かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

ゴータマ・ブッダ 上・中・下

2012年10月17日 | Books

今日、たまたまカンボジア大使館にいったら、シアヌーク元国王ご崩御に伴う記帳を行っていた。金曜まで受け付けるという。ご存命だった国王で、これだけ、歴史に翻弄された国王もいまやそう多くない。ラストエンペラーを思い出す。



今年は、中村元先生生誕100年なのだそうで、この3巻セットが店頭に並んでいたので、思わずGET。
正直、中村さんの本は、ちょっと読んだし、かなりの重複感が予想された。
ただ、読んでみて、中村さんのブッダの生涯に関する本は、本書がベストと思うに至った。

本書は、中村元選集全40巻の内、ブッダの生涯について著した2巻を、やや読みやすくし、3巻にまとめたものということである。
ブッダの生涯ではなくて、仏教そのものについて知りたいという声が聞こえてきそうだが、ブッダは、自ら何も著していないので、我々は、弟子が語りついだ内容から、その教えを推測するしかない。そして、その教えのもっとも原始的なものは、ブッダの生涯の中に隠されている。

今まで読んだブッダの本は(中村さんの本も含めて)、著者の頭の中に整理されたブッダの生涯について描かれている。だから、著者によって、異なった内容が、断定的に描かれてしまっており、少々戸惑うこともある。
本書を読んで何故かわかった。
原始仏教に関わる経本も、様々あり、使われている言語も様々。なるべく古い言葉で書かれたものが真実に近いと思われるのだが、残っていないケースもあるし、後代の方が、どう見ても正しそうだということもある。本書は、この微妙なところについては、二つの言い伝えを、併記しているのだ。
2,500年前の、しかもオリジナル文書のないブッダの生涯についての話であるから、当然このような作業の末、ブッダの生涯が明らかにされていったのだが、本書を読むまで、その実感がわかなかった。

まじめに、ブッダの生涯を知りたい人にお勧めできる。
ついでながら、本書で推薦されている本をAMAZONで2冊GET。古い大書で、結構いい値段したが、流石、中村さんが推薦するだけあって、しっかりした本だった。
本書が最初に世に出たのが、20年ぐらい前らしい。中村さんを超える研究者は、なかなか今後出ないのではないか。考古学的アプローチなら別だけど。


コメント
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