付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「第二次宇宙戦争」 伊吹秀明

2007-10-25 | 破滅SF・侵略・新世界
 『宇宙戦争』の後日談の切り口としてもう1つ。
 最初の火星人襲来で遺された戦闘機械を西欧列強が回収し、「特型戦車」として覇権争いに利用していたら……というのが伊吹秀明の『第二次宇宙戦争』。こちらは架空戦記的な解釈をしていて、あの名艦<サンダーチャイルド>の名を継ぐ軽巡洋艦も活躍するなど、また違った面白さがあります。
 いやあ、トライポッドを戦車と言い張るなら、人型戦車も十分に有りですよね。機神兵団がまた読みたくなるじゃないですか……。

【第二次宇宙戦争】【マルス1938】【伊吹秀明】【ワニ・ノベルス】【拾い物】【火星人襲来】【ツングースカ】
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「火星人類の逆襲」 横田順彌

2007-10-25 | 破滅SF・侵略・新世界
 『宇宙戦争』については、日本でも後日談が幾つか書かれています。まず、明治末期に再襲した火星人の物語を横田順彌が『火星人類の逆襲』というタイトルで書いてます。こちらはホームズではなく、冒険小説家・押川春浪ら天狗倶楽部の面々が帝都の危機に敢然と立ち向かい、それに白瀬中尉や乃木大将らが交錯するという物語。
 明治の日本でバンカラ男たちが立ち向かう火星人という構図はなかなか面白いですし、タコ型宇宙人が火星人ではないのではないかという仮説も魅力的です。

【火星人類の逆襲】【横田順彌】【火星人襲来】【天狗倶楽部】
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「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」 マンリー&ウェイド・ウェルマン

2007-10-25 | 破滅SF・侵略・新世界
 ウェルズによる火星人の侵略がいつあったのかについては諸説があるけれど、いちばん有力な説によれば1902年の火星大接近期だったそうです。いや、マンリー・W・ウェルマン&ウェイド・ウェルマンの『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』で仕入れたネタなんですが……。
 シャーロック・ホームズといえば、他のパロディ作品でも吸血鬼ドラキュラや切り裂きジャックと戦ったりしてますが、『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』では火星人の襲来という古今未曾有の難事件に対して名探偵ホームズが、変わり者の天才科学者チャレンジャー教授らと協力し、いかに解決に尽力したかを、その予兆ともいえる「水晶の卵」事件から描いていきます。
 『宇宙戦争』の細かな描写や通りすがりの人物たちが、コナン・ドイルやウエルズの諸作品の登場人物や事件にぴたりと……ジグゾーパズルの一片のように収まっていく有様は見物です。
 逆にいえば、この作品を堪能するには、『宇宙戦争』はもちろん、ドイルのホームズ物やチャレンジャー教授物からウエルズのSF短編まで読み込んでいた方がいいということですね。

【シャーロック・ホームズの宇宙戦争】【マンリー&ウェイド・ウェルマン】【鈴木康士】【創元SF文庫】【名探偵】【火星人襲来】【水晶の卵】
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「宇宙戦争」 H・G・ウェルズ

2007-10-25 | 破滅SF・侵略・新世界
 今さらながらにウェルズの『宇宙戦争』を購入、読了。

 火星表面にガス状の大爆発が観測されて6年。地球上に天空より金属製の巨大な物体が次々と降下。その物体から出現したのは、V字形にえぐれた口と巨大なふたつの目、そして不気味にのたうつ触手を持ったタコのような生物だった。
 火星人は地球人と話し合う気配さえ見せず、怪光線を放つ巨大な三本脚の機械で地上の街を焼き払い、殺戮を始めるのだった……。

 子供向けの翻案は何度も読んだけれど、きちんと全訳を読んだのは初めてかな。このご時世に原作通りのオチで映像化してくれたスピルバーグに感謝。あらすじを追った児童向けでは解りにくかったけど、想像を絶する惨禍に巻き込まれた人間の心理や群衆の行動がきっちりと書き込まれていて、分かり切ったストーリーと結末であっても楽しめました。怖いくらい。
 そしてやはりHMSサンダーチャイルドの勇姿に感動するのでした。(2012/09/08 改稿)

【宇宙戦争】【H・G・ウェルズ】【創元推理文庫SF】【火星人襲来】【群衆】【パニック】
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「4000億の星の群れ」 ポール・J・マコーリィ

2007-10-25 | 宇宙・スペースオペラ
「乙女を救出にきた騎士の気分だ」

 正体不明の異星人との交戦が続くBD20星域。異星人の秘密を解き明かす鍵があると思われる惑星アレアに、天文学者にしてテレパシストのドーシー・ヨシダが送り込まれた。敵の姿はないものの、遙か太古に太陽系規模での改造を受けたと思しきアレアには、宇宙のさまざまな星から(その大半は死滅している)生物が集められ、調査を続ける科学者たちの頭を悩ませていた。ドーシーは惑星への降下の最中に、どこからか発せられた異質で強大なテレパシーを察知したのだが……。

 ポール・J・マコーリィの『4000億の星の群れ』を読了。
 作者は英国SFの旗手で、この作品もフィリップ・K・ディック記念賞を受賞したものだとか。でも、読んだ感想は「平均点」「殺伐としすぎ」。悪くはないし面白くはあるけれど、そんな特別な作品でもないですね。もっと短く凝縮できていれば良かったかも。あるいは第一部・調査基地編と第二部・フィールド編の2分冊にして、挿絵をたっぷり付けても良かったな……と、すでに発想がライトノベル指向。
 まあ、身体の線を強調するスーツを身につけたおねえちゃんの全身像が表紙なので、見た目はデュエル文庫に対抗しているようですけど。

【4000億の星の群れ】【ポール・J・マコーリィ】【ハヤカワ文庫SF】【惑星探査】【脱出行】【テレパシー】
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