまざまなカンニング方法を駆使して東大を目指すもので、毎回の奇抜なカンニングには唸ったものだった。
小山田いく、は3月にひっそりと逝去。享年59歳。代表作に「すくらっぷ・ブック」がある。これが連載されていた1980年前後の週刊少年チャンピオンは同誌の黄金期で、水島新司「ドカベン」、手塚治虫「ブラック・ジャック」、山上たつひこ「がきデカ」、石井いさみ「750ライダー」、古賀新一「エコエコアザラク」など、錚々たるマンガがそろっていた。
小山田いくの絵柄はほのぼのとしていたが、それゆえあまり読んだことはなかった。
望月三起也は4月3日に逝去。享年77歳。望月三起也といえば言わずと知れた「ワイルド7」で、テレビでは小野進也の印象が鮮やかだが、原作は週刊少年キングでの連載である。約10年間の長期連載だった。
私は原作を読んだことはほとんどないが、登場人物の一人「ユキ」が、「夏にユキが降ってくる」という老婆の予言のもと、最終話では本当にユキが天から落ちて終わった(と記憶している)のが印象的だった。
ご冥福をお祈りいたします。
話は変わるが、先月ある女流マンガ家が、あるマンガ編集者との会話をツイートした。ちなみにこの女流マンガ家は、現在将棋をテーマにしたマンガを連載している。
会話はこんな感じだったらしい。
編集者「なぜ将棋を(題材にしたの)?」
マンガ家「棋士と漫画家は似たところがあるような気がして」
編集者「どこが!? だって棋士は命を賭けてるんだよ!?」
――マンガ家は命を賭けていない、ということなのだろう。
マンガ編集者とは思えぬ暴論に、私は口をあんぐりした。こういう、棋士を盲目的に崇拝するあまり、アホなことを口走る手合いが意外に多いが、その矛先が同業者とは、開いた口が塞がらない。
私に言わせれば、マンガ家ほどわが身を削って仕事をしている人はいないと思う。つねに読者の望む作品を紡いで、その姿はストイックでさえある。私は将棋とマンガ、両方の世界を知っているつもりだが、マンガ家を将棋に譬えれば、順位戦を毎日戦っているようなものである。
だからマンガ家は短命が多い。有名どころでいえば、手塚治虫は60歳、藤子・F・不二雄は62歳、石ノ森章太郎は60歳で逝去した。ちば拓も小山田いくも、還暦前に亡くなった。
もちろん、やなせたかしや水木しげるなど長命のマンガ家もいるが、マンガ家の平均寿命は、日本人のそれを下回ると思う。
私の仕事はとても命を賭けてはいないが、肉体的な危険はわずかにある。しかしマンガ家のそれには遠く及ばない。でもわずかながら、命を削って、仕事をしているつもりである。
まず、ちば拓が2月27日に亡くなった。享年56歳。
代表作は1982年から週刊少年ジャンプに連載された「キックオフ」で、高校のサッカー部が舞台でありながら、主人公の永井太陽と川村由美がお互い見つめあって「永井くん」「由美ちゃん」とつぶやくシーンが毎週のようにあり、それだけが印象に残っている。
3月10日は聖日出夫が逝去。享年69歳。氏の代表作は「なぜか笑介」で、若手サラリーマンの奮闘記が我が人生と重なって、毎週興味深く読んでいた。
ちなみに私は中学生の時、同人マンガを描いていたが、級友から、私のキャラが聖日出夫の画風に似ていると言われたことがある。
氏のマンガでは、週刊少年サンデーに連載されていた「試験あらし」が好きだった。さまざまなカンニング方法を駆使して東大を目指すもので、毎回の奇抜なカンニングには唸ったものだった。
小山田いく、は3月にひっそりと逝去。享年59歳。代表作に「すくらっぷ・ブック」がある。これが連載されていた1980年前後の週刊少年チャンピオンは同誌の黄金期で、水島新司「ドカベン」、手塚治虫「ブラック・ジャック」、山上たつひこ「がきデカ」、石井いさみ「750ライダー」、古賀新一「エコエコアザラク」など、錚々たるマンガがそろっていた。
小山田いくの絵柄はほのぼのとしていたが、それゆえあまり読んだことはなかった。
望月三起也は4月3日に逝去。享年77歳。望月三起也といえば言わずと知れた「ワイルド7」で、テレビでは小野進也の印象が鮮やかだが、原作は週刊少年キングでの連載である。約10年間の長期連載だった。
私は原作を読んだことはほとんどないが、登場人物の一人「ユキ」が、「夏にユキが降ってくる」という老婆の予言のもと、最終話では本当にユキが天から落ちて終わった(と記憶している)のが印象的だった。
ご冥福をお祈りいたします。
話は変わるが、先月ある女流マンガ家が、あるマンガ編集者との会話をツイートした。ちなみにこの女流マンガ家は、現在将棋をテーマにしたマンガを連載している。
会話はこんな感じだったらしい。
編集者「なぜ将棋を(題材にしたの)?」
マンガ家「棋士と漫画家は似たところがあるような気がして」
編集者「どこが!? だって棋士は命を賭けてるんだよ!?」
――マンガ家は命を賭けていない、ということなのだろう。
マンガ編集者とは思えぬ暴論に、私は口をあんぐりした。こういう、棋士を盲目的に崇拝するあまり、アホなことを口走る手合いが意外に多いが、その矛先が同業者とは、開いた口が塞がらない。
私に言わせれば、マンガ家ほどわが身を削って仕事をしている人はいないと思う。つねに読者の望む作品を紡いで、その姿はストイックでさえある。私は将棋とマンガ、両方の世界を知っているつもりだが、マンガ家を将棋に譬えれば、順位戦を毎日戦っているようなものである。
だからマンガ家は短命が多い。有名どころでいえば、手塚治虫は60歳、藤子・F・不二雄は62歳、石ノ森章太郎は60歳で逝去した。ちば拓も小山田いくも、還暦前に亡くなった。
もちろん、やなせたかしや水木しげるなど長命のマンガ家もいるが、マンガ家の平均寿命は、日本人のそれを下回ると思う。
私の仕事はとても命を賭けてはいないが、肉体的な危険はわずかにある。しかしマンガ家のそれには遠く及ばない。でもわずかながら、命を削って、仕事をしているつもりである。