一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2019年九州旅行(2)

2020-02-27 00:09:34 | 旅行記・九州編
「どなたかお札を貸してくれますか」
ここでもたちまちお札が出る。私も千円札を出しかけたが、2列目の左端からでは遠い。それに、私はもう出す資格がないと思う。
マスターは壱万円札をつまむと、薬指(紅さし指)の先にその壱万円札を立てた。これは私たちにも出来そうで、出来ない。
マスターは千円札を小さく折り畳むと、それを中空に浮かせた。ゲエエッ!! と騒ぐ店内。マスターは指で作った輪の中にお札を通し、「ハウス!」と言うと、それがマスターの肩に乗った。まるで生きているかのようだ。
さらに先ほどの筒にお札を入れると、ここでもフワフワ浮かんでいた。
マスターがトランプの絵が描かれた短冊を振ると、本物のトランプが出て来た。
ここでのマジックがまた多彩なのだが、代表的なのはMDプレーヤーを使ったものだ。
「ウルトラセブン」のイントロが流れる。選ばれたお客が、マスターのタイミングに合わせ、カードを選ぶ。4枚を開くと、それらはすべて「セブン」だった。
さらにAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」は、「A」「K」「B」「4」「8」と出る。トランプにBはないが、3に付け足して8に見せているのだ。
さらにマスターは、カードの一部を切ってしまう。その切れ端を壁の額縁に当てると、それが額縁のガラスの向こう側に入ってしまった。
歓声を挙げる私たちに、マスターは「仕事だから!!」「練習したから!!」という札を出す。これは新手のアイテムだ。
いつの間にか、トランプのケースが小さくなっている。
「遠近法ですよ、遠近法」
しかしマスターはその中に、大きなトランプを無理やり入れてしまった。
スマホを使ってのカードマジックもいくつか行われた。時代に即し、微妙にネタも進化しているのだ。
小さな犬のおもちゃが出てきた。ちゃんと名前もあるのだがこれが長ったらしく、「~ジェフ」という。そのジェフに、女性が引いたカードを当てさせる。ジェフが女性の臭いを覚えている、という筋書きだ。
最終的には、ジェフがそのカードを当てた。
室内の壁には、ポラロイド写真やチェキ写真がいっぱいだ。
「藤岡弘、さんは8回来ましたね。『フッフッフッ、すごいねぇ』とかね」
マスターは物真似が得意なのだ。あとは有名女優も来たことがあり、未婚の悩みを打ち明けられたという。
マスターは「近々に結婚しますよ」と言ったら、翌年結婚したのだった。
ちなみにマスターは、結婚相手のオーラが見えると言う。私も4回ほど「結婚する」と言われたが、まだマスターの予言は当たっていない。
続いてはサイコロである。客にサイコロとカップを渡し、マスターの見えぬところで目を確認する。それをマスターが当てるのである。
もちろん当たるが、恐るべきは最初の目と変更後の目、これを連続して当てたことだ。もう、天井のどこかに小型カメラが仕掛けられているんじゃないかと勘繰ってしまう。
今度はカウンターの上にカップを伏せ、その中にサイコロを入れる。丁か半か当てさせるのだが、カップの中は判子になっていた。それは「丁田」「半田」のいずれかになっているというオチである。そう、マスターのマジックには、いつもオチがあるのだ。
「世の中には宿命という言葉があります。本屋へ行って、ある本を手に取るのが宿命。それを読んでどう感じるかは運命です。宿命は、変えることが出来ません。今日はここに、ある絵を描きに来る人がいましたよ」
ある女性が当たり、マスターはメモ用紙に、彼女自身の名前と、任意の絵を描かせた。
彼女は名前をピタリと当てられ、マスターが別所から取り出した紙片には、彼女が描いた「妖怪ウォッチ」が描かれていた!!
「2019年12月14日午前7時30分記入、○○さん来店予定」
マスターが読み上げると、私たちは歓声を挙げながら拍手をした。
マスターが2度目の千円札を所望する。私は出す気はなかったが、「さっき出し掛けた人…」と言われ、出すことになった。いいのだろうか。
マスターはナンバーを控えると袋を用意し、その中に生卵と千円札を入れた。ちょいと揉んでいると千円札が消失した。まさか!?
マスターが残った生卵を割ると、白身の中から、ズブズブと千円札が出て来た。
ここまで来ればあとの手順は分かる。ぬるぬるの千円札を拡げると、カウンターの女性2人が、控えていた番号を読み上げた。その2つは同じだった!!
周りはどよめいているが、私はちょっと後悔していた。この運命にあるのなら、例の8が続くお札を持ってくればよかった、と。
「ちょっとお腹が空きましたネ」
背後には6種類のハンバーガーの絵が架けられていた。マスターはそのひとつにごちゃごちゃやると、実物を取り出して見せた。一口食べて戻すと、今度は一口かじった絵になった。驚異の二段仕掛けだ。
もっともこれは、セロのマジックで見たことがある。ただこれを目の前でみせられると、驚きの度合いが違うのだ。ライブで将棋を見ると、違った感慨があるのと一緒である。
マスターがある男性に、奥さんの名前をこっそり書いてもらう。そのそばから、マスターが奥さんの名前を当ててしまった。
「会社で上司が部下に、缶コーヒーを買ってきてくれ、って頼みますね。
そのコーヒーをどこで買ってきたか聞くと、男性社員は単純だから、コンビニ、と答えます。
でも女性社員は、違うメーカーのものを買ってきたと思って、取り換えてきましょうか、と言う。男性と女性の脳はこれくらい違うんですね。
恋人と別れた時も、男性はいつまでも彼女を覚えてますね。だけど女性は、スパッと忘れますね。女性は子供を産まなくちゃなりませんから、いつまでも昔の男に構ってられませんね。
出産の時もね、あの時の痛さったらありませんね。鼻の穴からスイカを出くらいの痛みですね。これが男性は我慢できない。気絶しそうな痛みですね。いつも偉そうにしてますけどね。
女性は赤ちゃんの笑顔を見たら、いままでの痛みをすっかり忘れて、2人目を産もうかー、と考えますね。
だけどあの痛み、ねぇ……。私はその痛みは知りませんけれども」
ここで下げて、客がドッと笑うのである。
このあたりで、私の前の席の6番女性が退席した。これからさらに面白くなるのに、惜しい。
今度はある女性に、1枚だけカードを取ってもらう。「♢8」。マスターがほかのカードを全部表にすると、すべて真っ白だった!!
「あなたが♢の8を取ることは分かっていましたからね。ほかの数字はいらないんです」
女性は絶句して驚いている。20年前の自分を見るようである。
客の中では、私の後列右奥で、椅子の上に立っている17~19の女性らがいい反応である。彼女らは大テーブルにいたと思うが、驚き方が新鮮でいい。
今度は好みのタイプ当てである。マスターが10人の男性芸能人のブロマイドを出す。福山雅治やEXILE・TAKAHIRO、小栗旬などだ。この好みを女性に1位から5位までつけてもらい、マスターが当てるという趣向だ。
途中、マスターが彼女に2~3質問をする。そして5位から2位までピタリと当てると、残りの1位は、メモを傍らの財布から取り出した。そこには女性の1位の芸能人が書かれており、私たちはまたも絶叫した。
マスターが電卓を取り出した。いつもの生年月日当てである。最近だと、マスターがくれたメモ用紙に、生年月日に加え、悩み事をひとつ書くことになっている。となれば、個人的にはここで当たるとうれしい。
3番の女性が、棒を引く。それは「16」で、私だった!!
生年月日はもういい感じだが、悩み事は書きたい。これはツイていると思った。
ところが……。
(つづく)
コメント
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