1日は第34期竜王戦ランキング戦6組2回戦・▲中田功八段VS△折田翔吾四段との一戦が行われた。
折田四段は昨年11月に棋士編入試験を受験し、今年2月に3勝1敗で突破、4月1日付で四段になった。
奨励会三段リーグを抜けた四段と、棋士編入試験を抜けた四段。両者の大きな違いは、前者が棋士生活スタートなのに対し、後者は棋士になる目的を達成してほぼゴール、の雰囲気があることだ。実際はどちらもここからスタートなのだが、心情的にはそれに近いものがあると思う。
だが棋士編入者はまだフリークラス在籍であって、ここはとりあえず抜けなければならない。折田四段はここからが勝負である。
中田八段は振り飛車党で、軽い捌きを得意とする。とくに対居飛車穴熊には独特の対策を持ち、▲3九玉型からの端攻めは余人に真似できないものだ。
将棋は中田八段の三間飛車に折田四段の穴熊で、予想された戦型となった。
第1図か折田四段が△8六角を△4二角と引いたところ。
次に△8六歩があるので、私ならノータイムで▲8七歩と打つ。100回見ても100回▲8七歩と打つ。
しかし中田八段は▲3四歩!! これにはシビレた。
折田四段は当然△8六歩。そこで中田八段は▲7七桂と跳ねた。何とも玄妙な指し手で、私には到底理解が及ばない。
戻って第1図、▲3四歩の取り込みが大きいのは分かるが、△8六歩の突きだしはそれ以上に大きいと思う。プロは▲8七歩と謝る手を嫌うが、この地点は先手から突き上げたものではなく、後手から△8六歩と突いたものだ。よって▲8七歩と収めても腹は立たないと思う。そこを▲3四歩とは、何たる強情か。
△8六歩に▲7七桂も一手遅い気がするが、後の△8七歩成に▲8九飛と引き、どちらもタダ取りされない、と読みを入れていた。
だが現実には居飛車側が捌けており、後手優勢。中田八段69手目▲6六角に、折田四段が△8二竜と引き揚げたところで、中田八段が投了してしまった。この時将棋掲示板では、あまりにも早い投了に、騒然としたようだ。
投了図を見てみよう。局面は後手の香得の上、竜ができている。さしあたっては次に△6三香があり、これが妙に受けにくい。後手はさらに△3二歩~△3三歩の桂得の楽しみもあり、そうなると桂香の戦力差が3:1になってしまう。そうなれば、シモキタ名人戦の鈴木大介九段じゃないけれど、「やがては後手が勝つ」だろう。
だが新聞棋戦ならともかく、これは対局料のいい竜王戦である。もう少し指しそうなものではないか。
そこで改めて投了図を見ると、中田八段は端攻めをしていない。右桂も跳ねていない。微妙に、いつもの中田八段の将棋ではないように思える。自分でない将棋になっていまい、戦意を喪失してしまったのだろうか。
ともあれ折田四段はこれで、5勝4敗となった。フリークラス脱出には先が長いが、ひとつひとつ勝っていくしかない。
折田四段は昨年11月に棋士編入試験を受験し、今年2月に3勝1敗で突破、4月1日付で四段になった。
奨励会三段リーグを抜けた四段と、棋士編入試験を抜けた四段。両者の大きな違いは、前者が棋士生活スタートなのに対し、後者は棋士になる目的を達成してほぼゴール、の雰囲気があることだ。実際はどちらもここからスタートなのだが、心情的にはそれに近いものがあると思う。
だが棋士編入者はまだフリークラス在籍であって、ここはとりあえず抜けなければならない。折田四段はここからが勝負である。
中田八段は振り飛車党で、軽い捌きを得意とする。とくに対居飛車穴熊には独特の対策を持ち、▲3九玉型からの端攻めは余人に真似できないものだ。
将棋は中田八段の三間飛車に折田四段の穴熊で、予想された戦型となった。
第1図か折田四段が△8六角を△4二角と引いたところ。
次に△8六歩があるので、私ならノータイムで▲8七歩と打つ。100回見ても100回▲8七歩と打つ。
しかし中田八段は▲3四歩!! これにはシビレた。
折田四段は当然△8六歩。そこで中田八段は▲7七桂と跳ねた。何とも玄妙な指し手で、私には到底理解が及ばない。
戻って第1図、▲3四歩の取り込みが大きいのは分かるが、△8六歩の突きだしはそれ以上に大きいと思う。プロは▲8七歩と謝る手を嫌うが、この地点は先手から突き上げたものではなく、後手から△8六歩と突いたものだ。よって▲8七歩と収めても腹は立たないと思う。そこを▲3四歩とは、何たる強情か。
△8六歩に▲7七桂も一手遅い気がするが、後の△8七歩成に▲8九飛と引き、どちらもタダ取りされない、と読みを入れていた。
だが現実には居飛車側が捌けており、後手優勢。中田八段69手目▲6六角に、折田四段が△8二竜と引き揚げたところで、中田八段が投了してしまった。この時将棋掲示板では、あまりにも早い投了に、騒然としたようだ。
投了図を見てみよう。局面は後手の香得の上、竜ができている。さしあたっては次に△6三香があり、これが妙に受けにくい。後手はさらに△3二歩~△3三歩の桂得の楽しみもあり、そうなると桂香の戦力差が3:1になってしまう。そうなれば、シモキタ名人戦の鈴木大介九段じゃないけれど、「やがては後手が勝つ」だろう。
だが新聞棋戦ならともかく、これは対局料のいい竜王戦である。もう少し指しそうなものではないか。
そこで改めて投了図を見ると、中田八段は端攻めをしていない。右桂も跳ねていない。微妙に、いつもの中田八段の将棋ではないように思える。自分でない将棋になっていまい、戦意を喪失してしまったのだろうか。
ともあれ折田四段はこれで、5勝4敗となった。フリークラス脱出には先が長いが、ひとつひとつ勝っていくしかない。