24日はB級1組順位戦10回戦が行われた。結果を記してみよう。
○木村一基九段(5勝4敗)VS●行方尚史九段(2勝7敗)
○久保利明九段(4勝5敗)VS●近藤誠也七段(5勝4敗)
●永瀬拓矢王座(7勝3敗)VS○山崎隆之八段(8勝1敗)
●千田翔太七段(4勝5敗)VS○郷田真隆九段(7勝2敗)
○屋敷伸之九段(4勝6敗)VS●松尾歩八段(4勝5敗)
●阿久津主税八段(4勝5敗)VS○丸山忠久九段(4勝6敗)
抜け番 深浦康市九段(2勝7敗)
注目の一番は永瀬王座VS山崎八段戦で、2敗と1敗の首位攻防戦だったが、深夜に及ぶ激闘の末、山崎八段が勝ち名乗りを挙げた。これは大きすぎる星である。
そもそも今期は6回戦が終わった時点で永瀬王座の6勝0敗。当時永瀬王座はタイトル戦その他の公式戦に出ずっぱりで、その充実度から見ても1枠は永瀬王座でキマリと見られていた。ところがそこから1勝3敗と失速した。対戦相手も曲者ぞろいで、そう簡単には勝星を上乗せできない。ここが順位戦の恐ろしいところである。
戻って山崎八段は8勝1敗。残り3局を2勝でA級昇級が決まる。将棋ソフト発の戦法が猛威を振るう中、山崎八段はそれには目もくれず、独自の将棋を貫く。それは裸玉もいとわぬ変態的なもので、とうてい余人には真似できないものだ。だがそれゆえA級に昇級するには無理があるとフンでいたが、ここまでくればあと2勝だ。絶対に昇級して、全国に変態山崎将棋を披露してもらいたい。
ほかは郷田九段が千田七段に勝って、ついに自力になった。相手の千田七段は将棋ソフトの申し子で毎期好成績を残す。当然今期も昇級者候補だったが、郷田九段はその手ごわいところを退けた。49歳のベテランがA級に復帰したら、これも愉快だ。
ほかは木村九段VS行方九段が、深夜に千日手。0時37分に指し直しとなった。指し直し局は、持ち時間の少ないほうが1時間に設定される。千日手局は双方残り数分だったからほぼ1時間ずつの上乗せで、この時点で終局まで、2時間以上はかかることが必至となった。
終局は深夜3時43分で、木村九段の勝ち。47歳、まさに粘りの勝利だった。木村九段はこれで、4番手に浮上となった。
ここでハッと気が付き各棋士の年齢を調べると、10回戦は6局とも年長者が勝っていた。
○木村一基九段(47歳)VS●行方尚史九段(46歳)
○久保利明九段(45歳)VS●近藤誠也七段(24歳)
●永瀬拓矢王座(28歳)VS○山崎隆之八段(39歳)
●千田翔太七段(26歳)VS○郷田真隆九段(49歳)
○屋敷伸之九段(48歳)VS●松尾歩八段(40歳)
●阿久津主税八段(38歳)VS○丸山忠久九段(50歳)
抜け番 深浦康市九段(48歳)
これは稀有なことで、そもそも同程度のレベルの棋士が戦えば、若い方が勝つ、というのが相場である。しかも、持ち時間が3時間以下の棋戦ならまだしも、順位戦は6時間である。戦いが深夜に及べば体力に劣る年長者に読みの瑕疵が出るのは自明で、どの角度から見ても年少者に分がある。そこを年長者が全勝とは!
やっぱり棋士は将棋が好きなのだろう。そして棋士は読めば読むほど、全身にアドレナリンが放出されるのではないだろうか。夜戦になればなるほど、妙な力が漲る。これなら年長者が勝っても不思議ではない。私たちは「将棋を指す体力」について、考察を改める必要があるのではないか。
この12名で陰に隠れていたが、抜け番だった深浦九段が最下位、というのも恐ろしい。B級1組は鬼の住処なので誰でも最下位になる可能性はあるが、それにしたって2勝はないだろう。深浦九段は前回のNHK杯覇者である。全棋士参加棋戦で優勝をしているのに、その人が年末に降級争いをしている。私は同じ文言を書くが、順位戦は本当に恐ろしい。
○木村一基九段(5勝4敗)VS●行方尚史九段(2勝7敗)
○久保利明九段(4勝5敗)VS●近藤誠也七段(5勝4敗)
●永瀬拓矢王座(7勝3敗)VS○山崎隆之八段(8勝1敗)
●千田翔太七段(4勝5敗)VS○郷田真隆九段(7勝2敗)
○屋敷伸之九段(4勝6敗)VS●松尾歩八段(4勝5敗)
●阿久津主税八段(4勝5敗)VS○丸山忠久九段(4勝6敗)
抜け番 深浦康市九段(2勝7敗)
注目の一番は永瀬王座VS山崎八段戦で、2敗と1敗の首位攻防戦だったが、深夜に及ぶ激闘の末、山崎八段が勝ち名乗りを挙げた。これは大きすぎる星である。
そもそも今期は6回戦が終わった時点で永瀬王座の6勝0敗。当時永瀬王座はタイトル戦その他の公式戦に出ずっぱりで、その充実度から見ても1枠は永瀬王座でキマリと見られていた。ところがそこから1勝3敗と失速した。対戦相手も曲者ぞろいで、そう簡単には勝星を上乗せできない。ここが順位戦の恐ろしいところである。
戻って山崎八段は8勝1敗。残り3局を2勝でA級昇級が決まる。将棋ソフト発の戦法が猛威を振るう中、山崎八段はそれには目もくれず、独自の将棋を貫く。それは裸玉もいとわぬ変態的なもので、とうてい余人には真似できないものだ。だがそれゆえA級に昇級するには無理があるとフンでいたが、ここまでくればあと2勝だ。絶対に昇級して、全国に変態山崎将棋を披露してもらいたい。
ほかは郷田九段が千田七段に勝って、ついに自力になった。相手の千田七段は将棋ソフトの申し子で毎期好成績を残す。当然今期も昇級者候補だったが、郷田九段はその手ごわいところを退けた。49歳のベテランがA級に復帰したら、これも愉快だ。
ほかは木村九段VS行方九段が、深夜に千日手。0時37分に指し直しとなった。指し直し局は、持ち時間の少ないほうが1時間に設定される。千日手局は双方残り数分だったからほぼ1時間ずつの上乗せで、この時点で終局まで、2時間以上はかかることが必至となった。
終局は深夜3時43分で、木村九段の勝ち。47歳、まさに粘りの勝利だった。木村九段はこれで、4番手に浮上となった。
ここでハッと気が付き各棋士の年齢を調べると、10回戦は6局とも年長者が勝っていた。
○木村一基九段(47歳)VS●行方尚史九段(46歳)
○久保利明九段(45歳)VS●近藤誠也七段(24歳)
●永瀬拓矢王座(28歳)VS○山崎隆之八段(39歳)
●千田翔太七段(26歳)VS○郷田真隆九段(49歳)
○屋敷伸之九段(48歳)VS●松尾歩八段(40歳)
●阿久津主税八段(38歳)VS○丸山忠久九段(50歳)
抜け番 深浦康市九段(48歳)
これは稀有なことで、そもそも同程度のレベルの棋士が戦えば、若い方が勝つ、というのが相場である。しかも、持ち時間が3時間以下の棋戦ならまだしも、順位戦は6時間である。戦いが深夜に及べば体力に劣る年長者に読みの瑕疵が出るのは自明で、どの角度から見ても年少者に分がある。そこを年長者が全勝とは!
やっぱり棋士は将棋が好きなのだろう。そして棋士は読めば読むほど、全身にアドレナリンが放出されるのではないだろうか。夜戦になればなるほど、妙な力が漲る。これなら年長者が勝っても不思議ではない。私たちは「将棋を指す体力」について、考察を改める必要があるのではないか。
この12名で陰に隠れていたが、抜け番だった深浦九段が最下位、というのも恐ろしい。B級1組は鬼の住処なので誰でも最下位になる可能性はあるが、それにしたって2勝はないだろう。深浦九段は前回のNHK杯覇者である。全棋士参加棋戦で優勝をしているのに、その人が年末に降級争いをしている。私は同じ文言を書くが、順位戦は本当に恐ろしい。