付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ガンパレード・オーケストラ ドラマCD 白の章」

2007-10-05 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 「ガンパレード・オーケストラ 白の章」のドラマCDです。Vol.1とVol.2の2枚で白の章を描いてます。ゲーム発売に先駆けてテレビアニメも放映されていましたが、あれとは別物。参加した声優さんたちの感想も「ぜんぜん性格が違います」「面白いです」というものが多かったのが印象的。だからアニメがつまらないと思った人でも、1回は聞く価値有り。
 戦争のシビアさと、学園生活の楽しさと、世界の謎が、シニカルなセリフや愉しい掛け合いに包まれて展開していくので、そういうのが好きな人にはお勧め。語られているテーマは、正義とか愛とか『絢爛舞踏祭』と同じかなあ。結局、グランパと鈴木真央が正義について語っていること、知恵者と空先生が愛について語っていることは同じなんだよね。何度聞いても感極まっちゃうよ。
 『絢爛舞踏祭ドラマCD』と同じく芝村世界観が色濃く、「“火星の海”用に」とか「貸しにしとくわ、A」とか「7つの世界を探しても」とか、ゲームやアニメだけでは判らない小ネタ満載。ライナーノートが大絢爛舞踏祭の解説にしかなっていないのもミソ。「A(小島空)」とか「石田咲良死亡後は」といった裏設定の山そのまんま解説してるので、アニメとかゲームしかしていない人にはなんにも判らない。きっと声をあててる人にも判ってないぞ。

 ストーリー的には、胃痛持ちの鈍感男・谷口竜馬を主人公に、“暴走する純情”横山亜美、知識はベテラン・感情は小学生未満の石田咲良の三角関係を描く!……と見せかけ、それに咲良を妹のように思っていると主張する小島(弟)が絡み、おっ、四角関係かっ!?と思っているところに「隊長は私のモノ☆」と工藤百華が動きだし、さらには「ぼくは幸せになってもらいたい人が10人くらいいるからねえ~」と岩崎が介入し出すという泥沼展開。
 ボケたツッコミ役の竹内優斗とか、いきなりOVERSを起動して世界外存在の探査を始める“歩くOS”鈴木真央とか、脇役陣もみんな存在感があって良い感じ。でも、本当にいちばん盛り上がるのはVol.2ラストの人型兵器が起動して戦線に投入されるシーンかな。
 信濃の予備副砲だ!などと嬉々としてスペックを披露する空先生はもちろん、幻獣の戦線に大穴を空ける人型に「人型をしているけれど、あれこそ本物の戦車だ」と嬉しそうな岩崎、「戦車の援護下にある歩兵こそ最強なのだ!」と檄を飛ばす上田虎雄とか、戦車バンザイ!って話です。

 あ、本物の青森物産館は人が遭難するほどの高層ビルじゃないです。

「ガンパレード・オーケストラ ドラマCD 白の章 Vol.1」★★★★★
「ガンパレード・オーケストラ ドラマCD 白の章 Vol.2」★★★★★

【戦車】【正義】【犬の姫】【騎士】【RB】【愛こそすべて】
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「マリア様がみてる/薔薇の花かんむり」 今野緒雪 29

2007-10-05 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 ん~、最新刊。なんでこういう本はシリーズもので続きのくせに通し番号を振らないんだろうね。わかりにくいったらありゃしない。これが『赤毛のアン』あたりだったら、舞台の中で時間は流れていても1つ1つが独立した話だから気にせず読めるんだけどねえ。

 ということで、今回はバレンタインデーの後日談からロザリオ授与に卒業生を送る会まで。学生生活の日々を丁寧に語り継ぎつつ、登場人物たちの成長と変わらない互いの友情を描いてきたわけで、これでお話も一巡したということでしょうね。う~ん、これも螺旋だ。同じところをゆっくり回っているだけのように見えながら、でも確実に前へ進んでいる……。
 
【マリア様がみてる】【薔薇の花かんむり】【今野緒雪】【姉妹】【涙】【笑い】【卒業】【演劇】
コメント (5)
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「メモリー」 ロイス・マクマスター・ビジョルド

2007-10-05 | 宇宙・スペースオペラ
 浮き沈みの激しい人生を送っているマイルズだが、前回ではついに死んでしまう。
 かろうじて組成に成功したものの、低温蘇生の後遺症による発作を特命作戦中に起こし、危うく作戦を失敗させそうになってしまう。けれども、発作の件を誤魔化して機密保安庁に報告したことが露見して失脚。輝かしきものになるはずの軍歴も汚辱にまみれて終止符。
 それでもマイルズは門閥貴族の御曹司として悠々自適の生活を送れるのだが、それは武門の誇りとして自分が許せない。難儀な性格。ところが青年皇帝に婚約話がもちあがって周囲が慌ただしくなる中、マイルズは機密保安庁長官の異変に気づくのだが……。


 面白かった。中身の割には分厚く高くなっているけれど……まあ、許す!
 帯に「シリーズ最大の転回点!」とあって、前作でいきなり主人公が死んでしまったのは転回点じゃないんですか!?と思ったけど、ちゃんと最大のターニングポイントになっていたね。読んで損なし。

【メモリー】【ビジョルド】【反逆】【クローン】【別離】
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「タイムスリップ明治維新」 鯨統一郎

2007-10-05 | 時間SF・次元・平行宇宙
 幕末にタイムスリップしてしまった女子高生・麓うららが、正しい歴史の明治維新に到達させるべく、桂小五郎や坂本竜馬ら幕末の風雲児たちの間を奔走し、歴史改変のポイントを探るのだが……。

 とりあえず「誰がいちばん悪いヤツだ?」という話。
 鯨統一郎の『邪馬台国はどこですか?』のような短編が面白かったので読んでみたけれど、今ひとつ。なんとなく短編のネタを無理に引き延ばした感じで、伏線もうやむやのうちに流されすっきりしません。
 うららのキャラクターにも今ひとつ魅力がなかったな。

「タイムスリップ明治維新」★★★

【女子高生】【幕末】
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「シンギュラリティ・スカイ」 チャールズ・ストロス

2007-10-05 | 破滅SF・侵略・新世界
「わたしたちを楽しませてくれますか?」
 突然空から雨あられと降り注いできた携帯電話から聞こえるメッセージは物質的な願いなら3つまでかなえてくれる……
なんて導入部に、思わずフレドリック・ブラウンを連想してしまったけれど、素直にハードSFをトッピングしたスパイアクション+宇宙戦闘なライトノベルとして読むべきだったかな。
 壮大な設定をろくに説明しないまま丸投げし、登場人物のほとんどにきちんと決着をつけないままメインキャラクターが退場するに至っては「続編ねらいだろ!?」と思ったら、ちゃんと続編も書かれているようです。
 スペオペとしては十分面白いんで、枝葉を切り落として7割くらいにした方が好みかな。でも相対性理論を逆手にとって、過去・未来へと艦隊を進行させての会戦は面白かったですね(無意味だったけど)。なんというか、戦いが始まる前に、周囲の連中はみんな結末を知っているというところが。

 あと、最近は映画と同じでタイトルを原文ままカタカナにしているのが多いので、本棚に並べるとどれがどの話だったかすぐに判らなくなるってばさ。

【シンギュラリティ・スカイ】【チャールズ・ストロス】【ハヤカワ文庫SF】【量子ビット】【因果律侵犯】【超文明】【侵略】【諜報戦】
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