かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

グラフィック・ビートルズ

2024年02月22日 | The Beatles
今日も冷たい雨。
在宅で助かった。



本書は、たぶん松田さんの本で、2冊目。
1冊目は、ゲットバックセッションに関する藤本さんの本で、これは、ページが互い違いに出っ張る(実物を見ないと表現が難しい)きわめて取り扱いの難しい本で、中身はともかく、正直勘弁してくれというレベルの1冊だった。
本書も、独特のデザインではあるが、今のところ大丈夫そう。
本をつづる糸の部分が露出する独特の製本だが、今のところ、頁が落ちる感じでもない。

中身は、ビートルズのアルバムジャケットを深く掘り下げる本。
この手の本は、今までもたくさん出ており、どうかなと思って読んだが、なかなかここまで深堀りしている本はない。
いろいろイベント等でお会いする機会がある藤本さんや、朝日さんからのアドバイスももらいながらといことではあったが、独自の蘊蓄も多くある。
特にフォントについての議論や、HELP!の手旗信号についての話は面白かった。
今は、ワードソフトが当たり前になり、フォントも規格がしっかりしているが、当時はまだごちゃごちゃだったようで、ビートルズのアルバムに使われているフォントも、既存のフォントを真似して、独自に勝手に加工したものが多い。
そういえば、昔、可士和さんが、ユニクロのフォントをすべて独自のものにした話を聞いたことを思い出した。

アルバムデザインにしても、タイトルにしても、すんなり決まったケースは少なく、いろんな案が出ては消えの連続で、最後にぽっとでてきた案が最高のアイデアだったりする。
この辺も、ビートルズが最高のグループであり続けている所以だ。
アイデアがどういうきっかけで出たか、そしてそれをどう膨らませ、芸術を呼ばれるレベルまで高めたかがよくわかる説明になっている。
それが、外国盤になると、また勝手に加工されたり、すり変えられたり。
当時、そのようなジャケットができる背景となった世相など、知らなかったこともたくさん披露されている。
この辺は、相当の調査力がないと、言及できない部分だろう。

一つ物足りなかったのは、Let It Be の裏ジャケについて。
アップルが赤であることについての言及があるが、裏ジャケのデザインそのものに対するコメントはない。
2018年2月26日のブログに書かせてもらったが、当初のGet Backアルバムの裏ジャケのデザイン案は、ポールによる乱暴なデッサンが元になっている。
もう4人集まって撮影するのも難しいからこんな感じでええんでね?という程度のアイデアだったとは思うが。

その後、当初のGet Back アルバムのジャケットに使われる予定だった撮影セッションで撮影された写真は、青盤に転用され、Get Backアルバムは、Let It Be アルバムとなり、表ジャケには、4人の別々の写真が黒枠に収められた。
裏ジャケも同様、4人別々の写真が使われた。
結局、表も裏も、ポールの思い付きデザインが原型になったと考えられるのだ。
4人の写真の位置も、アイデア通りになっている。



これカバーを外したところ。
綴っている糸が見えるし、ビートルズの文字も。



おまけのアルバムカバーコレクション?



この辺もマニアック度が高い。

デザイナーならではの視点からの一書で、とても面白かった。
もちろん、ビートルズマニア向け。
コメント
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