藤井聡太竜王・名人が夢の八冠王を狙う、第71期王座戦の挑戦手合いが8月31日から始まった。王座は4期連続の永瀬拓矢王座。言うまでもなく、今期防衛すれば5期連続で、名誉王座の資格を得る。どちらも大きな勲章で、双方に初代永世竜王が懸かった第21期竜王戦七番勝負・渡辺明竜王VS羽生善治名人を彷彿とさせる、大勝負といえよう。
とはいえ私は天邪鬼なので、藤井竜王・名人が21歳で八冠王を実現するのは早すぎると思うし、永瀬王座も、ほかに叡王1期の実績はあるものの、名誉王座を取得するには、ほかのタイトル数が少ないと思うのである。
ただ、この五番勝負が終われば、「名誉王座」か「八冠王」のどちらかが誕生することは間違いないのである。
第1局の対局場は、神奈川県の名宿「元湯陣屋」。歴史的五番勝負のオープニングにふさわしい。
考えてみれば私たちは、八冠目を狙う番勝負を見るのは、これが初めてである。藤井竜王・名人が、見たことのない景色を見せてくれているわけだ。
振駒で藤井竜王・名人の先手となり、角換わりとなった。これはいつもの、相腰掛け銀に飛車を引く例の形になるかと思いきや、永瀬王座が玉を左に寄った。ここは斜め上に上がるのが常識だから、かなり思い切った手だ。
しかもそのあと右金を斜め上に上がったので、スソがガラ空きになってしまった。これでも指せる、と結論づけた永瀬王座の研究量に凄まじい。
その後永瀬王座は、敵の左銀に歩を突いた。これもかなり思い切った手で、中盤の勝負手だ。
だが、勝負手は得てして不利なほうが繰り出すものである。果たして数手後、ABEMA AIの評価も、藤井竜王・名人側に傾いた。こうなればもう、藤井ペースである。いつもの「藤井曲線」で、藤井竜王・名人が快勝すると思った。このときは。
ところがしばらくしてABEMAを見ると、永瀬王座が優勢になっていた。藤井竜王・名人らしくない、ごちゃごちゃした戦いになっている。のちに記譜を確認したが、藤井竜王・名人が、桂で飛車を取りに行っていた。これもなんとなく、藤井竜王・名人の指し手らしくない。
ここにきての形勢の差は、そうそう縮まらない。果たしてその後は両者の差が開く一方で、藤井竜王・名人も抗いきれない。150手まで、永瀬王座の勝ちとなった。
挑戦者先勝!! いかにも永瀬王座らしい勝ち方で、私は、千日手2回のすえ藤井棋聖を粘り倒した、第93期棋聖戦第1局を思い出した。
さあ、五番勝負はこれで面白くなった。ちなみに、上述の棋聖戦は、第2局から藤井棋聖が3連勝した。勝率8割3分の藤井竜王・棋聖には、つねにその可能性があるのだ。だから第2局も永瀬王座が勝ってこそ、本当に五番勝負が面白くなる。私は、藤井竜王・名人の「後のない戦い」を見てみたいのだ。
第2局は12日(火)。次が大きな山場である。
とはいえ私は天邪鬼なので、藤井竜王・名人が21歳で八冠王を実現するのは早すぎると思うし、永瀬王座も、ほかに叡王1期の実績はあるものの、名誉王座を取得するには、ほかのタイトル数が少ないと思うのである。
ただ、この五番勝負が終われば、「名誉王座」か「八冠王」のどちらかが誕生することは間違いないのである。
第1局の対局場は、神奈川県の名宿「元湯陣屋」。歴史的五番勝負のオープニングにふさわしい。
考えてみれば私たちは、八冠目を狙う番勝負を見るのは、これが初めてである。藤井竜王・名人が、見たことのない景色を見せてくれているわけだ。
振駒で藤井竜王・名人の先手となり、角換わりとなった。これはいつもの、相腰掛け銀に飛車を引く例の形になるかと思いきや、永瀬王座が玉を左に寄った。ここは斜め上に上がるのが常識だから、かなり思い切った手だ。
しかもそのあと右金を斜め上に上がったので、スソがガラ空きになってしまった。これでも指せる、と結論づけた永瀬王座の研究量に凄まじい。
その後永瀬王座は、敵の左銀に歩を突いた。これもかなり思い切った手で、中盤の勝負手だ。
だが、勝負手は得てして不利なほうが繰り出すものである。果たして数手後、ABEMA AIの評価も、藤井竜王・名人側に傾いた。こうなればもう、藤井ペースである。いつもの「藤井曲線」で、藤井竜王・名人が快勝すると思った。このときは。
ところがしばらくしてABEMAを見ると、永瀬王座が優勢になっていた。藤井竜王・名人らしくない、ごちゃごちゃした戦いになっている。のちに記譜を確認したが、藤井竜王・名人が、桂で飛車を取りに行っていた。これもなんとなく、藤井竜王・名人の指し手らしくない。
ここにきての形勢の差は、そうそう縮まらない。果たしてその後は両者の差が開く一方で、藤井竜王・名人も抗いきれない。150手まで、永瀬王座の勝ちとなった。
挑戦者先勝!! いかにも永瀬王座らしい勝ち方で、私は、千日手2回のすえ藤井棋聖を粘り倒した、第93期棋聖戦第1局を思い出した。
さあ、五番勝負はこれで面白くなった。ちなみに、上述の棋聖戦は、第2局から藤井棋聖が3連勝した。勝率8割3分の藤井竜王・棋聖には、つねにその可能性があるのだ。だから第2局も永瀬王座が勝ってこそ、本当に五番勝負が面白くなる。私は、藤井竜王・名人の「後のない戦い」を見てみたいのだ。
第2局は12日(火)。次が大きな山場である。