一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第10期女流王座戦終わる

2020-12-21 00:10:54 | 女流棋戦
西山朋佳女流王座と里見香奈女流四冠の間で行われた第10期女流王座戦五番勝負は、第3局を終えて里見女流四冠が2勝1敗とリードした。戦前の我が予想では3勝1敗くらいで西山女流王座防衛だったので、この展開は予想外だった。
そして9日に行われた第4局は、西山女流王座が勝った。私はこの模様を見ていないので何とも言えないが、里見女流四冠の手が伸びなかったようである。これも相手が西山女流王座だったからで、ほかの女流棋士なら、ふつうに相手を攻め倒していただろう。
最終局は14日に行われた。こうなれば追いついた西山女流王座が有利。どの展開になっても西山女流王座が勝つと思った。
この将棋もリアルタイムでは観られなかったが、結果は西山女流王座が大逆転勝ちを収め、同棋戦での初防衛となった。
公開されている棋譜を見ると、途中は角香交換の駒得で先手の里見女流四冠がリードしていた。矢倉の端攻めで角香交換の変化があるが、やはり駒得側の勝率がよいと思う。よって本局も相手が西山女流王座以外だったら、そのまま里見女流四冠が勝っていた。
しかし「現役奨励会三段」の肩書は大きい。強者は悪くなってからが強いのだ。西山女流王座は粘り、里見女流四冠も手を焼き、形勢は徐々に接近する。こうなれば、流れは西山女流王座である。当然のように形勢は逆転し、最後は西山女流王座が華麗にうっちゃった。何という底力だろう!
強者につきものといえば「逆転勝ち」である。いい将棋を勝っても、悪い将棋を負けていては勝率は伸びない。悪い将棋を拾ってこそ勝率が上がる。しかしそのほとんどは、強者が弱者に対しての場合であって、弱者が強者に逆転勝ちすることはまずない。
西山女流王座と里見女流四冠を比べた場合、西山女流王座がほんのちょっぴり相性がいいのだろう。しかしまあ互角で、里見女流四冠が逆転負けを喫するイメージはない。そんな雰囲気の中でも逆転勝ちを収めてしまう西山女流王座のオーラに、私は恐れ入るのである。
とはいえ西山女流王座も、先日の女流王将戦を見るまでもなく、若干フラフラしている。これはマズイ傾向で、当然ほかの女流棋士は「ひょっとしたら西山さんに勝てるかもしれない」の思いを抱く。
西山女流三冠だっていつまでも奨励会三段リーグにいるわけではない。近い将来、すべての女流棋戦に参加するかもしれない。そのとき対戦した女流棋士が「結局負けるんだから」と「勝てるかもしれない」では、指し手も変わる。一手、疑問手が好手に変われば、それだけで西山VS全女流棋士の対戦成績が違ってくるだろう。今後、そんな展開になったら面白いのだが。
コメント (2)
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