本書は、インドネシア通の友人に勧められて、GET。
2011年11月に出た本だが、著者は、同世代で、インドネシア大学で、博士号をとった方。
でも、本書は、そういった学術的見地からのアプローチだけではなく、長いインドネシアとの付き合いから得た人脈を通した情報と思われる、なるほどと思わせるインサイダーではないとわからない情報も含め、インドネシアの今を、リアルに語ってくれる。
私とインドネシアとの付き合いも長いが、一番付き合いが深かったのは、2000年代前半で、まさに混迷時代。
本書を読むと、その前は、アジアでも、先進的と思われていたのに、そこから遅れに遅れ、ここ数年、急激にキャッチアップを図っていることがわかる。BRICsに、もう一つ"I"を加える案もあるそうな。
やはり、政治の安定が大きい。
バークレー出のテクノクラートたちによる、旧来勢力や、KKN(癒着、汚職、身内びいき)との戦いの様子も、リアルに描かれる。
ユドヨノ氏の描き方も、かなりリアル。
隣から見てると、温厚なおじさんイメージだが、まさにこれが、インドネシア人の好むキャラなのだそうだ。インテリ軍人出身でもある。そういえは、震災後、東北にも来ていただいた。
インドネシア人の心と、和を重んじる日本人の心とは通じるものがある。
ただし、日本の占領時代のことは、必ず小学校、中学校で習うという。これは、シンガポールといっしょで、そこのところは、きっちり抑えておかなければならない。
世界最大のイスラム教国にして、民主主義国家。日本との関係も極めて深い。インドネシアの、独立性を維持した外交政策にも学ぶところが多い。極めてユニークで、将来が楽しみな国と言える。
今の東南アジアに興味のある方には、お勧めしたい良書。基礎編から応用編まで、バランスよく描かれている。