かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

東南アジアの伝統と発展

2013年01月08日 | Books


本書は、中公文庫の世界の歴史全30巻の内の1巻。2009年発行だが、元は、1998年に出ていたものらしい。
しばらく、読んでいなかったのだが、今回のアンコール行に際し、読んでみた。
東南アジアの歴史は、ほとんど学校で習わないから、新しいことが多く、聞いたことのない国や、人名が続くので最初は、読みづらいが、読み進むにつれて、行ったことがある地域も出てきて、加速した。
それにしても、記録が少ないし、研究もまだまだという感じがする。

アンコールがハイライトかもしれないが、マラッカや、インドネシアの、東南アジアの歴史における重要性を再認識。
興味深い話も沢山載っている。

たとえば、今回も見てきた、アンコールワットにある日本人の落書きだが、全部で14カ所もあるそうだ。
有名なのは、森本右近太夫のものだが、素性は、明らかになっている。父は、加藤清正の重臣だった。朝鮮の役でも武勇をはせたという。
祇園精舎と思い込んでいたのだが、その時の図が残されており、まさに当時のアンコールワットの図である。
しかしその後、鎖国となったため、森本氏は、海外渡航歴を隠し、京都山崎に移り住み、1674年に亡くなったという。その子孫がご健在で、森本氏の父子のお墓も明らかになっているのだそうだ。何たる奇遇。

今回行った、シアヌーク博物館の話も載っていた。イオンの岡田会長が、2002年3月に植林のために訪れ、バンテアイクデイで発掘されたばかりの仏像に感銘を受け、本博物館の提案があったのだそうだ。土地は、カンボジアからの無償提供、建設費は、イオン、石澤さんが、コーディネーターとして、建設され、2007年11月にオープンしたのだそうだ。立派な博物館だった。ちょっとはずれにあって、見学者は少なかったが。博物館は、カンボジア政府に寄付されている。

様々な、民族、国、宗教、言語が共存していた東南アジア。そこに見え隠れする、中国、インドの影響。そして、列強の植民地化。なかなか一言で、くくることが難しい地域だが、後書きで、カンボジア研究の一人者である石澤氏がうまくまとめてくれている。
東南アジアって、そもそもどういう発展をしてきたの?という疑問をお持ちの方にお勧めできるが、ちょっと最初は、とまどうかもしれない。


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