本作は、オーソンウェルズの名作として名高い。
チターのテーマ曲も、たぶん誰もが聴いたことがあるはずだ。
ただ、まだ、見たことがなかった。
昨年、ウィーンに行った時に、ウィーンが舞台の映画(特に観覧車)であることを知り、DVDをゲット。
2019年に出たもので、4K化を機に、DVDも出たようだ。
もちろん、おもしろった。
ストーリー的には、ヒッチコック的なサスペンス。
ただ、作られたのは、1949年で、ヒッチコックより前。
終戦直後のウィーンを舞台にしており、白黒画面のせいもあり、最初から怪しげなムードが漂う。
20世紀前半の上海の雰囲気とも似てるかもしれない。
インターナショナルというか、国籍不明というか。
当時のオーストリアは、まだ、ソ連が統治している地域もあったようで、怪しげな人物、怪しげなビジネスが跋扈していた。
その中での、ミステリー。
現代でも、十分通じる完成度の高い映画。
リメイクされてもおかしくないが、1949年のまだ、混沌とした情勢下だったからこそできた映画かもしれない。
映画が、エンターテイメント性よりも、芸術性が、重視されていた時代とも言える。
観覧車の中での会話など、哲学的でさえある。
まだご覧になったことがない方には、まずご覧ならなることをお勧めしたい。