一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

5年半ぶりの香織(4)

2020-12-15 00:56:51 | LPSA麹町サロンin DIS

第1図以下の指し手。▲7八飛△8八角成▲同銀△4五角(第2図)

私は▲7八飛と指した。本局は相振り飛車を指すつもりだったのだ。だが相手の△5四歩をほとんど見ていなかった。▲7八飛を指したあとに気が付いたが、もう遅い。上川香織女流二段は「それ指しますか、キャッキャッ」とうれしそうだ。
上川女流二段は角を換わって△4五角。これで両成が受からず、私はアオくなった。

第2図以下の指し手。▲5八金左△2七角成▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩▲7六飛△2二銀▲3八金△4五馬▲7七銀△6二銀▲6六銀△4四馬▲7七桂(第3図)

「(この局面)マイナビにも出てきましたね」と上川女流二段が言う。ということはこれも一局の将棋らしい。だけどどう指したらいいのか? この将棋に誘導したのは私だから、すぐに指さなければならない。それで▲5八金左と指したら、上川女流二段は「それか……」とガッカリしたようにつぶやいた。やっぱり▲5八金左は最善手ではなかったのだ。しかし待ったもできない。私は予定通りとばかり▲7四歩から1歩を手にしたが、バツが悪かった。
「あ、先生、ひょっとしたら(私の居飛車に)四間飛車を指したかったですか?」
「私は四間飛車は指しません」
いずれにしても、また対抗形を指したかったのだろう。「えー、でも大沢さん、こういう将棋も指すんですね」
上川女流二段が改めて驚く。いや、これは私の不手際で乱戦になっただけで、私は相振り飛車を指したかったのだが……。
ここで上川女流二段は△6二銀と指そうとしたが、それは▲6六角で1一の香取りが受からない。上川女流二段は△2二銀と上がり、これで勝利確定である。

第3図以下の指し手。△6四歩▲5六歩△6三銀▲4八銀△3三銀▲5七銀上△1四歩▲4六銀△5三馬▲5五歩△同歩▲同銀右△5四歩▲4六銀△2四歩▲3六歩△2二飛(第4図)

このあたりで男性氏の将棋が終わった。男性氏の快勝で、上川女流二段は「次もこんな勝ち方ができるようなら、その次はもう平手ですね」と言う。しばし感想戦をやったあと、こちらも2局目が始まった。ただ今回は、第2部は渡部愛女流三段の登板である。指し掛けは後日やるのだろうか。
第3図からの私の指し手は、何も述べることはない。大作戦負けで、勝ち目のない手を淡々と指しているだけだ。

第4図以下の指し手。▲2三歩△8二飛▲3七桂△4四歩▲7五銀△6二飛▲5六角△7二金▲8六飛△4二玉▲8三角成△同金▲同飛成△8二歩▲8五竜(第5図)

私は▲2三歩。△同飛なら▲3五歩△同歩▲4五角の狙いだが、こんな手はいくらでも防げる。私は△2三同飛を考えていたが、上川女流二段は△8二飛と大事を取った。ここまで用心されては、私は本当にもう勝てない。ただ△8二飛では△7二飛だったかもしれない。次に△7四歩とされると、こちらの飛車が窮屈である。△6五歩の決戦を見られて、これなら私の惨敗になっただろう。
私は▲5六角から何とか竜を作る。しかし△8二歩で引き揚げるようでは、これもダメである。

第5図以下の指し手。△8八角▲6八金△9九角成▲6六歩△8九馬▲5八香△7四香▲8六銀△7七香成▲同銀(終了図)
まで、65手で終了。

△8八角が痛打。これで△9九角成からボチボチ指されたら、下手のジリ貧負けだ。
△8九馬としたところで、Tod氏の将棋が終わった。もう残り5分で、私の将棋もそろそろ終わりだ。
△7七香成としたところで残り2分になり終了。一応指し掛けだがこれは私の判定負けで、仮に次の対局があっても、もう再開はしない。

私が気になったのは△4五角の局面で、感想戦では「ここは▲8五角(参考図)」と教えてくれた。そうか、ああそうだ、ここに角が打てたのだ。上川女流二段は、阿部戦でこの将棋がありました、とその先を進める。▲8五角には△8四歩。私は▲7六角と引いてしまったが、当然▲6三角成だ。そして△6七角成以下チャンバラが展開されるのだが、上川女流二段はさらに10数手進め、「このあたりまで進んでいい勝負みたいですよ」と言った。

上川女流二段には失礼だが、さすがによく研究しているものだと思った。
以前渡部女流三段との指導対局でもあったが、女流棋士が下手に変化手順を指南するとき、「……みたいですよ」と、やわらかめに言う。断定して、下手のプライドを壊さないためだと解しているが、ここが女流棋士の奥ゆかしいところだ。
私はせっかく2局目に勝ったのに、3局目でとんだボロを出してしまい、打ちひしがれた気分だ。
Tod氏とは、また帰りに一緒になった。
「大沢さん、今週の大野教室はどうするの?」
「どうかね、行く予定はないけど……」
上川女流二段もそうだったが、私には大野教室のイメージがあるのだろうか。ここ何年かはほとんどお邪魔していないのだが。
Tod氏は自由人だが、どこか浮世離れしているところもあり、羨ましい。
麹町サロンは魅力的ではあるのだが、指導料が若干高い、平日に行われるなど、ちょっと行きづらいところがあるのが残念だ。
Tod氏とは食事を摂ることもなく、分岐駅でお別れした。
コメント (4)
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