今日の「オタク文化」はどこから萌芽したのかをお題目に、日本SFの「勃興」期から「浸透と拡散」期までを、当時の音声テープや映像などから当時の関係者らからのインタビューまで含めて構成したドキュメンタリー。
視聴者としては、小松左京、筒井康隆、豊田有恒、鏡明、南優らのインタビューに、SF作家クラブの原子力(はらこつとむ)研究所見学などの8ミリ映画を視て、SF作家クラブ設立会議での星新一や福島正美らの肉声などを聞けただけでも眼福、満足。2007年10月21日放送。
実際、語られているのは子供だましと文壇には揶揄され、一般にはSMと間違えられることも多かった戦後の時代に、SFを世に広め根づかせていこうとする人々のプロジェクトX。んでもって、大阪万博を頂点として以後は浸透と拡散の時代へと移行していきます……というか、90分の番組で80分でやっと大阪万博に到達。その後、いきなり宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、AKIRA、攻殻機動隊と駆け足で進み、最後にアキバのメイドにワープ・ジャンプという大胆な構成。もう、最初から制作者に「オタク文化」そのものには興味がないことがありあり。
現代に直接つながる物語を見たい人は残念でした。まあ、幕末の風雲児を描くのに関ヶ原の戦いから語ろうとして、大坂夏の陣あたりで終わった歴史物語と思ってください。
ただ、まあ、現代につながる線としては、その誕生時からマルチ感覚があったという点かな。日本SF作家クラブのメンバーに最初から手塚治虫や真鍋博が混ざっていたように、常に映画やテレビといった映像世界と密接な関係があったということ。文学作品として受け入れられる余地があまりないので、特撮映画や特撮テレビの原案や脚本としてメンバーが活躍し、高度経済成長期の学習雑誌でSF小説が連載され、その結果としてSFをSFと意識せずに吸収して育った世界が社会の第一線に存在するようになった……というあたりか。
『宇宙人ピピ』『スーパージェッター』『謎の転校生』『夕映え作戦』『タイムトラベラー』『ウルトラマン』。ぼくらの子供時代にはこういうものが自然に身の回りにありました。今の子供の回りにはPSPとかDSとかインターネットが生まれたときからあるわけですが、彼らが大人になったとき、どんな世界を作り上げてくれるのでしょうか。
また彼らは彼らなりに努力して、また新しい挑戦をゼロから積み上げていくことでしょう。
とりあえずキレイにスルーされた、アニメやゲームやライトノベルの興亡がメインとなるであろう80年代、90年代についても語ってもらいたいけれど、それはまあ、今現役で仕事をしている若手が語るべきことだよね。資料が少ない、証言者が次々と鬼籍に入りそうなぎりぎりのラインを最優先しているから仕方がないでしょう。
それに無理に語ったところで、何もかが中途半端になるのは明白。語ったところで逆に80年代90年代のクリエイターに「自分たちは、今、やっているところだ。勝手に歴史上の評価なんかするな!」と怒られそうです。
「ETV特集 21世紀を夢見た日々~日本のSF50年」★★★★
【Woo】【星新一】【SFマガジン】【未来学会】【ワールドコン】
視聴者としては、小松左京、筒井康隆、豊田有恒、鏡明、南優らのインタビューに、SF作家クラブの原子力(はらこつとむ)研究所見学などの8ミリ映画を視て、SF作家クラブ設立会議での星新一や福島正美らの肉声などを聞けただけでも眼福、満足。2007年10月21日放送。
実際、語られているのは子供だましと文壇には揶揄され、一般にはSMと間違えられることも多かった戦後の時代に、SFを世に広め根づかせていこうとする人々のプロジェクトX。んでもって、大阪万博を頂点として以後は浸透と拡散の時代へと移行していきます……というか、90分の番組で80分でやっと大阪万博に到達。その後、いきなり宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダム、AKIRA、攻殻機動隊と駆け足で進み、最後にアキバのメイドにワープ・ジャンプという大胆な構成。もう、最初から制作者に「オタク文化」そのものには興味がないことがありあり。
現代に直接つながる物語を見たい人は残念でした。まあ、幕末の風雲児を描くのに関ヶ原の戦いから語ろうとして、大坂夏の陣あたりで終わった歴史物語と思ってください。
ただ、まあ、現代につながる線としては、その誕生時からマルチ感覚があったという点かな。日本SF作家クラブのメンバーに最初から手塚治虫や真鍋博が混ざっていたように、常に映画やテレビといった映像世界と密接な関係があったということ。文学作品として受け入れられる余地があまりないので、特撮映画や特撮テレビの原案や脚本としてメンバーが活躍し、高度経済成長期の学習雑誌でSF小説が連載され、その結果としてSFをSFと意識せずに吸収して育った世界が社会の第一線に存在するようになった……というあたりか。
『宇宙人ピピ』『スーパージェッター』『謎の転校生』『夕映え作戦』『タイムトラベラー』『ウルトラマン』。ぼくらの子供時代にはこういうものが自然に身の回りにありました。今の子供の回りにはPSPとかDSとかインターネットが生まれたときからあるわけですが、彼らが大人になったとき、どんな世界を作り上げてくれるのでしょうか。
また彼らは彼らなりに努力して、また新しい挑戦をゼロから積み上げていくことでしょう。
とりあえずキレイにスルーされた、アニメやゲームやライトノベルの興亡がメインとなるであろう80年代、90年代についても語ってもらいたいけれど、それはまあ、今現役で仕事をしている若手が語るべきことだよね。資料が少ない、証言者が次々と鬼籍に入りそうなぎりぎりのラインを最優先しているから仕方がないでしょう。
それに無理に語ったところで、何もかが中途半端になるのは明白。語ったところで逆に80年代90年代のクリエイターに「自分たちは、今、やっているところだ。勝手に歴史上の評価なんかするな!」と怒られそうです。
「ETV特集 21世紀を夢見た日々~日本のSF50年」★★★★
【Woo】【星新一】【SFマガジン】【未来学会】【ワールドコン】