長い日本の歴史シリーズも、いよいよ最終回。
今回は、別巻で、江戸時代の庶民文化にスポットライトを当てた本。
見開きに、九州博物館の企画展で、見た若冲の仙人掌群鶏図が、使われていた。まさに、あの企画展で見たように、日本の文化が花開いた時代だった。
本書は、何故このような文化が花開いたかから始まる。
最大の原因は、平和だ。考えてみれば、鎌倉幕府が開かれて、室町時代が、始まったと思ったら、応仁の乱。そして戦国時代。太平の世というのは、徳川幕府が落ち着いて、初めて実現した。そして、人々は、定住ができ、富の蓄積ができ、文化にも関心を向ける余裕ができたのだ。
江戸時代の、教育レベルは、年々高まり、外国人が訪れるようになるころは、他のアジア諸国に比べ、極めて高い水準に達していたという。
醤油や、清酒が作られるようになるもの、この時代。それまで、醤油は、味噌のようなものだったし、庶民が清酒が飲める前は、濁り酒しかなかった。
今は、誰もが楽しんでいる旅も、江戸時代から庶民の娯楽の一つになった。
本も普及。源氏物語など、ずっと読み継がれてきたような印象を受けるが、実際、庶民が読めるようになったのは、印刷技術が発達した、江戸時代から。
今、我々が楽しんでいる娯楽を庶民が楽しめるようになったのが、まさにこの時代だったのだ。
その恩恵をどんどん享受したい。
本シリーズは、本書が最終だが、各巻個性があふれていて、各巻それぞれの楽しみ方ができた。