一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

12月11日の大野金曜教室(中編)

2020-12-24 00:31:31 | 新・大野教室
23日の伊集院光のラジオ番組で、マジックバーに行って驚いた、という聴取者の投稿が紹介された。「千円札が生卵の中から出てきた。そのシリアルナンバーは、事前に確認したものと同じでした」。これ、あんでるせんでは定番のマジックである。マジックバーは各所にあるが、聴取者はあんでるせんのことを云っていた気がしてならない。

   ◇

(きのうのつづき)

第1図以下の指し手。△8四歩▲7八金△8五歩▲6九玉△8六歩▲同歩△同飛▲9六歩△8二飛▲7七桂△7二金(第2図)

私の左では堀彩乃女流1級、右ではShin氏が対局を受けている。堀女流1級のところは相掛かり系で、中盤の難しいところ。Shin氏のところはShin氏の居飛車で対抗型だ。うん? 対抗型? Shin氏は平手で指していたのだ。「研究したいところがあって……」。なんでShin氏はこんなに研究熱心なのだ。
私は大野八一雄七段には、必ず駒を落としてもらっている。むろん平手も受けてくれるが、駒を落としてもらって下手感を味わうのがいいのである。
大野七段は△8五歩と伸ばす。▲6九玉には△8六歩から交換にきた。これはやや珍しい手で、下手は将来▲8五飛とぶつける手があり、上手はせっかく交換した歩を△8四歩と謝ることになる。よって下手が待ち受けるところなのだが、私の▲7七桂に△7二金が大野七段の用意していた手だった。前述の飛車回りには△8三金と上がる手を見ている。

第2図以下の指し手。▲5九金△8三金▲9七角△7四金▲7五歩△6四金▲6六歩△7四歩▲同歩△同金▲7五歩(第3図)

堀女流1級戦は、大野七段が端を突き捨て△1八歩。これで攻めが決まっているようには見えないが、これがのちのち効いてくるのだろう。
私の▲5九金は形で指したが、▲8五飛とぶつけちゃうのだったか。しかし上手はよろこんで△8三金と上がるに違いなく、指し切れなかった。
しかし▲5九金にも△8三金。かなり早く態度を示した。そして▲9七角に△7四金。単騎の金出は恐くないが、すぐ▲7五歩と突いたのはつまらなかったかもしれない。△6四金に▲6六歩と突いて金を圧迫したつもりが、△7四歩で金の動きがラクになったからだ。
戻って▲7五歩では、▲6六歩が先だったかもしれない。そこで△8九飛成は▲8八角とフタをしてどうか。これも難しいが、本譜よりベターだった気がする。
本譜△7四同金には▲7五歩と打ち、ふつうに△8四金と寄ると思ったが……。

第3図以下の指し手。△7六歩▲7四歩△7七歩成▲8五歩△7八と▲同銀△6四銀▲7六金△5五歩▲同歩△7五歩▲8六金△3四歩(第4図)

強く△7六歩と打たれて参った。幸便に▲6五桂と跳ねたいが、△6二銀と引いて△6四歩を見せるのは、私が一手早く▲7四歩と金を取れるからいい。よって上手は△6五同金と取るしかない。以下▲同歩△7七歩成▲同金△8五桂▲8六角△7七桂成▲同角△8九飛成は、さすがに竜の威力が大きく下手苦戦だ。
よって私は黙って▲7四歩と金を取り、△7七歩成には▲8五歩と耐えた。私は飛車の横利きが頼みである。大野七段は△7八とと金を取り、これで私の桂損。角落ちのハンデがほぼなくなってしまった。
ここで7六あたりのスカスカが気になったので、▲7六金と一枚入れた。のちの△7五歩にも▲8六金と我慢する。ここは▲7五同金と取ってしまいたいが、△同銀▲同角△8五飛は下手が勝てない。

第4図以下の指し手。▲5四歩△3三桂▲2六飛△5二飛▲6五歩△5五銀▲7五金△5四飛▲8八角△5六歩▲7六金△7四飛▲5五角△7六飛(途中図)

▲7七銀打△同飛成▲同角△7三桂(第5図)

私は▲5四歩と伸ばしたが、△3三桂で飛車の横利きを外され、面白くない。私は▲7五金から▲8八角。何とか駒を有効に働かせようとするのだが、どうもはっきりしない。
私は▲7六金と引いた。▲7四歩が浮くが、△7四飛ならこちらも▲5五角と銀を取れる。それでも大野七段は△7四飛と回り、金銀の取り合いになった。
堀女流1級はよく指し、大野七段が投了した。ぶつかり稽古とはいえ、男性プロに平手で勝つとは大したものである。堀女流1級に必要なもの、それは自信であろう。
途中図では▲6七銀打を考えた。が、△8六飛と寄られたあと△7七歩が残るのが面白くない。それで▲7七銀打と一路左に打ったのだが、大野七段は文字通りノータイムで△同飛成と切って捨てた。▲同角にゆうゆう△7三桂と跳ぶ。なるほど、これが上手の指し方か、と感心した。
その第5図、ここが最後の勝負所だったかもしれない。

(つづく)
コメント (2)
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