一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第71期王座戦第2局

2023-09-14 00:14:08 | 男性棋戦
12日は第71期王座戦第2局(日本経済新聞社、日本将棋連盟主催)があった。第1局は永瀬拓矢王座の勝ち。藤井聡太竜王・名人は初戦を落とすことが多いが、タイトル戦で連敗はない。第2局も落とすとカド番となり、さすがの藤井竜王・名人も焦るだろう。私は追い込まれてからの藤井竜王・名人の将棋を見たいので、第2局も永瀬王座が勝つと面白いと思った。
将棋は永瀬王座の先手で、角換わりになった。ここから右金をまっすぐ上がり飛車を引く例の形になると思ったら、何と藤井竜王・名人が右玉に構えた。これは相当珍しく、初採用の可能性もある。永瀬王座は研究の鬼で、角換わりのありとあらゆる変化を研究しているに違いない。藤井竜王・名人がそれを避けたとは思わぬが、頭の隅にあったのではなかろうか。
永瀬王座は玉を8八に収める。先手は3手、後手は2手も玉を動かした。こうなると、昭和や平成の将棋に逆戻りだ。これはこれで、永瀬王座にも十分勝機があるのではないか?
と、藤井竜王・名人が6筋から仕掛けた。これも思い切った手で、ちょっとこのあたり、ふつう?の棋士の指し手のようである。
永瀬王座は自陣に角を打ち、9筋を狙う。素人目にはこれで先手有利に見えるが、藤井竜王・名人も角を打ち返して均衡を保つ。ただやはり、攻めている永瀬王座が良いように思った。永瀬王座はと金を作り、カナケを取り、駒得を果たす。少なくとも私は、後手を持って勝てる気がしなかった。
だが実戦は永瀬王座が決め手を逃したようで、藤井玉が中段に泳ぎだしては、藤井竜王・名人持ちになった。
さらに数手進み、藤井玉が安泰になったが、永瀬玉はまだ8八である。しかも飛車が9九に蟄居しているのがマズい。これは藤井竜王・名人の勝ちである。
だが永瀬王座も妖しく粘り、藤井竜王・名人も持て余し気味だ。
果たして双方秒読みの中、藤井竜王・名人が歩頭の桂を放ったのがどうだったか。永瀬玉が手順に上部に泳ぎだし、私だったらアワを食って、以降の指し手がメチャクチャになるところである。
永瀬王座は、敵陣に駒を打って粘る。悪くなっても諦めない。これが永瀬将棋の真骨頂だ。
相入玉になれば、先手の駒がやや足りないと言われている。とはいえ、とりあえず双方が入玉はすると思った。
というところで、藤井竜王・名人が馬取りに歩を打った。
この歩は取れないので馬が逃げるが、藤井竜王・名人は馬を引いて王手。そこから4手進み、何と永瀬王座が投了してしまった。
さっきまで藤井陣に駒がなかったのに、いつの間にか詰んでいる。まるでマジックである。藤井竜王・名人の描いたシナリオは、相入玉の点数勝ちでなく、先手玉を仕留めることだった。なるほど、確かにそれでこそ、藤井竜王・名人だ。最後の最後に、藤井竜王・名人らしさを見せてもらった。
さて、2局を終わって1勝1敗は、藤井竜王・名人はまずまずであろう。反対に永瀬王座は、ちょっと悔いの残る結果になったのではなかろうか。
しかしまあ、それを言っても詮無い。第3局はどちらも必勝あるのみ。第3局は27日である。
コメント (3)
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