「何事も終末があるからこそ始まる事ができる。真の永遠など、この世にはないと私は思う。故に終末は美しい。国の成り立ちも同じ事」
日没を自然現象の中で最も華やかなショーだと言う、バーンズワース財閥の総帥ハリー・バーンズワースの言葉。
うかつにも樹なつみの『花咲ける青少年』を朝方まで読みふけっていてしまった。仕事があるのに……。
1939年。第二次世界大戦前夜。ニューヨーク万国博覧会に沸き立つアメリカを訪問した東南アジアの小国ラギネイの皇太子が、アメリカ人の新聞記者フレッドとクラブ歌手のキャスリーンに出会う。文化や生活習慣の違いから衝突する若者たち。だが、皇太子に差し向けられた追っ手から逃れるうちに、皇太子と少女は互いに惹かれているのに気づく(吊り橋効果だとツッこむなかれ)。
事件は落着し、少女キャスリーンは姿を消し、少年マハティ・シェイク・ダイ・ラギネイは1人帰国して王座に就く。
そして50年。日本のとある高校に1人の転校生がやってきた。花鹿・バーンズワース。彼女は奔放な行動で周囲を翻弄する。だが彼女こそ、かつて新聞記者だったフレドリック・バーンズワースとキャスリーンの孫であり、一代で多国籍企業を立ち上げた謎の男、ハリー・バーンズワースの娘だった……。
序盤のあらすじをまとめてみたら、なんか全然違う話みたいな気がしてきました。
話的には純然たる「少女マンガ」なんです。大富豪の家に生まれた少女が父親から花婿捜しのゲームを挑まれ、ついに自分が本当に愛する者にたどり着くというストーリー……ではあるのだけれど、アメリカでの『ローマの休日』から、一転して現代日本での学園ものになり、そしてあっという間にアメリカへ飛んでいきなり「花婿捜しだ」ということになる。それから華僑も絡んで多国籍企業同士の対立が表面化したかと思うと、石油産出国ラギネイでのクーデター騒ぎに突入し……と時代も場所も二転三転。それでも常に主人公・花鹿が中心にいて、ストーリーが反れないのが立派。
ドラマ的に面白い反面、やはり掲載誌が『LaLa』という少女マンガ雑誌だけあって、メカニックの書き込みが足りないとか、戦闘の描写が甘いとか、政治劇や経済戦争をもっと前面に出せとか(ほとんど言いがかりにすぎないのだけれど)男性読者には物足りない一面もあるわけで、今、『PLUTO』みたいに青年誌あたりで別の作家で男性向けにリメイクされたら面白いのに……と妄想。(2007.10/11)
この作品がNHKでアニメ化されるとは、やはり根強い人気があるんだねえ。1990年の作品といったらほぼ20年前なのに。
ただ、いまだに怖くてアニメ版は見てません。NHKのアニメって、オリジナルは独創的で面白い作品が多いのに、原作付になるととたんに凡庸でつまらなくなるんですよね……。(2009.04/28)
【花咲ける青少年】【樹なつみ】【王族】【石油】【恋】【クーデター】【血族】
日没を自然現象の中で最も華やかなショーだと言う、バーンズワース財閥の総帥ハリー・バーンズワースの言葉。
うかつにも樹なつみの『花咲ける青少年』を朝方まで読みふけっていてしまった。仕事があるのに……。
1939年。第二次世界大戦前夜。ニューヨーク万国博覧会に沸き立つアメリカを訪問した東南アジアの小国ラギネイの皇太子が、アメリカ人の新聞記者フレッドとクラブ歌手のキャスリーンに出会う。文化や生活習慣の違いから衝突する若者たち。だが、皇太子に差し向けられた追っ手から逃れるうちに、皇太子と少女は互いに惹かれているのに気づく(吊り橋効果だとツッこむなかれ)。
事件は落着し、少女キャスリーンは姿を消し、少年マハティ・シェイク・ダイ・ラギネイは1人帰国して王座に就く。
そして50年。日本のとある高校に1人の転校生がやってきた。花鹿・バーンズワース。彼女は奔放な行動で周囲を翻弄する。だが彼女こそ、かつて新聞記者だったフレドリック・バーンズワースとキャスリーンの孫であり、一代で多国籍企業を立ち上げた謎の男、ハリー・バーンズワースの娘だった……。
序盤のあらすじをまとめてみたら、なんか全然違う話みたいな気がしてきました。
話的には純然たる「少女マンガ」なんです。大富豪の家に生まれた少女が父親から花婿捜しのゲームを挑まれ、ついに自分が本当に愛する者にたどり着くというストーリー……ではあるのだけれど、アメリカでの『ローマの休日』から、一転して現代日本での学園ものになり、そしてあっという間にアメリカへ飛んでいきなり「花婿捜しだ」ということになる。それから華僑も絡んで多国籍企業同士の対立が表面化したかと思うと、石油産出国ラギネイでのクーデター騒ぎに突入し……と時代も場所も二転三転。それでも常に主人公・花鹿が中心にいて、ストーリーが反れないのが立派。
ドラマ的に面白い反面、やはり掲載誌が『LaLa』という少女マンガ雑誌だけあって、メカニックの書き込みが足りないとか、戦闘の描写が甘いとか、政治劇や経済戦争をもっと前面に出せとか(ほとんど言いがかりにすぎないのだけれど)男性読者には物足りない一面もあるわけで、今、『PLUTO』みたいに青年誌あたりで別の作家で男性向けにリメイクされたら面白いのに……と妄想。(2007.10/11)
この作品がNHKでアニメ化されるとは、やはり根強い人気があるんだねえ。1990年の作品といったらほぼ20年前なのに。
ただ、いまだに怖くてアニメ版は見てません。NHKのアニメって、オリジナルは独創的で面白い作品が多いのに、原作付になるととたんに凡庸でつまらなくなるんですよね……。(2009.04/28)
【花咲ける青少年】【樹なつみ】【王族】【石油】【恋】【クーデター】【血族】