付け焼き刃の覚え書き

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「名誉王トレントの決断~魔法の国ザンス17」 ピアズ・アンソニー

2008-03-07 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 魔法の国ザンスのシリーズも、この『名誉王トレントの決断』の時点でもう17冊目ざんす。

 反逆者となり放浪者となり最後には国王とまでなった変身の魔法使いのトレントも、もう100歳近い。そろそろ此の世にお別れをするつもりだったのだが、ザンスでただひとりのハーピーとコブリンのハーフの娘グローハの結婚相手を探す旅に同行することになってしまう。さすがに老人の身で長旅はできないと、良き魔法使いハンフリーから若返りの霊水をもらうのだが……。

 今回も表紙は女性キャラだけです。
 人間から石や雲まですべてのものが魔法の力を持つ世界ザンスは、我々の住む現代社会と(地続きで)隣り合わせの世界。そのザンスで起きるさまざまな事件を描いているのがこのシリーズで、毎回のように主人公が変わっていくのも特色の1つ。今回はシリーズ初期の主人公たちが老骨をむち打ってフラフラと放浪してたりしますが、他の作品では最初の主人公の息子だったり、その友だちだったり、そのまた娘だったり、馬だったり、人喰い鬼だったりと……と主人公が変わるのは良いですね。なにより表紙を並べて眺めたときも、長いシリーズなのに飽きが来ません。

 でも、さすがに17冊目ともなると飽きが来るですよ。1ケタ台の頃は「ザンスは奇数巻が面白い」とかいわれてましたけどね、ここまで来るともうどうでもいいです。いろいろ趣向は懲らしているのですが、水戸黄門みたいにパターンがあるんですよね。まず登場する魔法とか生き物とかアイテムの大半が英語のダジャレでできているということ(翻訳者さん、ごくろうさま)。それから主人公となるキャラクターが何か問題を抱え、魔法使いに相談に行き、魔法使いに会うために3つの難題をクリアし、それで助言とも言えぬ助言をもらって旅に出て、最後には問題が解決して伴侶も得る……。
 いや、1冊1冊は面白いってことは保証しますが、500頁、600頁と分厚いダジャレ連発のボーイ・ミーツ・ガール(またはその逆)の話を10冊も20冊も読んでいれば、そろそろ「1冊くらい読まなくても平気かなあ」と弱気にもなります。『オズの魔法使い』だって似たようなものだけれど、あれは1冊あたりがこっちの半分以下の厚さのはず。感覚的には『水戸黄門』に近い気がします……(水戸黄門がダジャレだらけのファンタジーというつもりはありませんよ?)。
 とりあえずお奨めは3作目『ルーグナ城の秘密』、5作目『人喰い鬼の探索』あたり。それで興味が持てれば、適当につまみ食いして良いかと思いますね。

【名誉王トレントの決断】【魔法の国ザンス】【ピアズ・アンソニー】【ボーイ・ミーツ・ガール】【ダジャレ】
コメント
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