27日は、第71期王座戦第3局があった。第2局は12日だったから、ちょっと間隔が開いた。その間、永瀬拓矢王座は王位戦予選を指し、勝ち。藤井聡太竜王・名人は公式戦の対局はなし。しかしABEMAの非公式戦を指しており、実戦不足はないだろう。
第3局は藤井王座の先手で、お茶を3口飲んで、居飛車明示。永瀬王座は角道を止めたが飛車を振るはずもなく、雁木に落ち着いた。
藤井竜王・名人は右銀を三段目に上がって速攻を見せたが、永瀬王座も袖飛車に構え、藤井玉に狙いをつける。永瀬王座が飛車先の歩を突かず悠然と端歩を伸ばしていたのも、この手を見ていたのだ。
藤井竜王・名人は金を上げ玉の退路を確保したが、この展開は面白くなかっただろう。
数手後、永瀬王座は端攻めに出た。歩を突き捨てて歩を垂らす典型的な手筋で、私はよく大野八一雄七段にこれをやられて負かされること多数だったが、本局もこれが存外効いて、永瀬王座が指しやすくなった。
藤井竜王・名人は右銀をぶつける勝負手。しかし永瀬王座に自然に応接され、割り打ちの銀が厳しかった。
藤井竜王・名人は飛香交換の非常手段に出、一時的に小康を得たが。これでは先手つらい。
ABEMA AIの評価は徐々に開き、いまや「永瀬95:5藤井」となっていた。
藤井竜王・名人は一段目に飛車を打つ。これには△3一歩がピッタリで、▲6五角には△7七桂で一手勝ちだ。
ところが永瀬王座は飛車を合いした。途端に形勢バーが動き、「永瀬50:50藤井」となった。
藤井竜王・名人は予定通り、好点に角を打つ。永瀬王座はとりあえず5筋の歩を突いたが、藤井竜王・名人は飛車を交換したあと、5筋の金をボロッと取った。形勢バーは「永瀬23:77藤井」となり、逆転である。藤井竜王・名人、角を打つときは指先に自信がみなぎっており、おのが優位を自覚しただろう。永瀬王座は少しずつ少しずつ優位を重ねてきたのに、2手の疑問手で、あたら棒に振ってしまった。ここが将棋の恐ろしいところである。そして、堅実流の永瀬王座のコンピューターを壊すほど、藤井竜王・名人の圧力はすごかったのだ。
永瀬王座、桂の王手。しかし今度は上部が開けているので、藤井玉は悠々と上部に逃げられた。飛車の王手には、三段目に逃げ越す。永瀬王座は1分将棋で、ここから逆転の目を紡ぐことは難しい。ああ、藤井竜王・名人勝勢である。
以下、数手後に永瀬王座が投了した。
いやはや、藤井竜王・名人、この将棋を勝つ!? 全盛時の大山康晴十五世名人、羽生善治九段も大逆転がいくつもあったが、本局の藤井竜王・名人も、相当に僥倖な勝利だ。挑戦者決定トーナメント2回戦・村田顕弘六段との一戦もそうだったが、今期王座戦の藤井竜王・名人は、勝ち運に恵まれている。
さて、3局を終えて藤井竜王・名人の2勝1敗は、当人はその内容を考えれば、上出来だろう。
反対に永瀬王座は、敵陣に潜った玉を仕留められた第2局、好局を落とした第3局と、疲労の残る戦いとなった。
こうなってはもう、藤井竜王・名人の八冠王は決まったも同然である。第4局は10月11日(水)。私たちは、歴史の目撃者になる。
第3局は藤井王座の先手で、お茶を3口飲んで、居飛車明示。永瀬王座は角道を止めたが飛車を振るはずもなく、雁木に落ち着いた。
藤井竜王・名人は右銀を三段目に上がって速攻を見せたが、永瀬王座も袖飛車に構え、藤井玉に狙いをつける。永瀬王座が飛車先の歩を突かず悠然と端歩を伸ばしていたのも、この手を見ていたのだ。
藤井竜王・名人は金を上げ玉の退路を確保したが、この展開は面白くなかっただろう。
数手後、永瀬王座は端攻めに出た。歩を突き捨てて歩を垂らす典型的な手筋で、私はよく大野八一雄七段にこれをやられて負かされること多数だったが、本局もこれが存外効いて、永瀬王座が指しやすくなった。
藤井竜王・名人は右銀をぶつける勝負手。しかし永瀬王座に自然に応接され、割り打ちの銀が厳しかった。
藤井竜王・名人は飛香交換の非常手段に出、一時的に小康を得たが。これでは先手つらい。
ABEMA AIの評価は徐々に開き、いまや「永瀬95:5藤井」となっていた。
藤井竜王・名人は一段目に飛車を打つ。これには△3一歩がピッタリで、▲6五角には△7七桂で一手勝ちだ。
ところが永瀬王座は飛車を合いした。途端に形勢バーが動き、「永瀬50:50藤井」となった。
藤井竜王・名人は予定通り、好点に角を打つ。永瀬王座はとりあえず5筋の歩を突いたが、藤井竜王・名人は飛車を交換したあと、5筋の金をボロッと取った。形勢バーは「永瀬23:77藤井」となり、逆転である。藤井竜王・名人、角を打つときは指先に自信がみなぎっており、おのが優位を自覚しただろう。永瀬王座は少しずつ少しずつ優位を重ねてきたのに、2手の疑問手で、あたら棒に振ってしまった。ここが将棋の恐ろしいところである。そして、堅実流の永瀬王座のコンピューターを壊すほど、藤井竜王・名人の圧力はすごかったのだ。
永瀬王座、桂の王手。しかし今度は上部が開けているので、藤井玉は悠々と上部に逃げられた。飛車の王手には、三段目に逃げ越す。永瀬王座は1分将棋で、ここから逆転の目を紡ぐことは難しい。ああ、藤井竜王・名人勝勢である。
以下、数手後に永瀬王座が投了した。
いやはや、藤井竜王・名人、この将棋を勝つ!? 全盛時の大山康晴十五世名人、羽生善治九段も大逆転がいくつもあったが、本局の藤井竜王・名人も、相当に僥倖な勝利だ。挑戦者決定トーナメント2回戦・村田顕弘六段との一戦もそうだったが、今期王座戦の藤井竜王・名人は、勝ち運に恵まれている。
さて、3局を終えて藤井竜王・名人の2勝1敗は、当人はその内容を考えれば、上出来だろう。
反対に永瀬王座は、敵陣に潜った玉を仕留められた第2局、好局を落とした第3局と、疲労の残る戦いとなった。
こうなってはもう、藤井竜王・名人の八冠王は決まったも同然である。第4局は10月11日(水)。私たちは、歴史の目撃者になる。