本書は、本屋で見つけた。
早稲田大学出版部さんの新刊。
著者は、青学の名誉教授で、早稲田で教鞭をとっているようには見えないが。
元々社会学の先生のようで、ビートルズの専門家ではないものの、ひじょうに上手に、かつ鋭く、ジョンとヨーコの歌詞を分析されている。
ジョンとヨーコは、1970年代初頭、政治活動にのめり込んだが、反戦活動家や、黒人運動家、ウーマンリブの流れに乗せられてしまったというイメージが強かった。
本書を読むと、もっと本気に(特にヨーコ)、自ら取り組んでいたことがわかる。
イマジンが、最強の反戦歌と言われたりもするが、彼らの人気の高さもあり、本気で、当時の政治家達の邪魔者になっていた。
13曲の歌詞が取り上げられているが、特にヨーコの歌の歌詞は、怖いもの知らず。
改めて読むと、よくもまぁここまで書いたなという感じ。
社会学の先生の著作なので、その歌詞の背景になった当時の状況や、それが、現在のウクライナまで、残念ながら普遍的な課題になっていることに気付かされる。
男女平等についても、ジョンとヨーコは、70年代後半に実践したが、我々は、まだ、道半であることを認識させられる。
LGBTについても然り。
どこまで2人が、当時自覚していたかわからないが、彼らのメッセージは、50年先を見通していたかのようだ。
それにしても、過激なワードの数々。
かなりの放送禁止曲も出たが、お金持ちだから、歯牙にもかけず、直接的なメッセージソングを作り続けた。
マインドゲームズぐらいで落ち着き初めて、ニクソンが辞めてからは、自由を取り戻し、社会に対してではなく、内面的な歌が増えた。
そんなに専門的な本ではないが、より深く、ジョンとヨーコの思想、意図が、理解できて、面白かった。