4月27日から第32期女流王位戦五番勝負が始まった。里見香奈女流王位(女流四冠)に挑戦するのは山根ことみ女流二段で、女流二段の挑戦は2018年・第26期倉敷藤花戦の室谷由紀女流二段以来、3年ぶりとなる。
さて元奨励会三段と女流二段の対戦なら、五番勝負を行えば里見女流王位が3回は勝つ。ただし女流王位戦は持ち時間が4時間なので、女流二段でも丹念に読みを入れれば、読みの甘さをカバーできる。ともあれタイトル戦は、挑戦者が先勝して初めて面白くなる。本局は山根女流二段が、何としても勝たねばならなかった。
将棋は山根女流二段の先手で相振り飛車になった……ということは知ったが、私も1日中スマホにかじりついているわけではないので、夜になって女流王位戦サイトから棋譜を再生した。
見ると、山根女流二段がよく戦っていると思った。

そして図は84手目、里見女流王位が△7八銀と打ったところ。これは私が植山悦行七段や大野八一雄七段に教わった指し方に照らせば、指ににくい手。すなわち以下▲6八金△8九銀成となったが、里見女流王位は桂を取ったものの銀を手放しており、得はしていない。
もっとも山根陣は▲3八玉のコビンが空いており、△3五桂が打てれば決定打になりそうだった。ただ、ここから山根女流二段が正確に指せば、勝てると思った。
そこから10手進んで、里見女流王位が△9九成銀と香を取った手に対し、山根女流二段が▲6五角成とした手が、よさそうに見えて疑問だったようだ。
ここ、私たちアマだったら、とりあえず▲9九同角と取り、それからいろいろ考える。
だがプロはこんな遊び駒には見向きもしない。とはいうものの▲6五角成に本譜△5四銀打とガッチリ受けられてみると、先手は角と銀銀桂香交換の駒損がにわかにクローズアップされてきた。
以下は山根女流二段もよく戦ったが、里見女流王位はじわじわと山根陣を包囲し、118手目△3五桂。ついに当初の狙いを実現した。
しかも山根女流二段は121手目から1分将棋となり、ますますマズイ。ちなみに里見女流王位は5分残していたが、山根女流二段はこれだけ里見女流王位の消費時間を削ったのだから、大したものだ。だがどうやら、勝利の帰趨は見えたようだ。
以下、148手目△7八銀で、山根女流二段が投了した。
局後の談話によると、里見女流王位は「△7八銀と打つまで勝負は分からなかった」とのこと。この「△7八銀」は84手目ではなくもちろん最終手のことなので、里見女流王位は最後の最後まで、勝利を意識しなかったことになる。
いっぽう山根女流二段は「銀を3枚持たれてつらかった」とのことだった。そのうちの1枚はソッポに使ってくれたので山根女流二段にも勝機があったはずだが、掴みきれなかった。
山根女流二段にとっては残念な初陣だったが、もう何も考えず、次から勝っていくしかない。第2局は18日に札幌市で行われる。
さて元奨励会三段と女流二段の対戦なら、五番勝負を行えば里見女流王位が3回は勝つ。ただし女流王位戦は持ち時間が4時間なので、女流二段でも丹念に読みを入れれば、読みの甘さをカバーできる。ともあれタイトル戦は、挑戦者が先勝して初めて面白くなる。本局は山根女流二段が、何としても勝たねばならなかった。
将棋は山根女流二段の先手で相振り飛車になった……ということは知ったが、私も1日中スマホにかじりついているわけではないので、夜になって女流王位戦サイトから棋譜を再生した。
見ると、山根女流二段がよく戦っていると思った。

そして図は84手目、里見女流王位が△7八銀と打ったところ。これは私が植山悦行七段や大野八一雄七段に教わった指し方に照らせば、指ににくい手。すなわち以下▲6八金△8九銀成となったが、里見女流王位は桂を取ったものの銀を手放しており、得はしていない。
もっとも山根陣は▲3八玉のコビンが空いており、△3五桂が打てれば決定打になりそうだった。ただ、ここから山根女流二段が正確に指せば、勝てると思った。
そこから10手進んで、里見女流王位が△9九成銀と香を取った手に対し、山根女流二段が▲6五角成とした手が、よさそうに見えて疑問だったようだ。
ここ、私たちアマだったら、とりあえず▲9九同角と取り、それからいろいろ考える。
だがプロはこんな遊び駒には見向きもしない。とはいうものの▲6五角成に本譜△5四銀打とガッチリ受けられてみると、先手は角と銀銀桂香交換の駒損がにわかにクローズアップされてきた。
以下は山根女流二段もよく戦ったが、里見女流王位はじわじわと山根陣を包囲し、118手目△3五桂。ついに当初の狙いを実現した。
しかも山根女流二段は121手目から1分将棋となり、ますますマズイ。ちなみに里見女流王位は5分残していたが、山根女流二段はこれだけ里見女流王位の消費時間を削ったのだから、大したものだ。だがどうやら、勝利の帰趨は見えたようだ。
以下、148手目△7八銀で、山根女流二段が投了した。
局後の談話によると、里見女流王位は「△7八銀と打つまで勝負は分からなかった」とのこと。この「△7八銀」は84手目ではなくもちろん最終手のことなので、里見女流王位は最後の最後まで、勝利を意識しなかったことになる。
いっぽう山根女流二段は「銀を3枚持たれてつらかった」とのことだった。そのうちの1枚はソッポに使ってくれたので山根女流二段にも勝機があったはずだが、掴みきれなかった。
山根女流二段にとっては残念な初陣だったが、もう何も考えず、次から勝っていくしかない。第2局は18日に札幌市で行われる。