付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「滅びのマヤウェル~その仮面をはずして」 岡崎裕信

2007-10-19 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「きっと自分の心をかんぺきに隠したって、幸せなんかこないんだ。自分の気持ちに嘘をついて生きていくなんて、そんな人生はそっちの方が嘘だ」
 ……と言いつつ、結局は嘘の仮面をかぶって生きていくことを選択した倉持ユーキの言葉。

 誰にも言えない秘密を持つ少年・倉持ユーキは、ある日、電車でのっぺらぼうに遭遇する。びっくりして逃げて、なんとか学校にたどり着いたユーキの前に、1人の美少女が立ちふさがり「責任を取れ」と詰め寄った……。
 こうしてユーキの平穏な日々は終わりを告げた。
 奇妙な三角関係が生まれる陰で、黒い魚が街中にあふれ、人々の心がおかしくなっていく。そして戦場と化した学園で、ユーキは全てを救おうと決意するのだが……。

 キャラ萌えだけで、中身もないまま会話とドタバタだけで枚数を稼がれる話ってのはキライだし評価も高くはなく、この話もそんな感じで始まったのだけれど、終わってみれば主人公・ユーキが通学電車で遭遇したのっぺらぼう騒ぎから、謎の少女・神野真綾の乱入、主人公に思いを寄せる学園のアイドル・音無玉樹との三角関係でわーっとお約束の展開に持って行きながら、後半1/3はひたすらヒロイン同士の壮絶なバトルシーンが続くという豪快な構成。
 お約束なキャラクターを絞って配置し、舞台を限定し、壮大な設定などは広げず、ラブコメ的な展開から一気に超能力バトルに持って行き、そのまま一気呵成に決着をつけてしまってます。荒削りさを感じさせず、勢いだけが感じられました。
 久々に、一気読みでき、笑えて、萌えて、燃えて、読後感は爽快という1冊。こういうのなら読めるよ。
 最後に気絶するタマが良いね。

【滅びのマヤウェル】【その仮面をはずして】【岡崎裕信】【西E田】【無色】【殺人鬼】【召還】
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「海賊丸漂着異聞」 満坂太郎

2007-10-19 | ミステリー・推理小説

 1863年4月18日、伊豆七島の御蔵島アメリカ商船バイキング号が漂着。その始末に人々が奔走する中、島の名主が行方不明になり、バイキング号の船長が自殺する。そして牢につながれていたはずの囚人の姿が消えるのだが……という、実在の事件をモチーフに、実在の人物を配して語られる殺人事件と幾つかの謎。

 探偵役はアメリカ人の通詞として送り込まれたジョン万次郎、そしてもう1人、時には万次郎の助手して時には探偵役として東奔西走するのが島の書役である市左衛門。というか、むしろこちらが主役といった感じで、どちらも魅力的に描き出されています。トリックが凄いとか、謎が複雑というのではなく、幕末の混乱期に起きた異文化の交流の中で語られる人間の物語を楽しむというのが正解なのかも。

「海賊丸漂着異聞」★★★

【孤島】【幕末】【連続殺人】
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「トップ・シークレット」 監督:ザッカー兄弟&ジム・エイブラハムズ

2007-10-19 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 東ドイツで開催される国際文化フェスティバル。しかし、それは単なるカモフラージュであり、その影で誘拐した天才科学者に開発させた強力な新兵器による世界征服の陰謀が進んでいた。
 この文化フェスに招待されたアメリカ合衆国で国民的人気を誇るロック歌手ニック・リバースがひょんなことから助けた娘は、この科学者の娘ヒラリーだった……。

 東ドイツに招待されたアメリカのロックスターが巻き込まれる国際的な陰謀劇。
 『ケンタッキー・フライド・ムービー』『裸の銃を持つ男』『フライングハイ』などを製作したスタッフによるスパイ映画。主演は後にトップガンのアイスマンを演じることになるバル・キルマー。
 プレスリーとか戦争映画から「オズの魔法使い」まで思いっきりパロディにしています。くだらないギャグの連続に涙。あの東ドイツ国歌はなかろう……?
 こういうバカ映画を見ると英語の勉強になります。英語がわからないと通じない小ネタがいっぱいなんだもの。好きなんだよね、

【トップ・シークレット】【ジム・エイブラハムズ】【デヴィッド・ザッカー】【ジェリー・ザッカー】【パラマウント映画】【ヴァル・キルマー】【ルーシー・ガタリッジ】【オマー・シャリフ】【ピーター・カッシング】【マイケル・ガフ】【ジェレミー・ケンプ】【牛】【スパイ】【ロックスター】
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「ドルセイの決断」 ゴードン・R・ディクスン

2007-10-19 | ミリタリーSF・未来戦記
「すべての文化はファンタジーをもっている」
 コルンナ・エル・マンの言葉。
 「個性」とか「特性」ではなく「ファンタジー」としたところがミソですね。

 成人男子は軍人となるのがあたりまえの傭兵の星ドルセイから送り出されたグレイム兄弟は、惑星セタのナハールを革命軍から守る依頼を与えられた。
 しかしそれは罠だった。
 6000名の敵軍に対して、グレイム兄弟には軍楽隊しか残されていなかったのだ……。


 だいたいこの頃はミリタリーSFだぞと派手な戦闘シーンを期待しては裏切られてばかりでしたね。『宇宙の戦士』も『ドルセイ』も半分以上を政治信条、軍人の倫理や信念、政治と謀略が占めていて、戦争ってのは派手でカッコイイことばかりじゃないぞと思い知らされたのでした。
 うん。戦争はいけない。この話も、「軍人になるのがあたりまえの世界で、人を殺せない人間はどうしたらいいのか」という話ですから、読めば読むほどドンパチがキライになる反戦小説かもしれませんね。

【ドルセイの決断】【ゴードン・R・ディクスン】【軍楽隊】【不戦】
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「竜の歌い手」 アン・マキャフリー

2007-10-19 | その他SF(スコシフシギとかも)
「若いときは、是が非でも必要なものがある。わしの年頃になれば、長い目で計画をたてることを学ぶようになる」
 フォート城砦のグロギ太守の言葉。

 子供の頃は何かやりたいことができなかったり、やるべきことをできなかったりすると、死にたいくらい「悲しい」とか「悔しい」とか思ったものだけれど、今となってはそういうコトやモノはほとんどない。楽しみにしていたテレビ番組を見逃しても「ま、見なくても死にゃしないよな」と流してしまう。
 感動がないともいえるのですけどね。

【竜の歌い手】【パーンの竜騎士】【竪琴師ノ工舎】【アン・マキャフリー】【ハヤカワ文庫SF】【火蜥蜴】【音楽学校】【意地悪な先輩】
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「階層宇宙の創造者」 フィリップ・ホセ・ファーマー

2007-10-19 | 時間SF・次元・平行宇宙
「勝ち目はある。あくまで戦い続ければ、そして頭を使えば、そして運が味方してくれれば、勝ち目はあるさ」
 世界の創造者に挑もうとする古典語の大学教師、ロバート・ウルフの言葉。まず諦めないことが大切。

 フィリップ・ホセ・ファーマーの「階層宇宙」を、ときどき「リバーワールド」と取り違えてしまいます。でも、仕方がないよね。巨大な円盤形の階層が縦に積み上がっていて、ギリシア神話時代の人物や怪物、甲冑の騎士、草原のインディアンなどがそれぞれに暮らしている階層宇宙と、1本の巨大な大河に沿って人類創世から滅亡までの全人類が復活しているリバーワールド…………って、全然違う?

【階層宇宙の創造者】【フィリップ・ホセ・ファーマー】【階層】【神話】
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