一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

陣屋に行く(2)

2016-04-14 01:00:00 | 将棋イベント
ここで塚田泰明九段が客席に向かい、対局者のどちらを応援に来たか、挙手を求めた。
「これはここだけの話にしといてください」
と塚田九段が言ったので結果は書かないが、私と同じ手合いが多かったようである。
私は加藤桃子女王にも好感を持っているし、長沢千和子女流四段そっくりのお母さまとも話をしたことがあるのでアレだが、加藤女王がマイナビ女子オープンと女流王座戦しか参戦していないのにタイトル6期とは異常で、「ゲスト」にここまで席巻されては、女流棋士の立場がない。
やはり加藤女王は奨励会員ということで、女流棋士のほうに肩入れせざるを得ない。室谷由紀女流二段は今回、女流棋士の代表としても頑張らねばならないのだ。
塚田一家は以前、3人で一組の扇子を販売したことがあるらしい。現在高群佐知子女流三段が昇段までカウントダウンらしく、塚田恵梨花女流2級が昇級した際には、再び新作を販売することも考えているそうだ。
ちなみにここ「陣屋」への来館は、高群女流三段は初めて。塚田九段は1987年の第35期王座戦で中原誠王座に挑戦した際、2連敗後の第3局で初めてここを訪れたらしい。
そこで塚田八段(当時)が勝ち、以後も連勝して王座を奪取したのだった。塚田新王座、時に22歳であった。
ところで部屋の後方にはコーヒーコーナーがあり、自由に飲むことができる。私も戴いたが、美味かった。
ここで次の一手クイズとなった。賞品は今回参加棋士の直筆色紙で、30人に当たる。さすがに2,160円を払うだけの見返りは用意してあるのだ。
3台のテレビモニターをすべて消して、次の一手を考える。でもケータイで指し手が分かるんじゃないか? なんて考えるのはヤボである。
現在△8八飛の局面で、捨て置けば△4八飛成▲同金△6六馬がある。そこで第一候補が、飛車の横利きを遮りつつ馬に当てる▲6八歩。
飛車道を遮断するなら第二候補の▲7八歩もあるが、馬取りにならないのが難点だ。
第三候補は、駒の連絡を密にする▲5七銀だった。
私は当てにいって、▲6八歩。ちなみにTod氏は▲5七銀だった。それぞれ配られた紙に書いて、投函した。
午後3時が過ぎ、しばし休憩となる。客のほとんどが席を立ったが、将棋ペンクラブ交流会などで拝見したことのある顔が多い。
みんな、どうやって時間を作って来ているのか。Tag氏に聞いてみると、「1日会社を休めばいいんだからラクですよ」とのことだった。
その他、ミスター中飛車氏にも挨拶した。みんな、将棋が好きなのだ。
部屋からは庭の鮮やかな木々が見える。散策したいこともなくはないが、動くのが面倒だった。
3時20分、再開。3番手の解説コンビは、瀬川晶司五段と中村真梨花女流三段だった。いろいろな棋士が見られて楽しい。
休憩の間に指し手が続いたので、次の一手が示される。正解はやはり「▲6八歩」で、52人が正解した。ここから30人が当選するから、かなりの確率だ。
2人により抽選が行われる。最初の10数人は中村女流三段が引く。私の名前は呼ばれなかった。
続いて瀬川五段。何人か呼ばれるが、まだ私の名前はない。「お、Tagさん」。何だかTag氏と知己の感じだった。
もう25人ぐらい呼ばれただろうか。もう確率27分の5で、あれよあれよという間に、当選率が低くなった。
「大沢…様」
お、ここで当たった!
色紙は呼ばれた順番に取りに行く。袋に入れたまま渡されるので、どの棋士が当たるか分からない。
私は、高浜愛子女流2級だった。これは、当たりというべきだろう。揮毫は、回…乙??? …何と書いてあるのか分からなかった。
解説会再開である。局面はあれからバタバタと進み、「由紀の桂馬のふんどし」が実現して、先手が大きな駒得となった。
そしてそれを自陣に入れる▲5七金が、最近の室谷流だ。気が付けば室谷陣は角、金、金、金、銀、銀が連結し、大模様になっている。
瀬川五段は室谷女流二段らと研究会を行っているとのこと。
「昔は攻め一辺倒だったけど、最近は受けが多くなってきました。やはり攻めだけでは厳しいから、これはいいことです」
新人王戦で近藤誠也四段に勝ったことも賞賛する。その成長ぶりに驚きを隠せないふうだ。「(マイナビの本戦でも)真梨花ちゃん、清水さん、西山さんを破って…(素晴らしい)」
加藤桃子女王については、「奨励会で勉強しているからか、序、中盤に詳しい」とのことだった。
また中村女流三段の室谷評は、「大差で勝つことが多い」だった。
加藤女王は△1五歩。これしかない反撃で、ここで戦いを起こせば、左辺の金銀をスカにできる。
とはいえ現在の雰囲気は、室谷女流二段の勝ちっぽい。それを踏まえて両解説者の五番勝負勝敗予想は、中村女流三段が「フルセットまで行くのではないかと」。
瀬川五段は、先に言われた…とばかり「フルセットで」。場内のみんなが苦笑した。
室谷女流二段は端の取り込みを許したが、と金を活用し、▲3二とと金得を果たす。これで金2枚と香の交換だから先手が優勢だが、意外に難しいところもある。自陣に駒が集まりすぎて、攻め駒が足りないのだ。
消費時間は両者ともほぼ同じで、残り30分前後。ここで客席から「▲1六歩」の声が上がった。
これが瀬川五段も賛同した渋い手で、室谷女流二段の指し手が注目された。
テレビに室谷女流二段の手が映り、▲1六歩と置く。おおーっ、と場内にどよめきとも歓声ともつかぬ声が上がった。
(つづく)
コメント (2)
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