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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2月15日の愛(後編)

2018-03-17 00:06:31 | LPSA麹町サロンin DIS

第8図以下の指し手。▲4七同金△4六歩▲4四桂△4二玉▲5七金△5三金(途中1図)

▲3二角△3一飛▲2三角成(第9図)

このあたりで、奥の年配の男性の将棋が終わった。男性氏の快勝のようだった。
私はまだ終盤の入口で、ここからが苦しい。私は▲4七同飛と取りかけて、▲4七同金と取った。飛車も活用したいが、金の厚みを重く見たのだ。
△4六歩に▲4四桂が、飛車道を止めつつの王手。
ただ△4二玉に▲5二桂成は、上手玉を右辺に逃がすのと、飛車道がまた効いてくるので、指しづらい。金を取りたいのをグッと堪えて、▲5七金と寄った。
渡部愛女流二段も、「ウウ~ン」と発して、△5三金(途中1図)。どちらも金をじっと逃げ、力のこもった指し手に、私はウハハハと笑う。
「いや~しかし、タコみたいな▲8三金がここまでくると、玉の逃げ道を抑えて、何となく働いてますかねえ」
「そうですよオ、働いてますよオ」
だがここで下手の指し手がまったく分からなかった。何となく▲6四歩△同銀▲7二金と指したいが、上手の金銀がほぐれるのが気に入らない。しかも金を活用したって、相手側に渡っても金なのだ。
そこで▲3二角と打ったが、△3一飛に▲2三角成が1回休みみたいな手で、これはマズかった。
ここで渡部女流二段に決め手が出た。

第9図以下の指し手。△7七歩▲同角△4七銀(途中2図)

▲同金△同歩成▲同玉△4六金▲5八玉△3七飛成▲3二桂成△5二玉(第10図)

このあたりで、右の男性の将棋も終わった。男性氏が渡部玉を綺麗に詰め上げ、勝ち。
私はふだん早く終わるほうなのだが、けっこう考えてしまっている。
局面、「手筋っぽく…」と指した△7七歩にシビれた。いわゆる焦点の歩で、大駒の利きを減殺する手筋だ。
これはどっちの利きも生かしたいが、角道が通ってないと相手玉への脅威がなくなってしまうと思った。それで▲同角と取ったが、渡部女流二段の△4七銀(途中2図)がまた厳しかった。取れる金を取らないで、銀を打つところがニクイ。
しかも清算すると、△4六金出がある。こんな手を指されるくらいならこの△4七銀で投げたほうがマシだが、わずかに逆転の筋もありそうな気がするのだ。
それで▲4七同金としたが、渡部女流二段は3手後に△4六金。私は読んでいた、という顔をしたが、実際指されてみると不愉快で、もっと前に投了しちゃうんだった。
やむない▲5八玉に△3七飛成が痛い。この飛車はさっきまで、玉の影になっていたのだ。それを世に出してしまったのは▲3二角の罪で、大変なお手伝いだった。
私は▲3二桂成と最後のお願い。これに△5一玉なら▲3三角成!△同桂▲3七飛(参考2図)で、これが▲3一飛以下の詰めろになり、下手勝ち。

だから渡部女流二段は「ここに逃げて大丈夫だと思います」と△5二玉と寄った。

第10図以下の指し手。▲4二成桂△6一玉▲4五馬△同金▲7四桂△3六角(投了図)
まで、126手で渡部女流二段の勝ち。

このあたりでもう一人の男性の将棋も終わった。最後まで残ってしまったのは初めてである。
時刻はもう午後8時前後で、あとは渡部女流二段の「厚意」の時間である。
私は▲4二成桂と寄った。△同玉なら▲3三角成の狙いで、それでももう下手が負けなのだが、渡部女流二段は大事を取って△6一玉。結果論を承知で書くが、もし▲6四歩△同銀の交換が入っていれば、ここで▲7二銀の詰みだった。
まあこうはならないが、途中1図から▲6四歩△同銀は入れておくべきだった。
私は投げきれず、▲4五馬。△同金に▲7四桂は「形作りです」。
渡部女流二段は、ホントですかァ、とおどけたが、「それは…これで詰みだと読んでました」と△3六角と打った。即詰みで、私は投了した。

私は悪かった将棋を互角に戻し、おもしろい局面も出現したから、それだけに機嫌が悪い。だが相手が愛先生では、その怒りも静まってしまう。
感想戦を行うが、私の▲5七金では、すぐに▲5二桂成と取る方がよかったという。やはり金桂交換の実利は大きかったようだ。
続く▲3二角も疑問で、やはり▲6四歩がよかったらしい。以下A△6四同金は▲4三歩。B△6四同銀は▲7二金である。
本譜は眠っていた上手の飛車が働いて、以後は下手の勝ちがなかったようである。
これにて今回の指導対局は終わり。渡部女流二段は美しくも、強かった。
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2月15日の愛(中編)

2018-03-16 00:09:14 | LPSA麹町サロンin DIS

第3図以下の指し手。▲8五桂△同飛▲8六飛△同飛▲同歩△8二飛▲8七金△4四歩▲6八銀△4三金▲7六金(第4図)

私は「これが悪い手なのは分かってるんですよ。分かってるんだけど行っちゃう」と、▲8五桂と跳ねた。△8五同飛に▲8六飛。桂を犠牲に飛車交換を挑み、飛車の打ち合いは下手がいい。口ではああ言ったがこの開戦、そんなに悪くないと思った。
ところが渡部愛女流二段に飛車交換に応じられ、「逆に打たれちゃ悪いから」と自陣に飛車を打たれてみると、下手が悪いことに気付いた。上手陣にまったくスキがなく、下手の桂損のみがクローズアップされたのだ。
私は歩を守って▲8七金だが、これでは失敗を自認した。

第4図以下の指し手。△3三角▲8五歩△6二銀▲3六歩△4五歩▲7七銀△7四歩▲8七飛△7五歩▲同金△7二飛▲7六歩(第5図)

右の男性は二枚落ちだが、落ち着いて指している。奥の年配の男性は角落ちだったか飛車落ちだったか。あちらも下手は悪くなさそうだ。
渡部女流二段はスキを作らない。△3三角~△6二銀はそれに則った自陣整備だ。「桂持ってるけど動けない」と渡部女流二段が嘆く。しかしこれが三味線なのは承知している。
私も着々と駒を進めたが、桂損が大きく、まったく自信はない。
△7四歩。これに▲同歩は△同銀▲7五歩△8五銀で上手優勢。よって私は▲8七飛と据えた。私のほうは、「根性の自陣飛車」である。
△7五歩▲同金△7二飛に、▲7四歩は△同銀なので、私は▲7六歩と屈服する。しかし金と歩が逆で、これは勝てない流れになってしまった。
が、渡部女流二段にも誤算があった。

第5図以下の指し手。△7四歩▲8四金△7五歩▲同歩△同飛▲7六歩△7一飛▲6六歩△5二金▲8三金△4一飛(第6図)

第5図から渡部女流二段は△7四歩。当然の手に見えたが、「あ、そっかー」と言う。やむない▲8四金に「△8二飛と(指そうと)思ったら…」とつぶやき、「▲8三金があるんですね」と続けた。
すなわち▲8四金には△8二飛で、次に△8三歩の金得を見ていいと思ったら、逆に▲8三金と突っ込む手があったというわけだ。以下△8三同飛▲8四歩A△8二飛▲8三歩成で下手もおもしろい。
が、A△8二飛ではB△7三飛▲8三歩成△7一飛があるし、C△7八金もある。以下▲8三歩成△8八金▲同銀△5五角打(参考1図)で、上手が指せそうに見える。

参考1図以下は▲7二と△8八角成▲同飛△同角成▲6二と△同金▲8二飛が一例だが、とにかく上手は△8二飛と指す価値はあったのではないか。
ただし▲8四金を横目に△7五歩も本筋っぽい手で、私は▲8四金の存在が哀しい。
△5二金に▲8三金も意味不明の手。もう投げちゃおうかと思った。

第6図以下の指し手。▲7五歩△4四金▲7六銀△3五歩▲同歩△同金▲5八金△5五角▲3七歩△4六歩▲同歩△3六歩▲5六歩△4六角▲4七歩(第7図)

私の▲7五歩から▲7六銀は、これくらいしか手が思いつかなかった。気は利かないが、一応飛車の横利きは通している。
しかし上手は△4四金から△3五歩と、下手の急所を衝いてくる。▲3五同歩△同金で、こちらの金の五段目は力強い。
▲5八金は4七の地点の強化だが、冴えない。△5五角には▲3七歩と凹まされ、そこで△3六歩かと思ったが渡部女流二段は△4六歩から攻めてきた。
何だかプロっぽい指し手で、このあと華麗な手筋で負かされるんだろうなと思った。
だが▲4七歩までと進んでみると、上手の角が死んでいる。これは…?

第7図以下の指し手。△3七歩成▲同桂△同角成▲同銀△4五桂▲4八銀△3六桂▲3七歩△4八桂成▲同玉△4六歩▲6五歩△4七歩成(第8図)

「角が死んだ…?」と渡部女流二段は△3七歩成。ここで▲4六歩は△3八とで角銀交換だ。黙って▲3七同桂でも上手は角を切る一手で、この折衝は下手がずいぶんトクをした。
「あれえ? 私が悪くなってます?」
「いえいえ、まだまだ(上手がいい)」
事実、渡部女流二段の△4五桂~△3六桂がいやらしい攻めだ。私も反撃したいが、上手は△4八桂成の前に△3七歩と打ってくるだろう。
それで▲3七歩と先着したが、渡部女流二段は△4八桂成。2手一遍に指したようなもので、やはり上手がよい。
▲4八同玉には△3六歩かと思ったが、渡部女流二段は△4六歩。これが玉頭を直撃して本手か。渡部女流二段の指し手には学ぶところが多い。
これにふつうは▲4六同歩なのだろうが、先手先手と攻められて負けると思った。
私は▲6五歩と突く。受けてばかりじゃしょうがない。時にはツッパリも大事で、これで大駒2枚の利きが大きく通り、何とか勝負になった気がした。
△4七歩成にはどの駒で取るか。

(つづく)
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2月15日の愛(前編)

2018-03-15 01:07:51 | LPSA麹町サロンin DIS
2月15日(木)のLPSA麹町サロンin DISは、渡部愛女流二段の担当。私は3コマ目に申し込んでいた。12日は大野教室で指せなかったから、その埋め合わせだ。
15日は昼に職安に行ったがこれといった企業がなく、収穫のないまま、ふらふらと四ッ谷方面を目指した。疲れたらどこかで電車に乗ろうと思ったが、のんびり歩いているうち陽も暮れて、四ッ谷に着いてしまった。麹町サロンには指定時間の10分前(午後6時20分)に入った。
先客は2名で、麹町サロンでは顔なじみのようだ。私は入口のすぐ左の席に座った。
渡部女流二段とは久々にお会いするが、また綺麗になった。公私?ともに充実しているのだろう。私は挨拶もそこそこに、渡部女流二段に北海道土産を渡した。
「アッ、ここのチョコ、有名ですよね」
私のチョイスは人気店のものだったようで、よろこばれた。
「今日は私、弱点があるんですよ」
と、渡部女流二段が私をじっと見る。このシチュエーションは今までありそうでなかったもので、大抵の男子はこれで落ちる。
渡部女流二段の解答は、「コンタクトレンズをはめておらず、盤がよく見えない」だった。
本日2コマ目までは普通にはめていたが、休み時間中に目の調子が悪くなり、外さざるを得なかったという。
しかしプロは目隠し将棋もできるから、これがいかほどのハンデになるか、素人には測りかねる。
「もしもの時のために、メガネも持ち歩いていないとダメですね」
と渡部女流二段。彼女のメガネ姿もマニアには堪らないところであり、ぜひ常備をお願いしたい。
渡部女流二段から、「1日遅れですけど」とバレンタインデーのクッキーをいただいた。明らかに義理クッキーだが、うれしい。
「あ、大沢さんとは今年初めてでしたよね」
「あ、そうですね」
『本年もよろしくお願いいたします』
20代の新進女流棋士と新年?の挨拶を交わす。ありがたいではないか。
対局前にすっかり骨抜きにされて、対局開始。

初手からの指し手。▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2六飛△7二銀▲1六歩(第1図)

私は▲2六歩。2018年渡部先生との1局目は、ひねり飛車を目指した。
渡部女流二段は△3二金と上がる。「大沢さん、Todさんに会うことありますか」。
聞くと、2コマ目に参加のTod氏に、クッキーを渡し忘れてしまったらしい。
私が預かってもいいのだが、私からTod氏に渡しても、Tod氏がよろこぶかどうか。私がそのままくすねる可能性もあり、結局保留となった。
△7二銀と上がり、「今日は何の作戦ですか?」と聞かれる。
「ひねり飛車ですが」
と、私は▲1六歩と突いた。

第1図以下の指し手。△3四歩▲3六飛△3三金▲7六歩△6四歩▲7五歩△4二玉▲1五歩△6三銀▲7六飛△3二玉(第2図)

4人目の客が見え、駒を並べ始める。渡部女流二段が彼にも同じ質問をして彼をじっと見つめ、彼も骨抜きにされた。
渡部女流二段の解答を聞き、「でもプロは盤が見えなくても…」と、彼も私たちと異口同音の感想をもらした。
渡部女流二段は△7四歩と指し掛けて、△3四歩と突いた。下手に作戦を聞いた手前、素直にひねり飛車に組ませないとマズイと判断したのだろう。
私は▲3六飛。この局面を「タテ歩取り」という。渡部女流二段は△3三金と守る。これで下手は3四歩を取れないが、それでもタテ歩取りというのだ。
▲7六歩△6四歩に▲7五歩。「いよいよ正体を現しましたね」と渡部女流二段。
本当なら△8六歩▲同歩△同飛の時に▲7五歩と突きたかったのだが、渡部女流二段も△7二銀型にするなど、下手の捌きを警戒しているのだ。
△4二玉には▲1五歩と突き越した。相掛かりではないので不急の手にも思えるが、そこは実戦心理の綾である。「詰められちゃった」と渡部女流二段は△6三銀。

第2図以下の指し手。▲9六歩△9四歩▲3八銀△4二銀▲4八玉△5四歩▲7七桂△5一金▲3九玉△5三銀(第3図)

今日の渡部女流二段はショートパンツで、そこから細い脚が伸びている。ストッキングは黒系だ。相変わらず細身で、モデルのようである。
私は▲9六歩。ひねり飛車に限らないが、角の可動域を拡げて、この手は必須だ。
「なんか(1筋の)端が大きそうに見えるなあ」と渡部女流二段はつぶやき、△4二銀。さらには「お腹が鳴ってる」と△5四歩。麹町サロンでは2コマ目と3コマ目の間に軽食の時間があるが、少食の渡部女流二段のこと、積極的に食事は摂らないのだろう。
いずれにしても、渡部女流二段はもっとモリモリ食べたほうがいい。将棋は体力である。
△5三銀に次の手が、敗着を承知の開戦だった。

(つづく)
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渡部女流二段、女流王位戦挑戦者に!!

2018-03-14 20:29:33 | 女流棋戦
今日行われた第29期女流王位戦挑戦者決定戦・清水市代女流六段と渡部愛女流二段の一戦は、140手までで渡部女流二段が勝ち、タイトル戦初出場を決めた。渡部先生、おめでとうございます!!

私は今日、無職なのをいいことにスマホの無料中継に張り付いていた。
振り駒で渡部女流二段の後手番になったが、これすら渡部女流二段に不利に思えて、対局開始からハラハラドキドキしっぱなしだった。
午後になりLPSAからハガキがきた。私が待っているのは面接先からの採否結果なのだがそれはともかく、私は今月誕生日なので、バースデーハガキが届いたのだ。今対局中の渡部女流二段によるメッセージがしたためてあり、ちょっと不思議な気がした。
形勢は難しい。どうも清水女流六段が有利になったようだ。だがこの程度なら、ぴったりついていけば、渡部女流二段にも逆転の目が出てくると思った。
果たして終盤は渡部女流二段の怒濤の攻めが決まり、清水女流六段が投了。私はうれしさより、ホッとした気分だった。
私は渡部女流二段が人一倍努力しているのを知っている。その勉強風景を見たことはないけれど、会って話せば、雰囲気で分かるものである。
だからいつかはタイトル戦の舞台に立つと信じていたが、まさかこの女流王位戦で挑戦者になるとは思わなかった(失礼)。
改めて渡部先生、おめでとうございます。
五番勝負では肩の力を抜いて、自分らしい将棋を指してください。
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今日14日は、女流王位戦挑戦者決定戦・清水女流六段VS渡部女流二段!!

2018-03-14 00:48:18 | 女流棋戦
日付変わって今日14日は、女流王位戦挑戦者決定戦・清水市代女流六段と渡部愛女流二段の一戦が行われる。
今までLPSA女流棋士のタイトル戦といえば、石橋幸緒女流四段が女流王位戦や女流王将戦に登場したくらいで、あとはパッとしなかった。
今回は数年振りに巡ってきた大チャンスである。渡部女流二段は本局、絶対に勝たねばならない。相手の清水女流六段は、蛸島彰子女流六段が引退した今、2代目レジェンドというべき存在だが大丈夫、渡部女流二段が持てる力をすべて出せば、必ず勝てる。
幸い今日は無料中継もあるようだ。私もいっしょに戦います。渡部先生、頑張ってください。
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