一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

日本シリーズの敗者

2020-12-02 00:15:35 | プライベート
むかし野球解説者の野村克也氏が、「日本シリーズで負けたチームの評価が下げられることがあるが、リーグの覇者になったことは、それだけで大きな勲章なのだ」という意味のことを述べていた。これはもっともだと思う。
今回のプロ野球日本シリーズで、巨人がソフトバンクに4連敗したことで、巨人の評価は地に堕ちた。しかし巨人は2年連続リーグ優勝を達成したわけで、それは誇っていいことである。
いっぽうソフトバンクはこれで日本シリーズ4連覇になり、その評価は最高値である。
だがよく見てみると、昨年と一昨年のペナントレースは、西武が優勝している。「4連覇」という単語が独り歩きしていたが、実情はだいぶ違うのである。
現行のクライマックスシリーズが始まったのは2007年だが、パ・リーグでは2004年から始めていた。優勝が決まったあとの消化試合を少なくするとともに、2位や3位のチームにも日本シリーズ出場の希望が持てるように、という趣旨だった。
果たして2004年にはダイエー(現ソフトバンク)、2005年にはソフトバンクが1位になったが、いずれも第2ステージで負け、日本シリーズに出場できなかった。下のチームは負けて元々だから気がラクだ。のびのびと野球をやって、1位チームをやっつけてしまった。
私は、リーグ制覇が日本シリーズ出場権に直結して然るべきと考えていたから、1位になっても胴上げすらないこの措置には、大いに疑問を持った。
2010年のロッテは3位だったが、クライマックスシリーズで2位の西武、1位のソフトバンクを破り、優勝してしまった。その勢いに乗って、日本シリーズでは中日を4勝2敗で破り、日本一になった。当時は「下剋上」と呼ばれたものである。だけどリーグ3位が日本一だなんて、そんなバカなことがあるか。
だから私はクライマックスシリーズが嫌いだ。こんなもの、早々に廃止になればいいと思っている。

実は将棋界にもこれと同じようなことがあった。1947年の第2期順位戦では、A級の升田幸三八段が12勝2敗でぶっちぎりの1位となった。だがこの期は順位2位と3位、さらにB級の優勝者との4人でパラマス方式の名人挑戦者決定戦を行うルールになっていた。
B級の1位は大山康晴七段。この大山七段がズンズン勝ち進み、塚田正夫名人への挑戦権を獲得してしまったのであった。
おもしろくないのは升田八段である。順位戦草創期とはいえ、当然自分が名人戦に出場すると思っていたところ、弟弟子に先を越されてしまった。その悔しさ、いかばかりだったか。
将棋界もその理不尽を汲み取ったか、このバカな制度はこの期のみで消滅した。
野球に話を戻すが、日本シリーズでの4連敗は、これもペナントレースの延長と考えれば、あり得ることである。巨人は日本シリーズ2年間の8連敗でうなだれるより、2年連続セ・リーグを制したことに、胸を張ればよい。そしてまた来年優勝して、日本シリーズに出場すればいいのだ。
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