一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9回武蔵の国・府中けやきカップ(4)

2016-04-08 00:03:21 | LPSAイベント

第1図から渡部愛女流初段は▲3二飛。打たれてみれば当然の一手だが、相手の島井咲緒里女流二段も解説の2人も、観客席のみんなも気付いていないふうだった。
ここで解説の上川香織女流二段が、中倉彰子女流初段に交代した。彰子女流初段は今日もみずみずしい。
島井女流二段はやむない△6六角。これに▲6二飛成もあったと思うのだが、渡部女流初段は▲同歩。むろんこれでも角銀交換の駒得で、先手十分になった。
この後も渡部女流初段の攻め、島井女流二段の受けが続く。島井女流二段は強烈な攻めが持ち味だが、受けもしっかりしている。
渡部女流初段は▲5五馬と引く。ここで中倉宏美女流二段から中座真七段に交代。よって夫婦解説になった。
島井女流二段△7二銀打(第2図)。何と金銀5枚の囲いになった。

中座七段はいきなり見解を求められ、「こういう、見たことのない形にするのは良いです。急所が見えにくくなりますから」と、後手の粘りを褒めた。
ところがこの堅陣が、数手後第3図のように変貌した。

穴熊の「香囲い」は珍しい。しかも後手の金底の歩は液状化現象を起こし、一段浮いてしまっている。一段目がスースー開いて、札幌地下街のようだ。
これは8一の地点が急所だ。渡部女流初段もそこを攻めて、いくばくもなく渡部女流初段の勝ちとなった。
渡部女流初段は1day何回目の優勝だろうか。おめでとうございます!!

表彰式の前に、岡本眞一郎氏による詰将棋の正解発表である。聞き手は彰子女流初段。
私たちが解いた一般問題のほかに、初心者向けの詰将棋もあったようだ。この問題がすこぶる簡単なのだが、詰将棋の基本はこれである。
岡本氏が初心者問題を解答して、5名に賞品が当たった。
続いて一般問題。詰将棋作家がみんなの前で解答手順を披露する。これは誇らしいひと時ではあるまいか。
彰子女流初段の聞き手もおもしろい。「これはどこから手をつけていいか…」は本音に聞こえて、こちらも笑ってしまう。
私は3問とも解けたが、やはり正解だった。前も書いたが、詰将棋作家は天才だと思う。これはプロ棋士がどんなにがんばっても、敵わぬものである。
この詰将棋は3名に賞品が当たるとのことだったが、私は当たってもよし、外れてもよしの心境だった。とにかくこの詰将棋は、しっかり解くことが作者への礼儀になる。今回はそれを完遂したので、もうそれで満足だった。
抽選は、全題正解者からの抽選になった。1人目は元アマ竜王の金子タカシ氏で、ああやっぱり、という感じ。
2人目に私が呼ばれた。どうもラッキーで、あるいは岡本氏か宏美女流二段が、私を選んでくれたのかもしれない。
ちなみに3人目は、13歳の少年だった。
賞品は岡本氏の詰将棋作品集に、地元・青木屋の洋菓子だった。
ともあれ私は5年前の借りが返せたようで、肩の荷が下りた気分だった。
続いて優勝者当てクイズ。こちらは5名に渡部女流初段のミニ色紙が当たる。私は正解したが、これは倍率が高くて、落選した。ただまあ、もう私にもらう資格はない。
さらにアンケート投函者へのプレゼントもあったが、これも外れた。
ちなみに当選者の1人は、Sak氏。彼は引きが強くて、いつも何かをもらってゆく。
最後に表彰式。賞状のほかに、山ほど副賞が出た。やはり勝負事は勝たねばならぬのだ。
渡部女流初段「けやきカップを迎えるたびに、上京の時のことを思い出します。いろいろありましたが、皆さまが支えてくださっているおかげだと思っています」
最後は感極まったふうだった。昨年優勝の島井女流二段にも目に涙があったらしいが、けやきカップには、泣き神様が宿っているのだろうか。
かくして今回も、感動のうちにイベントは終了した。参加女流棋士とスタッフの皆様に、厚く御礼を申し上げます。
来年は第10回。宏美女流二段の奮起に期待します。
コメント (2)
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