付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ジャスト・ボイルド・オ'クロック」 うえお久光

2007-10-04 | 超能力・超人・サイボーグ
 人間が家電と共生している世界。
 もうそれだけでヘン!って感じですが、とにかく過去の災厄から人間は脳に「珪素脳」が組み込まれ、自律機能を備えた家電と共生することで生きることを選んだ時代。人々が国家ではなく、さまざまな大企業が管理する都市に所属することで生活している世界。
 もとは優れた捜査官だったにもかかわらず、関係者誰もが口にしたがらない過去の事件から職を辞し、「裏切り者」と呼ばれるようになった探偵ジュードと相棒家電の黒猫アルの物語。


 未来世界を舞台にしたハードボイルドな探偵ものは多いけれど、ハードボイルドなんて固すぎる。ちょうどいいのが一番。ビバ!ジャストボイルド……という作品。どんな苦難に陥っても「ポジティブ・シンキング!!」という前向きな姿勢が気持ちの良い1冊。
 で、「バズーカ・ランチャーって家電?」。

【ジャスト・ボイルド・オ'クロック】【うえお久光】【家電】【共生】【双子】【頭脳船】
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「じかに見たアメリカ~コミュニスト、資本主義国へ行く」 A・アジュベイ

2007-10-04 | 伝記・ノンフィクション
 嫁さんの伯母さんが引っ越しするというので、不要な古本をもらってきました。読書家のおばあさんで、五木寛やデュマからグイン・サーガまで読む人ですが、そこから出てきたのが、『じかに見たアメリカ』。執筆したのは、イズベスチヤ編集長でフルシチョフの女婿でもあるA・アジュベイ。

「国連の会議に参加している人たちに、彼らが重要問題を解決していくテンポに応じて、給料をはらうことにしたらどうでしょうか?」
 ハマーショルド国連事務総長主催の晩餐会にて。

 東西冷戦の真っ直中の1959年にアメリカを訪問したニキータ・フルシチョフの訪問記。帰国後2ヶ月でまとめられた本らしいけど、スターリン批判でその恐怖政治を暴露し、核軍縮を進め、西側陣営と平和共存を図ったフルシチョフ。当然のように10年ちょいで失脚し、揺り戻しが来るわけですが、まあ、西側にはけっこう人気があったのかな。
 そりゃあ、フルシチョフの推進する社会主義下の制度が資本主義陣営の諸制度と比べてどれだけ優れていて、フルシチョフのユーモアとウィットに富んだ会話や人柄がどれだけアメリカの人々に愛され歓迎されたかという、ビバ!フルシチョフという1冊。もうそれだけで笑っちゃうくらい面白い。

【じかに見たアメリカ】【コミュニスト、資本主義国へ行く】【アレクセイ・アジュベイ】【カッパブックス】【社会主義】【フルシチョフ】【国連】
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「妖魔と二剣士」 フリッツ・ライバー

2007-10-04 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 フリッツ・ライバーの『ファファード&グレイ・マウザー』シリーズを読了。再販で本邦初訳作品の『妖魔と二剣士』も加わって、5巻の『ランクマーの二剣士』で完結。
 大剣を振り回す北国生まれの蛮人ファファードと、都会育ちの盗賊で暗殺者で詐欺師の小男マウザーの冒険譚で、RPG界では『指輪物語』と双璧を成す古典的名作。昔は『指輪物語』などと並んでテーブルトークRPGに必読の参考文献としてあげられていたもの。
 でも確かに戦士と盗賊がコンビでシティ・アドベンチャーしたり遺跡に挑んだりと、『指輪物語』と比べれば、こちらの方がずうっとささやかで、俗っぽくて、エロチック。そう、特に主人公2人の女性の趣味が色濃く出ているシリーズです。むちむちのぷりんぷりんのぼんぼーん!という大人の女性が大好きで、条件を満たせば人間ではなかろうと内臓が透けていようが万事OKなファファード。一方、グレイ・マウザーの趣味はどうやら正反対で、スレンダーで小柄でツルペタな様子。1960年代のシリーズながら、万遍なくフォローしてるようですね……。
 今回も輸送船団の護衛あり、地底世界の探検あり、市街戦ありとなかなか波瀾万丈のミッションの連続で、出てくる敵も小はネズミから大はドラゴンまでとにぎやかな上に、主人公2人が等身大で、プレイヤーがキャラをロールする際に陥りがちな蛮勇とか、利己的・保身的・臆病・守銭奴でといった要素をみんな抱え込んでいるところが良いのですね。本家といわれる『指輪物語』以上に初心者テキスト向けの作品です。

【ファファード&グレイ・マウザー】【魔の都の二剣士】【死神と二剣士】【霧の中の二剣士】【妖魔と二剣士】【ランクマーの二剣士】【フリッツ・ライバー】【創元推理文庫】【財宝】【盗賊】【美女】【魔物】
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