武澤さんの新書が出た。武澤さんの本は、結構読んでいるが、いつも面白い。理系頭脳の人が、古代(特に建築)の分析をするところから、思わぬ発見がある。
本書も本領発揮。
4月から、また始まるガリレオシリーズの古代史版ともいえる?
伊勢神宮は、20年毎に遷宮されることは常識で、今年がその年であることも結構知られている。
ところが、本書を読むと、その常識は、決して常識ではなかったことが、あまりにも確実に明らかになる。
そもそも遷宮は、古代は、天皇が変わるたびに遷都が行われていたのを、都を定める方法に変えてから、伊勢神宮の遷宮が始まった。
内宮と、外宮も関係も必ずしも良好ではなく、かついては対立し、張り合っていた時代もあるという。
室町時代の混乱期は、長期間放っておかれたし、建物の並びも、装飾も、古代から、まったく変わっている。また、戻ったりもしているが。
そもそも伊勢神宮参りをした天皇は、持統以来、明治天皇が初めてだったという。
驚きだ。
持統は、自分の孫を天皇にするために、自分がアマテラスになることを意図し、伊勢神宮参りを続けた。どっかの本では、伊勢の海産物狙いとの説が披露されていたが。
そして、明治天皇が、再度伊勢神宮を活用。
明治憲法制定などの日程も、遷宮の日程を基準に決められたのではと、筆者は推理する。
証拠はないが、確かに、そう説明すると、明治の近代国家への歩みのスケジュールの説明がつく。
伊勢神宮遷宮の本年に、是非読んでみたい本。