第46期女流名人戦五番勝負は里見香奈女流名人と谷口由紀女流三段の戦いとなっている。
谷口女流三段はリーグ戦を8勝1敗のぶっちぎりで優勝。リーグ戦では伊藤沙恵女流三段を破ったから、十分挑戦の価値はある。
私は長いこと谷口女流三段のファンだったが、―それは「室谷女流二段」がタイトル戦に登場した時、会社を半休して現地の解説会に行くほどだったが―彼女が2年前に結婚してしまい、ファン離脱。はっきり言ってこの五番勝負は、どちらが勝ってもよかった。
ただし里見女流名人は実力奨励会三段で、棋士四段に遜色ない。今回も谷口女流三段が1勝すれば上出来、の感じで見た。もっとも谷口女流三段の意気込みはすごく、将棋世界誌で「なりふり構わず勝ちにこだわる」を強調し、当然ながらタイトル奪取を目論んでいた。
第1局は19日(日)に行われ、谷口女流三段の先手で相振り飛車となった。私には相振り飛車はまったく分からないが、谷口女流三段が金無双に組んだのがやや意外だった。というのは、相振り飛車は金無双より美濃囲いが優る、とどこかで聞いたことがあるからだ。
将棋は飛車交換になったが、美濃囲いに低く収まっている里見陣に不満なし。以後も巧みに指して、優位を拡大していった。
そして76手目、里見女流名人が△3六同銀と進出した手に対して、谷口女流三段が▲4九玉と避難した手がマズかったようである。
ここ、私のようなビビリというか、ほとんどのアマがこわごわながら▲3七歩と打つと思う。だが深く読み過ぎた谷口女流三段は▲4九玉と逃げてしまった。これは玉が囲いから逃げ出す形となり、よくない。
将棋はその後、谷口女流三段が▲5六角と飛車取りに打つも、△5五金が飛車角両取りの切り返し。以下お互い飛車を取りあって谷口女流三段投了という、何とも締まらない終局となってしまった。
投了図は谷口陣が左右挟撃形なのに対し、里見陣の高美濃囲いは手つかず。これが両者の実力差を表しているようで、谷口女流三段の前途多難を思わせた。
そして第2局は26日(日)に行われた。先番里見女流名人は3手目に居飛車の明示。里見女流名人は振り飛車党だが、もう居飛車でも何でも指せるのだ。
谷口女流三段はゴキゲン中飛車を取り、里見女流名人は急戦策に出たが、途中から穴熊に潜る余裕ができた。
ただ中盤までは谷口女流三段も十分に見えたが、角交換から▲8六歩と桂取りに打たれてみると、谷口女流三段が忙しい。
里見女流名人はさらに▲6四桂~▲7二桂成と、金桂交換の駒得を果たす。そして▲8五歩と桂を取りきっては、女流名人の金得である。同日に放送されたNHK杯ではないが、カナ駒1枚の損得になっては、容易に形勢はひっくり返らないものだ。しかも得した側は里見女流名人である。果たして以下は、里見女流名人の快勝、というか完勝となった。
さて2番終わって女流名人の2勝0敗は、予想通りとはいえ挑戦者には厳しい結果である。以前当ブログに書いたことだが、現在の将棋界は誰が挑戦者になっても、里見女流名人(四冠)か西山朋佳女流三冠(奨励会三段)にタイトルが収まる確率が高い。これは勝負の世界において、恐ろしくつまらないものである。
ただこの2局、谷口女流三段はいかにも内容が悪い。里見女流名人が強いとはいえ、こんなに離される将棋ではない。何か、気合が空回りして、よそ行きの将棋を指している印象を受ける。
第3局、先手番の谷口女流三段は、何がなんでも勝たねばならない。次に負けたら、「ストレート負けならオレにもできる」という、私一流のイヤミが出てしまう。もうすべてを忘れて、せめて一手違いの熱戦にしてほしい。せっかく、10人のリーグを代表して登場したのだから。
谷口女流三段はリーグ戦を8勝1敗のぶっちぎりで優勝。リーグ戦では伊藤沙恵女流三段を破ったから、十分挑戦の価値はある。
私は長いこと谷口女流三段のファンだったが、―それは「室谷女流二段」がタイトル戦に登場した時、会社を半休して現地の解説会に行くほどだったが―彼女が2年前に結婚してしまい、ファン離脱。はっきり言ってこの五番勝負は、どちらが勝ってもよかった。
ただし里見女流名人は実力奨励会三段で、棋士四段に遜色ない。今回も谷口女流三段が1勝すれば上出来、の感じで見た。もっとも谷口女流三段の意気込みはすごく、将棋世界誌で「なりふり構わず勝ちにこだわる」を強調し、当然ながらタイトル奪取を目論んでいた。
第1局は19日(日)に行われ、谷口女流三段の先手で相振り飛車となった。私には相振り飛車はまったく分からないが、谷口女流三段が金無双に組んだのがやや意外だった。というのは、相振り飛車は金無双より美濃囲いが優る、とどこかで聞いたことがあるからだ。
将棋は飛車交換になったが、美濃囲いに低く収まっている里見陣に不満なし。以後も巧みに指して、優位を拡大していった。
そして76手目、里見女流名人が△3六同銀と進出した手に対して、谷口女流三段が▲4九玉と避難した手がマズかったようである。
ここ、私のようなビビリというか、ほとんどのアマがこわごわながら▲3七歩と打つと思う。だが深く読み過ぎた谷口女流三段は▲4九玉と逃げてしまった。これは玉が囲いから逃げ出す形となり、よくない。
将棋はその後、谷口女流三段が▲5六角と飛車取りに打つも、△5五金が飛車角両取りの切り返し。以下お互い飛車を取りあって谷口女流三段投了という、何とも締まらない終局となってしまった。
投了図は谷口陣が左右挟撃形なのに対し、里見陣の高美濃囲いは手つかず。これが両者の実力差を表しているようで、谷口女流三段の前途多難を思わせた。
そして第2局は26日(日)に行われた。先番里見女流名人は3手目に居飛車の明示。里見女流名人は振り飛車党だが、もう居飛車でも何でも指せるのだ。
谷口女流三段はゴキゲン中飛車を取り、里見女流名人は急戦策に出たが、途中から穴熊に潜る余裕ができた。
ただ中盤までは谷口女流三段も十分に見えたが、角交換から▲8六歩と桂取りに打たれてみると、谷口女流三段が忙しい。
里見女流名人はさらに▲6四桂~▲7二桂成と、金桂交換の駒得を果たす。そして▲8五歩と桂を取りきっては、女流名人の金得である。同日に放送されたNHK杯ではないが、カナ駒1枚の損得になっては、容易に形勢はひっくり返らないものだ。しかも得した側は里見女流名人である。果たして以下は、里見女流名人の快勝、というか完勝となった。
さて2番終わって女流名人の2勝0敗は、予想通りとはいえ挑戦者には厳しい結果である。以前当ブログに書いたことだが、現在の将棋界は誰が挑戦者になっても、里見女流名人(四冠)か西山朋佳女流三冠(奨励会三段)にタイトルが収まる確率が高い。これは勝負の世界において、恐ろしくつまらないものである。
ただこの2局、谷口女流三段はいかにも内容が悪い。里見女流名人が強いとはいえ、こんなに離される将棋ではない。何か、気合が空回りして、よそ行きの将棋を指している印象を受ける。
第3局、先手番の谷口女流三段は、何がなんでも勝たねばならない。次に負けたら、「ストレート負けならオレにもできる」という、私一流のイヤミが出てしまう。もうすべてを忘れて、せめて一手違いの熱戦にしてほしい。せっかく、10人のリーグを代表して登場したのだから。