ビートルズデビュー50周年イヤーも、残すところあと2か月。堰を切ったように、これでもかこれでもかといろいろ出てくる。どこまで付き合えるかわからないが、ここまで行けば、地の果てまでも?
本書は、あまり期待していなかったのだが、いやいやなかなかの本だった。
著者の和久井さんは、ミュージッシャンらしく、その録音手法の変化や、コード進行に対する考察、ビートルズの音楽に影響を与えた、世界各国のさまざまな時代の音楽等に、深い洞察を加えている。
トリビア的な情報も満載で(たとえばEMIは、Electrical Music Industriesの略だとか、HMVは、His Master Voiceの略だとか)、相当、いろんな本からの情報を、強弱をつけて、うまくまとめている。なかなかここまで、まとめられるものではない。
カバーは、浦沢さんのオリジナルで、このコンビで、他のプロジェクトもやっているらしい。
元々本書は、2000年に出た「ビートルズ 20世紀文化としてのロック」という単行本とし
て出た本で、しばらく絶版になっていたそうだ。それだけ、長い期間を経て、再発されたのだから、その中身についての評価は、当時から高かったのだろう。
ちょっとマニアックなので、一般向けではないかもしれないが、ビートルズの本を2-3冊読んだ人にお勧めかな?
私は、とっても面白かった。著者は、私と同年代で、ビートルズ体験も似た過程を経ていることも一因かもしれない。