第5図以下の指し手。▲6六歩△同歩▲7三歩△6二飛▲7二歩成△6一飛▲同と(第6図)
上川香織女流二段の▲6六歩はありがたかった。ここは▲7六飛△同歩▲7一角を気にしていた。これは半分遊んでいる飛車を相手にしてくれるから後手は悪くないと思うが、けっこう働きのある馬を消されるのも面白くない。私は△6六同歩と取り、馬を消される憂いがなくなり、決定的によくなったと思った。
▲7三歩にはふつうに△同銀でもよかったが、△6二飛とし、働いている角と交換しにいった。
▲6一同とに、次の手は当然。
第6図以下の指し手。△5五香▲6五歩△7三銀▲7一飛△5六香▲8一飛成△6九飛▲5一と△6七歩成▲4一と△3二金▲7二竜△5五角▲6四歩△6六馬▲7三竜△3九飛成▲6七金△3七角成▲同銀△2八銀▲同銀△同竜▲同玉△3九銀(投了図)
まで、98手で一公の勝ち。
△5五香が気持ちいい手。ふつうに飛車が取れては、後手が勝勢となった。
最後の▲3七同銀に△2八銀と打つと、「詰みがあった?」と上川女流二段がつぶやいた。その通りで、以下簡単な詰みである。
「(第5図からの)▲7六飛を気にしていました」と私。上川女流二段も何か返したが、感想戦もそこそこに、2局目となった。
初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△4二飛▲6六歩△6二玉▲4八銀△7二玉▲6八玉△8二玉▲7八玉△7二銀▲5八金右△6四歩▲5六歩(第1図)
1局目に私が負ければ、未練がましくて2局目は指せないが、私が勝ってリベンジを申し込まれれば、よろこんで応ずる。
2局目は、1局目に勝った私が先手となった。私の居飛車明示に、上川女流二段は角道を止めず△4二飛。島井咲緒里女流二段は角道を止めるから、同じ振り飛車でも味が違う。
そこで私は▲6六歩。居飛車が角交換を避けるのは屈辱だが私の常套手で、振り飛車の構想通りには指させない。
▲5八金右に、上川女流二段が「なるほど、工夫ですね。最近は角交換の将棋ばかりなので、新鮮です」と言った。
第1図以下の指し手。△3二飛▲2五歩△3三角▲6八銀△4二銀▲5七銀左△4四歩▲5五歩△4三銀▲5六銀△3五歩▲6五歩△同歩▲同銀△4二角▲2六飛△5二金左(第2図)
上川女流二段は△3二飛。角交換ができなかったので、3筋に戦いを求めた。
私は▲6八銀~▲5七銀左から中央位取りに出た。3月16日の島井女流二段戦に続く採用である。
島井女流二段戦のときと違い、6筋の歩を換えることができ、私はまずまずの形勢と思っていた。
△5二金左に、次の手は問題だったかもしれない。
第2図以下の指し手。▲5七銀△3四飛▲5六銀引△3三桂▲2八飛△5四歩▲同歩△同銀▲4六歩△3六歩▲同歩△同飛▲3七歩△3五飛▲4四角△2五飛▲同飛△同桂▲1一角成(第3図)
私は▲5七銀と上がったが、どうだったか。ここは▲5六飛と回り、次の▲5四歩を目指すべきだったかもしれない。
△5四歩▲同歩△同銀には、じっと▲4六歩と突く。上川女流二段が「(指し手が)意外に丁寧ですよね」とつぶやいた。私はいつも通り指しているだけだが、こちらもおカネを払っているので、慎重に指しているところもある。
△3五飛は次の△2五飛を狙っているが、私に防ぐ手はない。でも▲4四角と飛び出し、飛車交換ののち▲1一角成と飛び込めては、居飛車も悪くないと思った。
(つづく)